初めてのお仕事と自己嫌悪
アリスに手を引かれて30分
見えてきたのは思っていたのとはまるで違う教会だった。
「でっ、デケェ、、、、」
「もう四ヶ月もここで働いているんだからいい加減なれてよー」
衝撃を受けた俺はボソボソと言い訳じみたことをいい始める
「いや、だって教会っていってたからもう少しこじんまりしたものだと思ってて、、、てかなんで俺こんなとこに勤めてるんだよ、、、」
「ほら!ボソボソとなんかいってないでさっさと行くよ!」
「はいはい!」
そしてまたもやアリスに引っ張られその教会のなかにはつれてかれる。
「「「「おはようございます!マスター!!」」」」
「おわぁ!」
入った瞬間に一斉に挨拶をされ予想なんてしてかなった俺はビックリして尻餅をついてしまう。
「大丈夫!?エル君!」
「あ、ああ、大丈夫だよ……」
ふと思ったんだけど挨拶されたときマスターとか言ってなかった?
アリス、そんな感じに言われてるんだなぁ
「ほら!エル君!挨拶返さないと!」
俺かああああぁぁぁ!!
「お、おう!おはよう!」
「はーーいみんなー今日は水系魔術をやるよー!」
「「「「はーい!アリスせんせー!」」」」
アリスは先生なんて言われてるのか!
そして、俺はちょっと先生っぽいアリスを思い浮かべてみる。
椅子に座り足を組んでいるインテリなアリス
おお!すっごくいい!!
「何を想像してるのかな?エル君?」
「ちょっと、インテリなアリスを……イデデデデ!」
「何を考えているんだか」
「いいじゃん!たぶんすっごくにあってると思うよ!!」
「…………しかなたいなぁ、じゃあ今度エル君のためにやってあげる!」
「ほんと!!やった!!」
「ねぇー!せんせー!」
「どうしたの?」
「そろそろ時間ですよー?」
「そっか、名残惜しいけどまた、あとでね」
手を振りながら外へ向かうアリスに手を振り替えしこっちもやることがあるようなので、シスターにさりげなくその内容を聞くとことにする。が
寂しそうにするアリスも萌える!!
心境はただの変態のようだ。
シスターに今日はどこでやればいいでしょうと何をの部分を抜かして、聞いてみたが、いつもの場所でいいですよ?と、当たり前の顔で返された俺はどうすればいいかを再度考えさせられた。
思い浮かばないけど………
どうしよう、と悩んでいると突如シスターに背中を押される。
「早くしてください!もう行列ができてるんですから!」
行列?なに、俺、なんかを売ってるの?
でもそれだったら教会で売る意味ないよね?
売ってるとしたら、教会で売れるもの?、聖水かなんかか?
それとも魔除けグッズとかかな?
「わかった!わかったから押すな!」
「じゃあ少しは急いでください!」
何をやるかはどうせつけばわかると思うのでいいが場所がわからないのはさすがに無理だと思った俺は押すなと言いながらも押されるままにされていた。
押され続けた俺がついた場所は握手会でもやってそうな机の前に何百人もの怪我人が並んでいた。
「なるほどな、俺にできることといったらこれぐらいしかないもんな、」
ボソッと洩らした俺のむなしさ溢れる言葉は誰の耳にも入らず消えていった。
「では、よろしくお願いします!」
「はいはい」
俺は、先払いをされているらしい彼らを持ち前の治癒と回復、解毒魔術で治していった。
三時間もの間、
もちろん色々サービスもしたよ?
おじいさんとかだったらちょっとだけ生命力追加させたり、子供たちだったら、成長を少しだけよくするようにさせたりとかね?
あと、美人さんには幸運値をあげてあげたりしてた。
まあ、実質いいことしかしてないんだから文句なんて言われる筋合いなんてないからね!
