70 最初の一歩は北方遠征
続きです。
ようやく話が進むのかな?
次の日の昼には鹿角ペンダントが完成した。
形は鹿の角の先端を良い感じに切って穴をあけてひもを通したもの。
先端はちょっと尖ってて光っているけど怪我しないようにね、としか言えない。
それを第五教会の修道士、修道女に配った。
数は足りた。
ついでにクラーレン神父にもあげた。
魔力を込めると光りの槍が出る危険なペンダントだけど、
修道士や修道女さん達は回復魔法を使えるので魔力を操れ無いという事は無い。
試しに使ってみてもらった。
非力なシスターさんでも太い丸太に穴を開ける事が出来た。
「ちょっと危険では?」
シスターさんが驚愕の表情で言う。
「無差別に全部吹き飛ばしたりしないから、むしろ安全ですよ。」
俺。
「そう言われたらそうかも。」
シスターさん。
「殺す時は頭部か胸を狙って、それ以外は足を狙って動けなくすると良いですよ。」
俺。
「わかりました!」
「それと標的の後ろに味方が居ないかを確認してから撃つと良いです。」
教会の皆さん的には魔法よりも夜中ペンダントが光っていて便利!との事だった。
数日は伐採場と畑と治安部隊に顔を出し、町中でちょこちょこ依頼をこなし、
北で狩をして、チンピラ共を鍛える。
そんな日々が続いた。
アーロン達の手下のチンピラは徐々に増えていく。
アーロンとクラーレンはチンピラ共にじっくり説教をしている。
自分や自分の仲間がやった犯罪の愚かさを説いている。
そのおかげか自分の犯した罪の重さをしっかり受け止める事が出来た様だ。
そのうち頼れる部下も出来たらしくチンピラの矯正は順調なようだ。
そんなある日。
クラーレン神父、ジュリエット王女殿下、アーサー団長、アーロン、俺でお茶会をしていた。
「唐突で申し訳ないのですが北方へ護衛として共に来てくれませんか?」
王女殿下がそんな事を言う。
「唐突だな?」
俺。
「ええ、また視察してこいって言われました。」
「誰に?」
「父です。」
「ふーん。」
「誰かが父上に助言して父が私に命令したのでしょうね。」
と殿下は仰る。
「今回はヒロ殿と私と王女殿下で北方に行けとのご命令だ。」
団長さん。
「三人で?と言う事は暗殺の線は薄そうですね。」
クラーレン神父。
俺と団長が居ればよっぽど暗殺は無理だ。
「逆に王都で何かありそうですね?」
アーロン。
国王が自ら純粋に殿下に命令をしたって可能性もあるけどね?
「確かにな。でもクラーレン神父も北方に用事があったんだろ?」
俺。
「そうです。」
「ちょうどいいので私もご一緒してよろしいですか?」
クラーレン神父。
「ですが、きな臭い噂があるんですよ。」
と団長が話始める。
どうやら北方でゴブリンが異常に増えているらしい。
国王的にはそれの調査に殿下が団長と俺を伴って行って来いとの事だったらしい。
でついでに町の視察もして来いという事だ。
「俺と団長だけで殿下とクラーレン神父の護衛か・・・」
俺。
「私も同行しましょうか?」
アーロン。
「部下は大丈夫か?」
俺。
「ええ、俺とディーンで神父の護衛に付きます。」
「ブレッドとカールとエディはここで部下の面倒を見させるという事でいかがでしょう?」
アーロン。
「アーロンさんの部下も育っているみたいですしそれで問題なさそうですね。」
「私の護衛をお願いできますか?」
クラーレン神父。
「よっぽどの事が無ければブレッド達がどうにかするだろうし問題なさそうだな。」
