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第二十一話 送別会と帰路

遙花視点を含みます。



 その夜――


 教会の食堂でお別れ会が開かれた。

 並んだ料理は子供の好きそうなものが中心で、

 質よりも量を重視していた。

 山盛りの肉を子供たちは奪い合うように食べる。

 その脇では満腹になった子供たちが、

 好き勝手に遊んでいる。

 片隅では住み込みの仕事に出ている年長組が、

 久々の顔を合わせる機会に旧交を温めている。

 もう何の会なのか、よく分からない状況だった。


 けれどハルカはその状況を楽しんでいた。

 ハルカの家族といえば、

 姉と兄とアリスの三人だけれど、

 三人ともどこかひねくれていて、

 食卓は全員揃っても皮肉が飛び交い、

 複雑な議論が繰り広げられる、

 団欒とは程遠い場所だった。

 もちろんそれでも、

 みんながみんな、

 お互いにお互いを、

 大事に思っているのは分かるんだけど。

 少し憧れていたのだ。

 こんな風に騒がしくも楽しい食事会に。


 実はこの食事、

 女の子たちと一緒に準備したものだ。

 下ごしらえはできなかったけど、

 兄さんとのデートが終わった後、

 ハルカもできるところは手伝ってみたのだ。

 盛り付けも不恰好で、

 味付けも少し失敗しているけれど、

 こうして楽しそうに食べてもらえると、

 なんだか嬉しいなと思う。

 今度兄さんにも何か作ってあげようかな。

 そんなことを思いつつ、みんなと話す。


 少年はハルカの技の秘密を聞きたがった。

 あの時の戦いの様子が

 尾ひれがついて広まっているようだった。

 今日も初顔のために簡単な技を実演してみせる。

 歓声が上がる。

 どうしたらそんなに強くなれるのか。

 ここ一週間は男の子からそれしか訊かれてない。

 逆に普段の訓練の仕方を聞いてみると、

 出てきたのは最速最短、

 全力全開というポリシーだ。

 スワルガではそれが普通だという。

 しかもこの教会での開祖はナイジェル氏らしい。

 彼も第一撃の強さに定評のある剣豪であるとか。

 ハルカは少し考える。

 どちらの方が少年たちのためになるだろうか。


 ハルカの技術は才能が必要だ。

 対して最速最短の哲学は誰でも実践できる。

 鍛えた分がそのまま結果に繋がるし、

 刀や槍を扱うなら王道の心構えともなる。

 ハルカは思ったことをそのまま伝える。

 少年たちは納得すると、

 やっぱり最速最短だぜと騒ぎ始めた。


 暴れ出した少年たちを庭に追い出して、

 ハルカと女の子たちは一息つく。

 男の子ってばかだよねーと顔を見合わせる。

 そして次に矛先が向いたのは、

 久しぶりに帰ってきたキリーンだった。


 何か進展はあったの?


 と問いかける少女たちに、

 キリーンは顔を真っ赤にして首を振る。


 っていうか、誰と進展するんだよ!


 と苦し紛れの逃げ口上を口にしているが、


 へー 言っちゃっていいのかな、いいのかなー


 と逆襲を受けている。

 そこでハルカを見たキリーンは言い募る。


 こいつ、今日デートしてきたんだぜ!