魔力的にはまだ全然有り余っているがお昼で一旦終わるようだ。
うん、一旦ということは午後からもあります。
「一人は辛いなぁー」
そう、もっとも辛いことは一人で黙々と…………いや、はなしながらやってるから黙々と、ではないな。
とにかくそこが辛い。
誰かいてほしい。
もちろん、家族の誰か、ね?
シスターとか来られても絶対にボロこぼして追求されるのが落ちだ。
その点、あの3人なら最悪なんとかなる。
そんなことを考えながら教会のシスターさんたちが作ってくれたカレーライスを食べていた。
結構うまい。
でも、何だか寂しいよねー
俺になる前の俺は何をして過ごしていたのだろうか?
こうして黙々とカレーライスを食べていたんだろうか?
カチ、カチ、カチ
結局ぼんやりしながらカレーライスを食べていたらもうからになっていた。
「よーしあと半日頑張るぞ!!」
「「おーー!!」」
「え?」
自らに気合いを入れるために出した言葉はなぜか聞き覚えのある二人が反応する。
二人っていったら彼女らしかいないけどな。
「何でここにいんの!?ラル!ニルも!」
「なんでって、私たちの仕事は朝だけで終わりだもん、そんなこと知ってるでしょ?」
「あ、ああ!ももももちろん知ってたさ!」
「どうしたの?エー君?」
「なんでもない!なんでもないったらなんでもない!!」
「そう?ならいいけど」
あぶねぇー!!
いることにビックリしてつい思ったことを口に出してしまった。
慣れるまでできる限りボロをださないようにしなきゃいけないのに。
悪いことはしてないぞ?
悪いこと………うん、してないよな!
「さっさと終わらして家に帰るんだから!早く行くわよ!」
「僕充電切れてきたから先に充電しちゃうもん!」
充電という言葉を聞こえた時点で逃げ出そうとしたが全く意味はなく
やはり抱きつかれる。
美少女に抱きつかれてることはおおいに嬉しいんだけど……
回した腕に力を込めないでくれないかな?
まじでいたい。
ギリギリと聞こえてきそうな締め付けが俺を襲う。
「う、羨ましい、けど!今はエルムはやることがあるでしょ!」
ニルも抱きついているのに軽々と俺らを引きずっていく。
何でこんな、俺の回りには力が強い女の子ばっかなんだ?
そんなことを考えながら抱きついているニルの頭を撫でながらラルに引きずられていく。
目的地はもちろん仕事場だ。
いや、もちろんっていっても今日知ったんだけど。
そしてそこから五時間ぶっ通しで怪我人を治していった。
腕が肘から下がない人が来たときはビックリしてつい治癒の最上級魔術を使ってしまって、その人は「フアアアアア!!今のおれならなんでもできるぜぇぇぇぇぇ!!!」とか言いながら走り去っていったのは記憶から抹消しておこう
ラルとニルは付きっきりで治療を手伝ってくれていた。
実際あんまり手伝うことなんてないけどね。
けど、一人は寂しかったから結構嬉しかった。
気軽に話せる人がいるんだもん!
しかし、途中で喉が乾いたなぁーとぼやいたらラルが口移しで水を飲ましてくれたときは怪我人たちの殺気をすべて受けるはめになったときはまじで怖かった。
あ、もちろんラルの口移しは色々よかったよ?
んで、その中のめっちゃごついおっさんがすごい顔して睨んでいたが、ラルがそれに反応して一瞬でそのおっさんの近くに移動して、なにかを呟いたと思ったら顔を真っ青にして逃げていった。
てか、半年後の俺はラルに喉が乾いたらラルに口移しで喉を潤していたのか。
まあ、そんなこんながあり家についたのは七時でアリスが晩御飯を作ってくれていた。
アリスのエプロン姿も萌えたので作っている姿をずっと見ていたらラルとニルにほっぺたをつねられた。
この二人につねられたとは語弊がありそうだ。
実際はひきちぎれるかとおもったぐらいだ。
見惚れてた俺が気にくわなかったのだろうと思いソファーに座り二人の頭を撫でてあげるとすっかりでれでれになる。
猫みたいでかわいい!!
