69 暇人完成
続きです。
さらに数日後
いつも通り朝の訓練をして朝食を取って協会に行く。
協会で懸賞のかかった魔物を眺めていると、肩をツンツンされる。
「あのー。」
ポニテ嬢が不満げな顔で話しかけてくる。
「どうしました?」
俺。
「ちょっとお話が・・・」
依頼かな?と思ったがどうもそんな感じではない。
受付のカウンターにて話をする。
「私ではなく、我々の上司からお願いと言いますか、文句があるのですが・・・」
「文句??」
今回こそ本当に何かしちゃいました?って感じなんだけど。
身に覚えが無さすぎる。
「はい、私ではなく上司からですよ?」
と釘を刺してから言う。
「ヒロさんが西の平原で魔物を狩りまくっているせいで他のハンターの狩る魔物が居ないとの事です。」
身に覚えがありましたわ。
「あー、それは確かに狩り過ぎたかも?」
「はい・・・」
「日々納品していただいている魔物の量からしても尋常ではない数を狩っていただいているので・・・」
「他方面から文句が出て居まして」
「ハンターだけでなく他方面から?」
「はい、解体部門や加工を行っている方々に加え財政的にもちょっと厳しいとの事です。」
財政ってのは俺に大量の報酬を払った事で、
収穫物をまだ売れていないのに金ばかり出ていくって事らしい。
「さらに牛などの魔物の肉や革が若干の値崩れを起こしていまして・・・」
「あー・・・それはまずいな・・・」
牛を狩り過ぎたか。
つまり俺に報酬を払ったはいいけど値崩れしてしまって儲けが減るか無くなる可能性が有るって事だろう。
「はい、なので少し手加減をしていただきたいのです・・・」
ポニテ嬢は申し訳なさそうに言う。
「わかりました。」
という事でする事が無くなってしまった。
まあ金はあるから良いんだけどね?
どうしようか?
考えた末、伐採場に顔を出してお手伝いする事にした。
「おう?暇すぎて手伝いに来たって?」
ギデオンさんは不思議そうに俺を見る。
「はい、要するに俺はこの辺りで魔物を狩り過ぎたらしいです。」
俺。
「はっはっは!あのでっかい荷馬車二台に山盛りの獲物を毎日狩ってたら絶滅しちまうよなぁ!!」
とギデオンさんは大爆笑。
「なのでお手伝いしに来ました。」
「おう!ありがとな!」
俺はギデオンさんに木こり用の作業着を借りて木こりと運搬の作業をする事にした。
ギデオンさんの所の馬は元気そうだった。
木を切るコツとかどの木を切ったらいいかとか、色々聞けた。
初心者なのでお金はもらってない。
ギデオンさんには時々顔を出せと言われたので、
お言葉に甘えてそうする事にした。
次の日
朝の訓練をして朝食を食べて協会の掲示板を見て出かける。
今日は畑の手伝いをしに行く。
麦わら帽子の農家さんに同じように説明したらまたしても爆笑された。
「はっはっは!兄ちゃんおもろいなぁ!!」
との事です。
収穫を終えた後だがまた新たな作物を植えている。
虫や雑草を取ったりと広大な畑の管理はかなーリ重労働だ。
種を植えたばかりなので魔物のいたずらも無い。
俺は真面目に畑仕事を手伝った。
麦わら帽のおっさんには暇なら遊びに来いと言われた。
なので時々畑の手伝いをしに来ようと思う。
次の日
普通に町中で依頼をこなそうと思う。
「これ、アイアンの仕事ですよ?」
ポニテ嬢。
「えー、だめ?」
俺。
「ダメではありませんが控えてください。」
「はーい。」
荷物運びとか掃除とかをやろうと思ったらそう言う事でダメだった。
「チンピラ退治とかあります?」
「うーん・・・」
「そう言う事であれば、治安部隊の隊長さんのお手伝いでもしたらどうですか?」
「え?ハンターが首突っ込んでいいの?」
「あなたなら文句は言われないのでは?」
「そうなの?」
「顔見知りでしょうし。」
「協会的に、本当は依頼と言う形でお手伝いをして欲しいですけどね?」
「本格的な賃金が発生しそうだったら協会を通す様に伝えるよ。」
「はい、一般人としてのボランティア的になら見逃されますのでご安心を。」
という事で隊長のベンジャミンさんのお手伝いをしに来ました。
ベンジャミンさんにこのことを伝える。
「いまいち理解しきれませんが一般人としてお手伝いしていただけると?」