俺。
因みにクラーレンの目的は教会や貴族の味方探しと情報収集で俺も協力する予定だ。
しかしゴブリンの調査もしなければいけない。
俺の北方遠征は忙しくなりそうだ。
出発は明後日の早朝となった。
それまで旅の準備をしておく。
全員軽装で馬に乗って行く予定だ。
クラーレン神父はミカに乗ってもらう。
卵は箱ごと大きい鞄に入れてユキの尻に乗せる事にした。
鞍に付けられるようにして貰ったのでユキが激しく動いてもずれたり取れたりしない。
アーサー団長はモルグの鞍に三つくらい大きいバックを付けて荷物を入れるらしい。
どうしても積めない分は誰かの【収納】に入れてもらう事になった。
因みにクラーレン神父も一応【収納】を使えるので荷物は少ない。
アーロンは剣を背負って、殿下にはスライムが数匹入った鞄を背負ってもらう。
水用の空樽を【収納】に数個入れて置いて野宿をするごとに水を汲んでスライムにろ過してもらう。
水場は殿下と団長に教えてもらう。
もちろん飲料水を沢山【収納】に入れているがこっちはいざって時用なのでなるべく使わない。
これは薪も同じで基本的に現地調達を心がける。
こんな感じで色々工夫したおかげで全員軽装で移動が楽になった。
団長さん曰く、普通の人の旅よりかなり身軽になったらしい。
前日の朝にはガキンチョに暫く出かける事を伝え、
宿屋にはたいして荷物を置いていなかったので、
出発当日の朝に一旦引き払う事にした。
前日の内に宿に普段置いてあった幌馬車やデカい二つの荷車は友人の家に置かせてもらうと言う体で【収納】に入れる。
ポニテ嬢にも伝えたので準備万端かな?
そして迎えた当日。
早朝に教会にて待ち合わせ。
俺は狩用の服ではなく外出用の服を着てくまさんマントを羽織る。
因みにデザインはほとんど同じで頑丈さと引き換えに軽くなっている。
まあぶっちゃけ俺的にはたいして違いは無いんだけどね?
狩用の方が分厚めでちょっと着心地が堅いかな?って程度だ。
ちゃんと皆集まった。
王女殿下は一応フードで顔を隠して出発する。
北の門に向かい門番に身分証を見せて外に出る。
早朝で人が少ないので早速馬を走らせる。
ジュリエット、アーサー団長、クラーレン神父、アーロン、ディーン、俺
そしてスイとエンと馬たち。
6人と6頭と2匹で出発。
縦二列になって走る。
先頭は俺とディーン。
最後尾はアーサー団長とアーロン。
平原を超えて森へ突入し、ひたすら森の中の道を走る。
「馬車でのんびり旅じゃないのが残念ですね。」
ジュリエット。
「すっごく急いでいる。と言うわけではありませんが、のんびりしているわけにもいかないのです。」
クラーレン神父。
「問題が全部片付いたらのんびりすればいいさ。」
俺。
「所で北方には何があるんですか?」
アーロン。
「北方には深い険しい森と採掘場があります。」
団長さん。
「採掘場はいくつかあって、鉱石のとれる所や岩塩が取れる所に石が取れる所があります。」
ジュリエット。
「鉱石や岩塩はともかく石って言うのは?」
俺。
「城壁や石畳用の石です。」
団長さん。
「あー、なるほど。」
俺。
採石場ね。
「他には牛や羊の乳で作った料理が沢山あるんですよ。」
ジュリエット。
「へえー、おいしそうだな。」
俺。
「私も食べた事は無いんですよ。」
ジュリエット。
「そうなのか?」
「実は初めて行くので・・・」
「なるほど。」
視察って言うのは王女が王国の事を知りに行くって意味もあるのかな?