そのまま、二人の頭をなで続けていると突如後ろから頭を抱えるように抱きつかれる。
柔らかい感触と共に一言の言葉を残しまた料理をしに行った。
「あとで、私も愛してね?」
「なっ!!」
その言葉を聞いた瞬間からその言葉が頭から離れない。
せっかくのアリスお手製の料理の数々の味も覚えていないぐらいにその言葉は強烈だった。
夕食を食べ終わった風呂に入り俺は朝いた部屋にいきすぐさまベッドに飛び込む。
そして、悶々としたこの感情を言葉として放出する。
「ヤバイ!さっきのアリスの言葉が頭から離れないよぉ!!あんなの!うわああああああ!!」
「なに騒いでるの?」
「あ!アリス!?」
「うん」
「い、いつからそこ、に?」
「最初っからだよ、もう超可愛かった、エ、ル、君!」
「いやああああああ!!!」
「ほんとはお風呂も一緒に入ってたんだけどね?」
「ああああ!…………は?風呂?」
「ずっとエル君、心ここにあらずってかんじだったから気づいてないとは思ってたけど」
「風呂?」
「風呂」
「マジ?」
「ほんとに」
「…………」
ダッ!!ガラッ!!
窓に向かって全力で走り窓は壊さずちゃんと開けてから飛び降りる。
注、ここは三階です。
神様、ここまで僕は幸せでした。さようなら
「またか…………浮風」
飛び降りたはずなのに急に体が浮き、飛び降りた部屋に戻されていく。
「何で!何で死なせてくれないのぉ!!浮かせないでよぉ!うわああああああ!!」
「なになに?またエルムが飛び降りたの?」
「うん」
「まったく、三人のうち一人でも近くにいたら死ねるわけないじゃない」
「ううぅ、精神的に辛い……」
無事に部屋に戻され魔術から解放されるが立っていたくなくてそのまま崩れ落ちる。
すると誰かの手が顔を挟んだ。
そして、顔をあげられる
目の前にはラルの顔があった。
「私はエルムの味方だよ?」
慰めてくれるラルに“僕”はそのまま抱きついてしまう。
「おふっ!」
「ありがと~ラル~!」
いつもかわいいがなぜか今はよりかわいく見えるラル
「うへ、うへへ、エルムから、私に抱きついてくれるなんてぇ」
“僕”の耳に変な声が聞こえたきがするけど気のせいだろう。
一方、他の人たちがこんな話をしていたことを“僕”はしらない
「あーあ、またエル君のデレスイッチが入っちゃった、相変わらずちょろいんだから、ちょっと優しい言葉をかけられただけでその人にデレデレになって~」
ガチャ
「終わったよー?って、あれ?エー君スイッチ入ってる?」
「後片付けお疲れさま、エル君今回はラルにとられちゃったのよー」
「ええ~僕もエー君とイチャイチャしたいのに~!ちょっと邪魔してくる~!!」
「ダーメ!こうなったら正気を取り戻すまでラルに任せるしかないの!」
「ウ~~」
「はい、私たちは撤収ー」
「ああ!エーくーーん!」
「暴れない暴れない」
「あああぁぁ……」
バタン
「ラーールーー!」
「嗚呼!可愛い!可愛いよこの生き物!」
ラルは子供のようになっているエルムを心底嬉しそうに抱き寄せたままラルにとっての至高の時を過ごしていた。
「あ!そうだ!アリスがいってたんだけど」
「んー?」
「エルムってこの半年間の記憶がないの?」
「んんん!!?」
そこで僕は“俺”になった。
「くぅぅぅ!また俺は!」
“僕”になっていたときは“俺”の記憶はほとんどないくせに“俺”の時は“僕”になっていたときの記憶はあるのでほんとにたちが悪い。
どうせなら“僕”の時の記憶をなくしてほしいぐらいだ!