「はい!ハンターとしてだと色々不都合があるので!」
「あー・・・協会的にまずいのですね?」
「そうです!」
「ではそう言う依頼を出しましょうか?」
「どういうことですか?」
「西方の治安部隊から正式にハンターへお手伝いの依頼を出すって事です。」
「年中いつでも歓迎的な文言であなたであれば何時でも来て良いですよって言う依頼です。」
「おー傭兵として正式に依頼を貰えるんですね?」
「はい、ただし文句が出ない様に時給換算で治安部隊の最低賃金くらいしかお支払いできませんが・・・」
「おお!構いません。」
「わかりました、明日からそのように依頼を出しますのでお願いします。」
因みにハンター協会ではこういう依頼は時々だがあるらしい。
数は足りているけど人手が多いと助かるみたいな所は、
信用出来る人限定でいつでも来て良いですよって依頼を出しているらしい。
「でも魔物を狩り過ぎて怒られた結果、暇すぎてタダ働き同然で働いて回っているって面白すぎません?」
「はい、なので不定期になってしまうんです。」
「ははは!構いませんよ、人手は一応足りてはいますので助っ人で時々来ていただければ助かります。」
という事で治安部隊のバイトを時々することになった。
治安部隊の仕事は町を回って警らをする。
そして何か問題があれば駆けつけて対処する。
基本的に軽犯罪ばかりだ。
痴漢に窃盗、暴力沙汰などなど。
棒とロープを持って馬に乗って警らする。
今日はユキに乗ってミカは教会でお留守番。
暴力人間や悪漢は棒でブッ叩く。
逃げる奴は馬で追いかけて棒でブッ叩く。
殴った奴を紐で縛り監獄まで引き摺って行き投獄する。
「しかし最近は治安部隊の連中よりも強い人が多いので怪我は日常茶飯事です。」
そう説明してくれるのは元汚職隊員のメリーさん。
今回はメリーさんと俺で警らする。
「相棒が怪我をしてお休みだったので助かりました。」
「そうなんだ。大変ですね。」
って事でメリーさんについていく。
大通りだけでなく細い道もしっかり回る。
意外と巡回距離があって大変だ。
人気の少ない道で女性が襲われていたのでメリーさんと俺で男二人を棒でブッ叩き紐で縛る。
馬に乗ったまま勢いよくブッ叩いたので結構なダメージが入った。
「大丈夫ですか?」
とメリーさんが慣れた様子で言う。
「はい!荷物をひったくられそうになって・・・有難うございます!」
って感じで女性の怪我が無いか確認して事務所に戻り、投獄して書類を記入する。
「書類を記入した後は事務員に任せます。」
「わかりました!」
って感じでまた町の警らに戻る。
次は泥棒の被害報告を受け現場に急行する。
家財の窃盗らしい。
民家の中が荒らされて高価なものが根こそぎ盗まれたそうだ。
「スイ、エンわかる?」
スイとエンは家主の匂いを嗅いでそれ以外の匂いを探している。
「わんこが役に立つのですか?」
家主さんは心配そうに言う。
「ええこの子らは優秀ですのできっと見つけてくれますよ。」
メリーさんが言う。
スイとエンは見つけた様だ。
「おう、いけそうか?」
俺。
すると二匹は頷く。
「ではメリー先輩!行きましょうか。」
俺。
「行きましょう。」
って事で馬に乗って移動する。
家主さんをメリーさんの後ろに乗せて行く。
スイとエンがズンズン進んでいく。
かなり進んだ所で一軒の家に行きついた。
家の横には荷車がありすでに荷物を運び入れた後の様だ。
「ここらしいです。」
俺。
この後どうするのかと思ったら意外と簡単らしい。
家財などの様にかなり値が張る物には刻印が施されている。
買った店の刻印や物によっては買った本人の名前も刻印する事があるらしい。
被害者は何をどこで購入した物が盗まれのたかを被害報告する。
そしてそれに該当する物を探す。
「まずは盗まれたであろう物品に刻印などがあるかどうか確認します。」
偶然同じものを購入していたと嘘をついても購入元に聞けば真偽はすぐにわかる。
高価なものは細かく誰に売ったかとか店で記録しているらしい、
なのでコレ盗まれたものだ!と嘘の被害報告をして相手から家財を奪う事は出来ないらしい。
あと場合によっては保証人を立てなきゃいけないとかで結局ボロが出るらしい。
・・・
アレ?