 だが意味はない。

 もうみんな全部知ってるから。

 恋に恋する女の子たちは非情だった。

 ハルカは準備中にいじられ尽くしていたのだ。

 祭りは続く。気付けば終了時間になっていた。



 ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇



 ハルカは教会の裏庭で、

 鉄屑の足場に座り込んで一息ついていた。

 高揚した身体に夜の冷気が心地よい。

 先ほどお別れ会の片付けも終わった。

 三週間を過ごしたこの教会も今夜が最後だ。

 別れを惜しんでくれたみんなを思い浮かべる。

 いつになるかは分からない。

 でも絶対にもう一度ここに来よう。

 そう心に決める。


 物干し場からは辛うじて空が見えていた。

 夜空を埋める星々。

 その輝きの一つ一つが実は、

 遠く離れているために小さく見えるだけで、

 スターライトとは比較にならないほど、

 莫大な光と熱を放つ巨大な炎の塊なのだという。

 暗黒に浮かぶその輝きを想像し、

 ハルカはふと考える。

 彼らは何を感じて生きているのだろうか。

 絶対零度の真空の中で、燃え尽きるまで、

 誰と触れ合うこともないその孤独、それは、

 どれほどの寂寥と恐怖に満ちているだろう。

 でも、とハルカは思う。

 彼らの放つ光をハルカは今見ている。

 彼らの存在の証を確かに受け取っているのだ。

 もしかすると無限の彼方まで届くこの輝きこそ、

 彼らの言葉そのもので、

 星々は数百光年を隔て、

 ゆったりと語り合っているのかもしれない。


 今日は心地よい重力波だね。

 昨日はひどい超新星だったね。


 数百年スパンの気長な星々の会話を想像し、

 ハルカは一人くすくすと笑う。

 何だか無性に楽しい気分だった。

 真っ暗な空を見上げる。

 星の声が聞こえるような気がした。


 その時だった。


 天井の亀裂に影がかかる。

 影はゆっくりと動く。

 亀裂の向こうに何かがいるのだ。

 とっさに立ち上がって構えるが、

 その正体に察しがつくと、

 抵抗に意味がないことに気付く。


 それは自由落下してくると、

 圧倒的な重量を有していながら、

 まるで羽毛のように静かに着地した。

 眼前に立つのは、

 巨大な鋼鉄の戦闘機械、

 リバース・セントラルの強化外骨格だ。

 ここまで音を抑えることができたのは、

 下肢機構の衝撃吸収能力の高さと、

 操縦者の超人的な技量によるものだろう。


『夜分遅く失礼します』


 声は外骨格の腰の辺りから聞こえた。

 女性の声だ。

 声質自体は年上のもので、

 少し気取っているようだけれど、

 ハルカはそれをどことなく幼く感じた。


「何か、ご用ですか」


 カメラを見据え、硬い声で応じる。


『驚かせてしまいましたか』


 声は優しげだった。


『そんなつもりはありませんでした。

 私はリバース・セントラルの連絡員です。

 今回の件では、あなたのお兄さんに、

 お世話になりました』


 外骨格は続けた。


『それで、

 彼の身辺を調査していたら、

 あなたの存在を知りまして。

 直接お会いして話がしたいと思ったんです』


 話からするとこの人は兄の敵だ。

 情報を敵に洩らすことなど論外である。


「私にはあなたと、

 どんな話もする気はありません。

 そんなに知りたいことがあるのなら、

 兄さんと直接話をすればいいでしょう」


 ハルカは冷たく言い放った。


『そうではないんです』


 声は慌てたように付け足した。


『ハルカ・アブライラ、

 私たちと同じ血を引くあなたと、

 あなたの父親について話がしたい。

 そう思っています。

 私の名はリディア・アブライラ。

 あなたの父親の腹違いの妹です。

 子供の頃はよく遊んでもらいました。

 ハルカという娘が生まれたことも、

 手紙で知っていました』


 パパの妹?

 遊んでもらった?