「鳥や狼やゴブリンが比較的多いって聞きましたよ?」
ディーン。
「私も聞いた話ですが、深い森にそう言った魔物が沢山いるらしいですね。」
団長。
「皆他から聞いた話みたいだね?」
俺。
「つまりここに居る誰も実際に行った事は無いという事ですね。」
クラーレン神父。
「その通りです!」
ジュリエットは楽しみな様子。
「北方の枢機卿も領主様もあまりいい噂は効かないので注意した方がいいですよ。」
クラーレン神父。
「何されるか分かったもんじゃないな。」
アーロン。
「攫われて売られて変態爺か変態婆に弄ばれるかもな。」
俺。
「それが冗談でなく実際起こっている事なのが怖い所ですね。」
ディーン。
「西方であのザマだし他じゃもっとひどいかもな。」
俺。
「報告書で確認しましたが本当にひどかったらしいですね・・・」
クラーレン。
「ええ、亡くなった人はもちろんですが、生還した人もかなりのトラウマを負っていました。」
ジュリエットは救助した人の看護をしてい居た。
それに対して俺はずーっと犯人を追っていたのでその辺りに詳しくはないのだ。
ジュリエットとクラーレンがそう言う人に対する対応仕方の話を始めた。
二人以外は話を黙って聞く。
無気力っぽくなったり眠れなくなったり、場合によっては自傷行為に走ったりするそうだ。
当時の事を思い出す料理や物を嫌がったりして社会復帰が難しい場合が多いらしい。
俺からすれば身に覚えのある話だった。
そんなストレスを俺は戦闘訓練に向けていた。
しかし戦闘訓練でボコボコにされるのは嫌だ。
なので何時しか戦闘訓練で勝って相手を殺すのが当時の俺にとって一番の幸福で娯楽となって行った。
今では結構マシになったがそれでも戦闘で敵を殺すのがとても幸福に感じる。
相手を殺すと生きていると実感できるのだ。
自分の性格が狂っているのは十分自覚しているが、
あえて言わせて貰いたいのは俺みたいな存在を作り出した神も十分狂ってる。
その後は雑談をしつつも順調に進む。
馬の足音がすごいので必然に声が大きくなる。
スイとエンは走り回って周囲を偵察したり、馬の尻に乗って休憩したりしている。
今はエンがクラーレンの後ろに乗ってクラーレンの肩に前足を置いて立っている。
「その体勢疲れないの?」
ジュリエット。
「わん!」
エン。
「なんて?」
ジュリエット。
「休憩してるわけじゃないってさ。」
俺。
「そうなの?」
ジュリエット。
「遠くまで見えるからそこで監視してるんだってさ。」
俺。
「ほんとに?」
ジュリエット。
そんな話をしているとスイがやって来てエンの尻尾に噛みつきエンを引き摺り下ろす。
そしてしぶしぶ周囲の警戒に戻る。
そしてクラーレンは肩を回している。
やはりエンは少しだけ重かった様だ。
そう言えばスイとエンはすでに母犬と同じサイズになり、さらに大きくなっていく。
双子の肩甲骨の上部分の位置は俺の腰くらいの高さでめっちゃデカい。
そんなのがクラーレンの肩に乗ってたんだからそりゃ重いわな。
そして通常の倍以上の距離を走って日が沈む前に野営をする。
場所はジュリエットとアーサー団長に聞いて水がある場所に決めた。
ジュリエットとクラーレンで木の枝を集めて火起こしをしてもらい、
アーサーとディーンでジュリエット用のテントを立てて馬のブラッシング、
鞍も外して軽く拭いてもらう。
基本的にこの馬達はロープで縛ったりしなくてもどっかに行ったりしないので裸で放置する。
アーロンは大きい樽全部に水を汲んで魔法で運搬してもらう。
俺は餌と食い物を爆速で探して狩る。
双子と馬たちは特に血抜きとかしなくても動物を食う。
しかし人間どもは血抜きをして味を付けて焼かないと食わない。
なので急いで狩る。
鹿一頭と猪二匹を魔法でパパっと狩って猪二匹を馬と犬にそのままあげる。
鹿は魔法でさっさと血抜きしてバラして味付けして串に刺して焚き木で焼く。
「魔物って事を分かっていても馬が肉を食べているのは驚きですね。」
アーサー。
「草や木の葉はその辺にあるし別に動物や魔物をあげなくてもいいんだけどね?」
俺。
「ふむ、我々のついでって事ですね?」
クラーレン。
「その通り。」
俺。
「っと肉焼けたぞ。」
そう言って皆に串を配って行く。
因みにジュリエットが野菜スープを作ってくれた。
トマトを中心に野菜と小さく切った肉を入れたやつ。
ズズッ!