盗賊が市民から奪った物を俺が奪ったら普通に怒られるのでは?
と思ったが一応それが盗賊から奪った物だと証明されれば問題ないらしい。
けど俺、誰にも証明してないぞ?
アレ?俺怒られるんじゃね?
後々調べて解ったのだが、被害届がでてない場合は捜査も行われず罪にも問われないらしい。
ん?
って事は旅人をぶっ殺して物資を根こそぎ奪って、
適当な盗賊をぶっ殺して罪を擦り付けたら罪に問われないのでは?
絶対この手法使ってる奴どっかにいるだろ?
取り合えず、気を取り直して泥棒が居るであろう家をノックする。
「こんにちは!」
俺はのんきに挨拶する。
すると汚い男が出てくる。
「誰だ?」
「盗品が無いか調査しに来ました!」
「家を確認させていただきますね!」
とメリー先輩に言われた通り言う。
「はぁ!?」
「おい!野郎共!こいつらをぶっ殺すぞ!」
と出て来た男が叫ぶと後ろからぞろぞろと男が出てくる。
コイツ等窃盗団か何かか?
俺は男に前蹴りを放ち後ろにいる奴ら諸共ぶっ飛ばす。
ズドォン!!
転んだやつを一旦無視して襲い掛かってくる奴をブン殴る。
バコォン!
家や家財を壊さない様に殴り飛ばすのが大変だった。
「つえー!」
と家財を盗まれた家主さんが呟いている。
全員殴ったり蹴ったりした後はロープで縛る。
幸い持ってきているローブで足りた。
「終わりました先輩!」
俺はロープで窃盗団を縛り、メリー先輩は盗まれた家財の確認をしていた。
「そうかありとう、こちらも確認が取れた。」
って事で一見落着。
他にも被害届の出ていた品もあったらしくメリー先輩の大手柄となった。
応援を呼び、犯人と家財を運んで一旦収束となった。
その後も暴漢を叩きのめしたり、馬泥棒を捕まえたりなんだかんだ忙しかった。
その日の最後に事務所にてメリー先輩とベンジャミン隊長とお話。
「治安部隊って相当忙しいですね。」
俺。
「そうなんです。なので人手はあればあるだけ良いのですよ。」
ベンジャミンさん。
「またお手伝いしてくださいね。」
メリーさんも上機嫌だ。
「次回からはしっかり報酬が出るのでよろしくお願いします。」
って事で今日は解散となった。
もちろん夜警もあるので昼組と夜組で交代するとの事。
ハンター協会に顔を出して依頼の件を伝える。
「おー!そう言う感じになったんですね!?」
と少し驚きつつ言うポニテ嬢。
「ああ、暇つぶしにまた来てくれって言ってた。」
俺。
「依頼の件は後日我々に通達が来ると思うのでお任せください。」
ポニテ嬢。
「おう、まかせた!」
なんだかんだ忙しい日だった。
次の日
さすがかわいそうって言われた。
なので北か南の平原か森で狩をしたら?って事を言われた。
「かわいそうな俺は北で狩をしてきますね。」
俺。
「そんなにいじけないでください。」
「獲物は北のハンター協会で売ると良いですよ!」
とポニテ嬢に言われたので北に行くことにした。
ユキとミカに特製荷車を引かせて北の広場に行き、
さらに北に進み北門から外に出る。
北側も西と似た感じで外は一面畑で畑を抜けると平原が広がる。
人気のない場所へ行き荷馬車を【収納】に入れる。
今日はミカに乗る事になった。
ユキはのんびりするらしい。
ユキはどうせ寝るだろうから護衛にスイを付けてエンとミカと俺で狩をする。
ミカは真っ黒、俺の狩用の服も黒メインでマントも髪も黒。
全部真っ黒だ。
しかし、くまさんマントは温度調節機能が付いているので快適だ。
いつも通り和弓を持ち矢筒を担いで狩りをする。
どんな魔物や動物が居るかな?
北の門を出て右手側、つまり王都のおよそ北北東方面から大きな川が流れて来ている。
確かこっちから入って南東に抜けるんだっけ?
あれ?逆か?
南東から入って北北東に抜ける?
南側には大きな山脈があるのでそこから流れて来て北東側の方に流れて行ってるんだっけ?