 そんなの、聞いてない。

 ハルカは息苦しさを感じた。

 何を言っているのか分からなかった。

 リディアは静かに言う。


『兄はどうなったんでしょうか。

 もし知っている方がいれば、

 聞いてみたいとずっと思っていました。

 それに残されたあなたが心配でした。

 辛いことはありませんでしたか?』


 優しい言葉に心がなびきかける。

 受け入れてしまいたくなる。

 だめだ。罠だと自分に言い聞かせる。

 ハルカを懐柔して、兄さんを陥れるための、

 足掛かりにしようとしているのだ。

 こういう時に優しい声をかけてくる人間は、

 大体そうなのだ。


 でも、とハルカは思う。

 未練が心を縛る。

 一言で断ればいいものを何も言えない。

 そして沈黙の中に己の本心を自覚する。


 パパのことを知りたい。

 どんな風に生まれて、

 どんな風に育ったのか。

 どうしてセントラルに来ることにしたのか。

 どうしてハルカという子供を作ったのか。

 ハルカをどう思っていたのか。

 ハルカは何も知らなかった。

 パパは何も聞かせてくれなかった。


 本当にこの人がパパの妹なら。

 彼女の言っていることがもし本当なら。

 優しそうな人だった。

 兄さんがいつも言うような、

 感情と行動が乖離していて、

 笑顔を浮かべながら、

 全てを利害だけで判断する人なんて、

 そうそういる訳がない。

 せっかくの機会なのだ。

 勇気を出そう。

 ずっと疑問に思っていたことを、

 解消できるかもしれないのだ。

 ハルカは意を決し、口を開いた。


「分かりました。その代わりに教えてください。

 あなたから見て、父がどんな人だったか。

 それでよろしければ、お話をしましょう」


『もちろん、よろこんで』


 そしてハルカは彼女と夜遅くまで話し続けた。





 ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇



 翌朝――


 スターライトの点灯前に、

 僕とフレアは宿を引き払い教会へと向かった。

 荷物はほとんどなかった。

 結局使うことのなかった武装ぐらいだ。

 到着すると教会の扉を開く。


「あ、兄さん、おはようございます!」


「おはよう、遙花」


 中では遙花が準備万端の状態で待っていた。

 お土産らしき荷物と共に、

 例のトランスポーターもどきもある。

 その奥ではナイジェルが既に起き出して、

 レイミアとお茶を飲んでいた。

 僕は荷物を確認すると二人に声をかける。


「ナイジェル、レイミア、世話になったな」


「嬢ちゃんに助けられたのは俺たちの方さ」


 ナイジェルは笑う。

 そして僕と遙花に言う。


「またスワルガに用事がある時には、

 ここに寄ってくれ。歓迎するぜ。

 俺はいないだろうがレイミアはいるはずだ」


 レイミアが微笑む。


「また会いましょう、ハルカちゃん」


 遙花は勢いよく頷く。


「はい、必ず!」


 僕は頷く。


「二年は先の話になるだろう。

 その頃にはスワルガも変わっているだろうな」


「そうでもないさ。こんな状況だが、

 今回のスワルガ宗主選挙も、

 黄衣派の当選は確実のようだからな」


「ソーマの件があるのにか」


 ナイジェルは頷いた。


「責任を取った命の数が禊になったってことだな。

 怒りを抑えて冷静に考えれば、やはり黄衣派だ。

 それにだ、他の候補にもまともなものがいない。

 今一番乗っている独立派は、

 スワルガの中の政治には興味がないようだしな」


「独立派に政治なんてできるはずがない」


「ああ、自覚もあるだろうさ。

 そして黄衣派が宗主である限り、

 スワルガはおおむね今のままだろう。

 ま、次は仕事と言わず遊びに来い、ラッカード」


 ナイジェルは笑う。

 それは孤児たちの親としての顔だ。


「また会おう」


 僕らはそう言い交わし教会を出た。



 ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇



 僕らは荷物を分担して背負い外へと向かった。

 スターライトがベルトを照らし出す。

 早朝のスワルガはまだ動きが鈍い。

 閑散とした大通りを抜けて、

 大広場からスロープをくだり船体の外に出る。


 船体の外に広がるバラック街の中を縫うように、

 僕らは歩き、郊外の柵に囲まれた広い一角、

 運送屋組合の事務所に到着する。

 手続きをすると予約した偽竜が厩舎から現れる。

 さすがに特急ではなく普通の偽竜だ。

 三人で偽竜一頭というのも贅沢ではあるのだが、

 相乗りではさすがに無用心すぎた。

 僕らは偽竜の背負う荷台に乗り込むと出発する。


 最初の手綱は僕がとる。

 偽竜の歩みは速く人が走るくらいの速度は出る。

 十数分でバラック街を完全に抜ける。

 それからスターライトが消える間際まで、

 僕らは交代で御者を務めながら、街道を進んだ。

 そしてたどり着いた何番目かの宿営地で、

 偽竜を停める。


 街道には一定距離ごとに宿営場所がある。

 雨露が凌げる屋根がある程度で、

 防衛設備も柵しかないが必要はあまりなかった。

 街道沿いの中小クラスの変異生物は、

 偽竜がそこにいれば近寄って来ないからだ。

 偽竜は穏やかな性質だが戦闘能力は低くはない。

 襲われれば圧倒的な力で反撃する獰猛さもある。


 僕は偽竜を隅に連れて行き餌を食べさせる。

 餌は固形にまとめられた草だった。

 旅路の長さに合わせて、

 必要量を出発時に積むのだ。

 より長期になると現地調達することもある。

 偽竜は雑食性なので何でも食べる。

 だがやはり草が好物のようだった。

 一心にもぐもぐと咀嚼している。


「に、兄さん、明日は私があげてもいいですか?」


 その様子にうずうずとしていた遙花が言う。

 特に問題はなかった。

 偽竜の食事が終われば人間の食事だ。

 保存食を手早く終わらせると、

 僕とフレアは立ち上がった。


「どうしたんですか」


「日課の訓練だよ」


 問う遙花に僕は答える。

 広い場所まで出ると、僕とフレアは向き合う。

 僕はいつものように両手を軽く上げた自然体。

 遙花にも教えた構えだ。