「おいしー!」
クラーレン。
「おお!うまい!」
アーサー。
アーサーとクラーレンはジュリエットの料理の腕にびっくりしている。
「そう言えば初めの頃はまともに料理できなかったっけ?」
俺。
「成長したもんだな。」
アーロン。
「全くですね。」
ディーン。
「何度かしょっぱすぎたり甘かったりしたもんだ。」
俺。
俺達三人はしみじみと感傷に浸る。
「失敗した事まで言わなくてもいいでしょ。」
ジュリエット。
と和気あいあいと話して体を綺麗にしてから俺達は寝る。
今回は俺とユキとアーロンとアーサーで夜の番をする。
ディーンとスイとエンは今回寝る。
クラーレンとジュリエットには基本的には寝てもらう。
この二人以外でかわるがわる寝たり夜の番をしたりする。
ジュリエットはテントにそれ以外は野宿だ。
まずは俺が番をする。
暇つぶしに木を切って乾かしたりして木製の槍を作る。
これが意外と有用でいざって時投げたり敵に刺したり出来るし、
そのうえ手作りで材料費がタダなので使い捨てにしやすい。
地面に何本か刺してロープで縛れば臨時の柵にも出来る。
今回狩った猪の牙とか鹿の角とかの形を整えて槍の先に縛り付ければ、
より強力な槍にも出来る。
魔法で大まかに形を整えて、ナイフでカリカリ削って時間を潰す。
近寄ってこようとした魔物か動物に木槍を投げてビビらせて追っ払う。
20本前後完成し何本かは鹿の角を槍の先に付けた所で次の人と交代、
次はアーサー。
「これは?」
アーサー。
「暇つぶしに木の槍を作ってたんだ。」
「木材が余ってるし何か作っててもいいよ。」
俺。
「なるほど、槍を何本かお借りしても?」
「いいよ、っていうか朝までこの槍の束は置いておくから自由に使ってって皆に言っておいてよ。」
「了解した。」
って事で俺は睡眠。
スイとエンと卵を抱えてマントに包まって寝る。
そして朝日が昇る前。
起きるとアーロンが馬の模型を作っていた。
俺やアーロン達は起きて軽く素振りをする。
日課になってしまったので、毎朝やらなきゃ何か変な感じがするのだ。
木刀と木剣でアーロンやディーンと軽く打ち合っているうちに皆起き出した。
「朝から元気ですね。」
ジュリエット。
「おはよう。俺達は元気が取り得です。」
俺。
って事で昨日の料理の残りを食べてさっさと片づけをして出発。
汲んだ水はなるべくまとめて樽ごと【収納】にしまう。
また次の日もこれを使う。
多分昨日汲んだ水があれば今晩の分の水も足りると思う。
もし水場が無かったとしても一応大丈夫って事だ。
でまた移動する。
時々休憩を挟みつつ馬で走る。
馬ではなく乗り手の体力が持たないのだ。
特に馬に乗り慣れていないアーロンやディーンやジュリエットやクラーレンだ。
尻がどうのこうのと話をしている。
「まあ普通の馬よりも早いスピードで走ってるし仕方ないよな?」
俺。
「そうだな、普段から馬に乗り慣れている私ですら大変なのだからな。」
アーサー。
スイとエンは偵察と言いつつ周囲の魔物を狩りまくっている。
強行偵察ですかね?