うろ覚えだ。今度確認のついでに川で釣りでもしようかな。
ともかく捜索を続ける。
動物を観察をしていると西側と違って鹿や山羊っぽいのが多い。
あと猪も見かける。
魔物の猪が熊をボコボコにしてぶっ飛ばしていた。
こわい。
鹿も槍の様に鋭い角で獲物を串刺しにして食ってるし。
山羊は頭突きで動物とか魔物とか色々叩き折ってる。
しかし道や畑付近はあんまり近づかない。
多分、重点的にハンターが見回っているからだろう。
それゆえに平原のど真ん中など人気のない所はすごい・・・
魔物達が日夜生存競争に励んでいるのだ。
肉食の魔物も居るが鹿や猪に反撃されて爆散したり串刺しになったりしている。
「とりあえず鹿から行くか。」
という事で遠距離から鹿の魔物をとらえて矢を射る。
狙いは目。
全力で弓を引き放つと矢がまっすぐ飛んでいく。
でっかい角の生えた鹿はいとも簡単に死んだ。
やっぱり目は弱点か。
意外と簡単に狩れた。
死体を調べてみる。
皮は牛ほど頑丈ではなく骨も軽量で頑丈さは牛に及ばない。
まあそれでも骨は通常の生物よりはるかに丈夫だ。
角は特に固くナイフでも傷一つつかない。
まるでユキの蹄だ。
一通り見物した後は魔法を使ってさっさと解体して【収納】に入れる。
次は猪。
まあ当然の如く突進してくるのでこいつも遠距離から目を狙い撃ちして終わり。
やっぱり骨も外皮も牙も超絶頑丈だ。
これも解体して【収納】に詰める。
次は山羊。
山羊って言うか山羊っぽい奴。
鹿と牛と山羊っぽくて、結構山羊寄りな生物。
コイツは群れで暮らしていた。
大きさは自転車くらい。
コイツも眼を狙って頭部を貫くとあっさり死ぬ。
軽く素早いが足腰と頭蓋骨と角が頑丈で頭突きをするために生まれて来た様な生物だ。
個体によっては角が丸まっていて目の付近が隠れたりしていて、眼を狙いにくかったりする。
で山羊も解体してしまう。
今まで解体した奴は俺用で主に自分で食うための物。
次は売るために狩ってそのままどんどん【収納】に入れていく。
鹿や猪、オオカミや熊を適当にバランスよく狩っていく。
遠距離から矢で射る狩り方をしているので戦闘ってより暗殺って感じ。
荷車二台分狩った所で終了、の前にいざ直接対決をしてみる。
弓と矢を仕舞って大斧を出す。
「さてどれから行こうかな?」
そうつぶやきながらミカの上から辺りを見回す。
すると大きな鹿が居た。
角の先端が白く淡く光っている鹿。
「あれにするぞ。」
って事でミカに乗って突撃。
エンも突撃。
すると俺達を捕捉した鹿の角がまぶしく光り出す。
そして光の槍が飛んできた。
魔力でできた光の槍だ。
しかも角の先端の数だけ飛んでくる。
「やばい!!」
ミカに魔法を防ぐ手立てはない。
魔法防御の魔法を発動しようと思った所でミカが軽いフットワークで避ける。
「ナイス!」
でこのまま突っ込む。
エンが左からツッコミ俺が右から突っ込む。
エンが一足先に足に噛みついて注意を引いた所で俺が大斧で思いっきり切り裂く。
目標は首。
大きな鹿なので首の位置も高い、がしかしミカに乗った俺にとっては丁度いい高さにある。
エンが大鹿の魔法攻撃を躱している隙に大斧を振る。
スパンッ!!
と綺麗に首を斬り飛ばす。
ここで油断せずに一時エンと俺とミカは撤退する。
頭だけでも暴れ出すかもしれないしね?
と思ったら頭は動かず、首から下だけで少し走ってバランスを崩し倒れた。
鶏かな?