「ねぇ、エルム?」
「ああ、今はそっちが重要だよ……そうなんだ、俺はこの半年間の記憶がない」
「じゃあ!盛大に結婚式をしたことも!そのまま新婚旅行に行ったことも!みんなで初めてクエストを受けに行ったことも!買い物に行ったことも!何にも覚えてないの!?」
「…………ごめん」
「そんな ……」
そこで、ついにラルの目から涙が溢れ出した。
「……ほんとにごめん」
「ううん、エルムのせいじゃない、ちょっと、みんなと話してくる」
「ごめん」
「だから!エルムのせいじゃない!」
「ヒッ!」
いきなり、完全に俺に向けての怒気をぶつけられてつい、恐怖で声が出てしまう。
完全に八つ当たりだとわかっていても強くいってしまったラルはとても申し訳なさそうにするが、そのまま部屋を出ていってしまった。
俺に対して怒ったことすら無かったラルをここまで、怒らしてしまった。
その事に対して自分自身にとてつもなく怒りがわいた。
そして、俺は決心をした。
近くの机の上にあったノートを破り、ペンがなかったので紙で指を切り書き置きをしあるものを置いてから窓から飛び降りる。
今度は自殺を図るのではなく誰にも気づかれないようにここから離れるために。
ガチャ──
「エルム、みんなで話し合ったんだけど……て、あれ?」
エルムがいた部屋にはもうだれもいなかった。
そして窓が空いており、そこから入ってくる風の影響で一枚の紙が舞い上がりベッドの上に落ちる。
それを一瞬にして拾うニル
「これ強くエー君の臭いがする!って言うかなんか書いてあるよ!?」
「なんて!?」
「えっと!(ラルにあんな顔をさせた俺は俺が大嫌いになりました。記憶を戻すまで帰るつもりはありません、探さないでください、といっても俺が大好きになった皆は絶対に探しに来てしまうと思います。死ぬつもりはないので、安心してください。
エルム=ギール
一応ライフストーンは置いておきます。)……って」
「なっ!ライフストーンを置いていく!?」
「そんなに?」
「ライフストーンはあらゆる個人情報が書いてあるだけって思ってる人いる人が大半だけどあれには本人が生物としての機能が弱まっていくにつれてヒビが入っていくっていうのもあるのよ!?」
「え!?」
「しかも、それを教えてくれたのはエル君、ってことは、エル君が死んだことを確認してほしくて置いたかもしれないのよ!?」
「それはダメ!!」
「エルムの言う通り、私たちはあなたを絶対に探しにいく、それまで死んだらダメなんだから!」
「まだかすかにエー君の臭いが残ってるから、僕が先導する!行くよ!」
「「ええ!」」
そして、アリスは窓の前に立つ、
「疾風翼!」
風の上級魔術である疾風翼は移動専用の翼が背中に現れて自由に操れるようになるという、人間なら一度は憧れる魔法の一つだ。
性能は地面を滑るように移動できる瞬歩より移動速度は圧倒的に速い。
しかし、元々ない人間にはそれを操ることは限りなく難しい。
だが、そこは魔術の天才であるアリスには容易いことだった。
窓に足を掛け一気に飛ぶ。
一方、ラルとニルはアリスが飛んだ窓からそのまま飛び降りる。
重力を無視しているような軽やかに着地をする。
そして、二人とも魔術を唱える。
「機能強化!!」
「意思共有!!」
今回、ニルが唱えた魔術は機能強化、これはそのままの意味だ。
人としてのすべての機能の強化、
しかも、ニルは元々性能が高いため犬並みの性能になっていた。
一方ラルが唱えた魔術はこれもほとんどそのままで、対象と考えていることを共有できる。簡単に言うとテレパシー。複数人可能
飛んでいるアリスに連絡するのは大変なのでこの魔術はとても便利だ。
そして最後にただでさえ二人とも化け物じみてるが完全に化け物となるための魔術を唱える。
「「全身強化!!」」
準備が終わった三人はニルの強化された嗅覚をたよりにエルムを探しにいく……