お陰で何が生息しているのか分かりやすくて助かる。
この辺りは狂走鳥より大きいドードー鳥が多めだった。
ドードー鳥は狂走鳥の大きい感じの奴だが、あんな狂った鳴き方と走り方はしない。
因みに狂走鳥は一部の個体が大きく成長して狂走怪鳥になるらしい。
そっちはまだ見た事が無い。
さらにちなみに狂走鳥はクレイジーランニングバードと呼ばれており、
狂走怪鳥はクレイジーランニングロックバードと呼ばれている。
※文字数が多いので普段は漢字の方で表記しています。
狂走鳥は1m
ドードー鳥は2m
狂走怪鳥は3m以上
サイズはこんな感じだ。
狂走怪鳥に至っては4mとも5mとも言われていてサイズの情報が様々だ。
未だに大きさの上限がどのあたりか判明していないらしい。
とまぁ、皆とそんな話もしながら道を爆走する。
アーサー団長も狂走怪鳥を見た事は無いそうだ。
で、今夜はドードー鳥の料理だ。
せっかくなので大きめに切ってエリーさん特製スパイスで焼いた。
バカ美味かった。
スープは野菜たっぷりあっさり系だった。
今夜も夜の番をする。
今夜も槍の束を置いておく。
事の他好評だったのだ。
夜には茶色のオオカミが襲ってきたが、しかしアーサーが木の槍を連投して全部倒したらしい。
「すごいな。」
俺。
「数頭しかいなかったので一人で対処出来ました。」
アーサー。
馬ってデカいし思っているより狂暴なのであんまり襲われないと思ってたけど、
そんな事は無かったらしい。
オオカミは馬と双子の朝食になった。
オオカミは結構デカいので一部は晩飯に取って置くことなった。
数日はそんな感じで進む。
王都と北の町の間にある村に到着した。
およそ2倍から3倍のスピードで到着した。
休み休み緩めに移動したので気合を入れればもっと早く着くはずだ。
「それにしても驚異のスピードですね?」
クラーレン。
「お前たちの尻がもっと頑丈になればもっと早くなるね。」
俺。
「尻ではなく乗馬技術の問題です。」
ジュリエット。
時刻は昼前。
泊まるには早すぎる時間なので必要な物を調達してさっさと通り過ぎる。
人攫いの宿とかがあったりしても嫌だもんね?
またひたすら走る
王都から離れれば離れるほど治安が悪くなっている気がする。
分かりやすく邪悪な気配を漂わせている奴らが増えて来た。
俺達全員馬で爆走しているので絡まれたりしないのが救いだ。
とか考えて居たある日の昼頃の事。
スイとエンが報告してくる。
どうやらこの先で馬車が道を塞いでいるらしい。
そしてその馬車の前で止まった旅人を囲うように人が隠れて配置されているらしい。
当然盗賊か強盗の類だ。
「どうする?」
俺。
「シメて再教育したい所です、今はそんな暇ありませんよね。」
アーロン。
「そうですね。」
クラーレン。
「じゃあ俺が一人でやっつけてくるよ。」
久しぶりの本格的な対人戦闘だ。
「なんでちょっと嬉しそうなんですか?」
ジュリエット。
「気のせいだ。」
顔には出てない筈だ。
俺は卵を鞄ごとジュリエットに渡す。
そして大斧を出して、戦闘準備完了。
「スイとエンは左右に展開して逃げる奴を始末してくれ。」
「「わん!」」
俺は大斧を担いだままゆっくり近づく。
パカパカと音を鳴らしゆっくり歩く。
「一人か?」
「たいして荷物がなさそうだな。」
「財布だけで勘弁してやるよ。」
男たちは武器を俺に向けながらそんな事を話している。
「心を入れ替えて真面目に働く気はないか?」
といつの間にか周囲を囲んでいる男たちに声をかける。
「あぁ!?」