 フレアはやはり防御を重視した深い構えだが、

 以前より少し重心が前に浮いている。

 それは竜人と対戦した後からの変化、

 防御から攻めへの転換を加速する工夫だった。


「行きます」


 フレアが踏み出す。


「全力で来い」


 それから三十分ほど戦い続ける。

 訓練は僕の優勢で終わった。

 構えの変化は余計な隙を生む結果となっていた。

 まだスタイルが馴染んでいないのだ。

 だがひやりとする回数が増えたのも事実だった。

 反撃の出が早くなっているのだ。

 あれを見せられれば安易な攻撃はできなくなる。

 それは結果として攻勢を鈍らせ、

 そして攻勢が鈍れば更に防御を破りにくくなる。

 馴染んでいけば隙も減っていくはずだ。

 その技は鉄壁の名に相応しいものとなるだろう。

 フレア自身、手応えを掴んでいるようだった。

 遙花はそれを見て微笑んでいる。


「遙花もやりたいか」


「遠慮しておきます。

 フレアさんのような打撃中心の方には、

 私の技を半端に見せると毒になりますから。

 兄さんより強くなる頃までは今の形が一番です」


 遙花は柔らかに答えた。


「それもそうだな」


 遙花がそう言うのであれば仕方がなかった。



 ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇



 それから僕らは旅を続け、

 夕暮れ時にたどり着いた宿営地で宿をとる。

 これが六回目の宿泊になる。

 明日の昼までには帰着できるだろう。

 嬉々として偽竜に餌を与える遙花を横目に見る。

 穏やかな様子だった。

 スワルガで再会した時には、

 ちょっとおかしいのではないか、

 そう感じたのだが今は落ち着いていた。

 遙花にはもともと情緒の不安定なところがある。

 食事と訓練を終えた後、僕は遙花と話をする。


「最近、学院の方はどうだ?」


 そっと尋ねる。遙花は表情を変えずに答えた。


「何も変わりません」


 それは悪い状況が続いているということだった。

 僕は思い切って言う。


「遙花、ずっとこっちにいてもいいんだぞ。

 学院で教えられることは僕も全て教えられる。

 遙花は、もう十分に頑張ったと僕は思う」


 遙花は俯いて、首を振る。


「大丈夫です。

 もう残り一年ですから、

 そのくらいは頑張らせてください」


 折れそうな声だった。

 僕は何も言えなくなる。

 遙花の思い通りにさせてあげたいと思う。

 だがそれで遙花が壊れてしまうようなら、

 看過した自分が許せなくなりそうだった。


「兄さん」


 まるで消え去りそうな雰囲気だった。


「……どうしたんだ?」


「時々、分からなくなるんです。

 私が何なのか。ここにいていい人間なのか」


 僕は遙花の目を見つめて答える。


「遙花が側にいてくれると少なくとも僕は嬉しい。

 たぶんベルやアリスも同じ気持ちだと思う。

 それじゃだめか?」


 僕は自分の正体を知らない。

 だが今の自分が何を求めているのか、

 その答えは知っているつもりだった。

 遙花は頬を緩ませた。


「ありがとう、兄さん。でも」


 遙花は浮かない顔に戻る。

 そして、


「どうしてパパは、

 私を置いていったのでしょうか」


 父親のことを口にする。

 いつものことだった。

 遙花の問題はつまるところ、

 父親に捨てられたという思いに端を発している。

 それを否定することは難しかった。

 あの男が当時何を考えていたのか、

 僕には欠片も想像できない。

 あの男は外交官として優秀すぎた。

 その内心を徹底して仮面に隠して、

 誰にも明かさないまま、

 いなくなってしまったのだ。

 その死が本当に自殺だったのか、

 それはもう誰にも分からなかった。

 状況から考えれば暗殺の線も十分にある。

 だが、はっきりと確定はできなかった。

 口ごもる僕を見て、

 遙花はたぶん悪い方に解釈するだろう。

 本当は遙花も父親を信じたいはずだ。

 だがあの男の本心は誰にも分からなかった。

 僕は遙花を抱き締める。

 僕にはそれが精一杯だった。

 かけられる言葉はなかった。

 僕が何を言ったとして意味はないだろう。

 救いの道は遙花の心の中にしかないのだ。

 父親の死という事実と折り合いをつけるのは、

 遙花本人にしかできないことだった。



 ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇



 そして翌日、七日目の昼頃。

 僕らはアルテミスに帰着した。

 運送屋組合の軒先には、

 はしばみ色の髪の長身の女性、

 ベルが立っている。

 到着時刻を出発前に連絡していたので、

 それに合わせて待っていたのだろう。

 ベルは僕らを見ると駆け寄って来る。


「ハルカ、ロッド、無事だったか!」


「姉さん!」


 遙花はベルに抱きついていた。

 これで仕事も一段落だ。

 その実感がやっと湧いてきた。



 ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇



 そのままトランスポーターに向かう。

 学院の一学期の始まりまで二日しかない。

 準備を考えればもうぎりぎりだった。

 事務所にあった遙花の荷物は、

 既にゴンドラまで運ばれていた。

 待機していたゴンドラの前で遙花は向き直る。


「兄さん、姉さん、また次の休みに」


 僕らは頷く。

 それから遙花はフレアに向き直る。


「フレアさん、無茶ばかりする人ですが、

 兄さんのこと、よろしくお願いします」


 そうして遙花は去っていった。



 ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇



 遙花の見送りをして事務所に戻る。


「早速だけど、状況を聞かせてもらおうかな」


 ソファにあぐらをかいたアリスが言う。

 遙花のことについて言いたいことはあったが、

 仕事の話が先だ。

 僕らはスワルガで起きたことの報告を始めた。


出発日を初日とすると、

帰着日は三十二日目となり、ほぼ一ヶ月の旅でした。

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