「はっはっはっはっは!」
「恐怖のあまりおかしくなっちまったか?」
「さあ財布と荷物を置いていけ。」
そしてユキの手綱を握ろうと男が近づいて来る。
男が手綱を握る瞬間・・・
ユキがキレた。
男の頭に噛みつき男を振り回し周囲の男たちを吹き飛ばす。
そして蹄で頭や上半身を蹴り爆散させたり踏み潰す。
俺も男達の首をお上品に撥ねて行く。
思ったよりも多くて、およそ2~30人いたみたいだが数秒程度で全滅させた。
辺りは血と肉片の海だ。
魔法でサクッと綺麗にいく予定だったがユキが暴れたかった様なので付き合った。
お陰で俺もユキも血まみれ肉片まみれだ。
「満足か?」
俺。
『フン!汚い手で触れるな雑魚が!』
少しは怒りが収まってきた様だ。
俺とユキに着いた肉片を風魔法で吹き飛ばし、
浄化魔法で血や汚れを落とす。
そうしている内に皆が来た。
「うわぁ・・・」
ジュリエットは鼻と口を塞いでやって来た。
「終わったぞ。」
俺。
「随分と散らかしたものだな?」
アーサー。
「俺に言うな。」
俺。
「ユキさんが大暴れしたみたいですね。」
アーロン。
「賊が手綱に触れようとしたせいでユキがキレた。」
俺。
「あー、それは賊が悪い。」
ディーン。
「え?そうなるんですか?」
クラーレン。
「魔物だろうが動物だろうが馬は猛獣だ。」
「不用意に近づく方が悪い。」
俺はユキの首を撫でながら言う。
「その通り。」
ディーンも馬の首を撫でながら言う。
「まあ極端な意見だが概ねその通りだ。」
アーサーはモルグの首を撫でながら言う。
「そうなんですね・・・私も今後気を付けます。」
クラーレンも真似してミカの首を撫でる。
「私の息子でさえしっかり理解しているぞ。」
アーサー。
「お子さんいたんですか?」
俺。
「ああ、言わなかったか?」
「言われたっけ?」
「俺もあんまり覚えていないな?」
俺とアーサーがそんな会話をする。
「はいはい、記憶力の怪しいおじいちゃん達はお片付けしましょうね~。」
とジュリエットが言い出す。
「「はーい!」」
俺とアーサーがアホっぽく返事をする。
そして周囲に散らばった肉片を魔法で一か所にまとめて魔法で焼く。
「で、馬と馬車をどうするか何だけど・・・」
俺。
「結構荷物があるみたいだし貰ってく?」
ジュリエット。
「それか旅人のために、ご自由にどうぞって置いておきます?」
アーロン。
「それなら首と盗賊の持ち物でしたって文言も添えて置こうか?」
俺。
賞金が掛かっているかもしれないと思い、誰か判別がつく首を確保してあるのだ。
「見せしめも兼ねて、それで行きましょう。」
ジュリエット。
「首は腐って臭うかもしれないのでやめて置きませんか?」
クラーレン。
「確かに?」
俺。
って事で馬車を道の外側の端っこに置いておく。
そして白っぽい布に大きく『成敗された盗賊の物資です。どうぞご自由に!』的な文言を書く。
その布を馬車の横にでっかく吊るす。
物資は主に非常食と布や服にテントっぽいのだ。
「馬はどうする?」
俺。
「装備を外してやって、ついて来るんなら世話をして、ついてこないのなら放っておくのがいい。」
アーサー。
装備を外してやったら俺達が来た道を戻って行ったので放置する事にした。
改めて俺達は道を進んでいく。
「隊長の【収納】にまたもや頭が増えたようだな。」
ディーンがボソッとつぶやく。
修道士とか修道女とかって宗派によって呼び方が変わったり、
立場が違ったりするらしいです。
ですがこの物語では神父の部下的な感じに思って下さい。