少しじたばたした後動かなくなった。
角の先端はいまだに淡く発光している。
試しに角を掴んで魔力を込めてみるとなんと光の槍が発射された。
「うおぉぉぉ!!!」
「びっくりした!!」
エンが驚かされた事にキレて俺睨んでくる。
「ごめんて!でも、どうなるか気になるだろ?」
エンは『確かに。』って感じでうなずく。
「欲しい?」
『いらない。』
「ミカは?」
ミカも首を横に振る。
「そうか・・・じゃあアーロンとかにあげるか。」
取り合えず全部【収納】に入れて次を探す。
次の獲物はハイジャンプする山羊。
ハイジャンプして頭突きをしながら降ってくる。
明らかに上空で何かを蹴っているようだけど、多分魔法で足場か壁を作って蹴っているのだろう。
そのおかげでただの落下ではなく加速して降ってくる。
獲物を見つけたら上に飛び空を蹴り地面に頭突きしてすぐに飛んでまた空を蹴り地面に頭突きする。
永遠にバウンドするボールのようで、
獲物を仕留めるまでズドォン!ズドォン!と降り続ける。
矢で狙う場合は地面と空を蹴る時のほんの少しの間だけ停止するのでそこを狙えば仕留められる。
しかし戦闘訓練の一環でもあるので俺はミカから降りて斧をしまい込んで素手で立ち向かう。
「エンもミカも見てろ。」
ズドォン!ズドォン!と音をならしながら近寄ってくる。
丁度真上から降って来た所を山羊の角を掴み、力を受け流す様に山羊の体を地面に叩きつける。
ドカァン!!
と言う音と共に山羊は体を地面に叩きつけられる。
まだ若干息があったのでナイフで喉を切り裂く。
これでようやく止めを刺せた。
しかし受け止め方をミスったら手首が砕けてしまいそうだ。
この山羊の大きさは大型犬サイズで頭が特に固く首回りも普通の山羊よりがっしりしている。
「こいつ空を蹴ってたぞ。」
「お前たちも真似したら空飛べるんじゃない?」
エンとミカは頷いていた。
一旦戻って面白い奴が居た事を話してやろうとユキの所に向かった。
するとスイがユキの腹の上で寝ていた。
「あれ?スイが寝てるなんて珍しいな。」
と思ったら周囲に何かが立っている?
「ん?なんだアレ?」
オオカミやクマや狂暴な魔物の猪の石像?
俺はそれをこぶしで叩いてみる。
コンコン。
冷たいし堅い。
凍ってる!?
「なぜ!?」
って思ったけどこんな事するのはヤツしかいない。
「さてはユキだな?」
ユキが起きるのを待ち、聞いてみた。
『うるさかったから黙らせた。』
などと供述しております。
「そっか、でスイは?」
『する事なかったから寝てました。』
「そっかユキが全部凍らせちゃうもんね。仕方ないね。」
何があったか聞いた後は、こっちで起こった事も話した。
「所で肉食べる?」
みんな頷く。
取り合えず小さめの普通の魔物の山羊を一匹おやつ代わりに出して食べさせた。
角とかはスイとエンがバリボリ食べてた。
「じゃあ帰るか。」
荷馬車を二頭に付けて狩った獲物をどしどし乗せまくる。
頑丈で大きいので何頭でも乗せれそうだ。
ユキの方の御者台に俺が乗り、ミカの方の御者台にスイとエンが座る。
それで王都の北側のハンター協会に行く。
場所はポニテ嬢に聞いたのでその通りに行く。
北門から入ると、門番も町の人もびっくり仰天している。
なんせ俺一人ででかめの獲物を山盛りで荷車二台分運んでいるんだから。
それにこの辺は初めて来たので俺やユキ達に慣れてない。
周囲の人たちをビビらせながらハンター協会に行く。
北のハンター協会の人も若干引きながら解体と換金してくれた。
前髪ぱっつん受付嬢が相手をしてくれる。
「初めてお会いしますがどこからいらしたんですか?」
ばっつん嬢。
「西のポニテの受付嬢のマチルダさん?に怒られてこっちに出張してきました。」
俺。
「もしかして、西側の魔物を狩りすぎて値崩れした原因のハンターさん?」
ぱっつん嬢。
「なんで知ってるんですか?」
俺。
「この前マチルダと会った時に聞きました。」
ぱっつん嬢。
「へー、仲良しなんですね。」
俺。
「まぁ腐れ縁です。」
ぱっつん嬢。
「なるほど。」
「西では遠慮しろと言われました。」
「ここには時々しか来ないので許してください。」
俺。
「やり過ぎなければ構いませんよ。」
との事。
山の様な獲物を解体し終わり魔石と金を貰う。
袋いっぱいの金を貰ってハンター協会を後にする。
外ではユキとミカとスイとエンが大人しく待っていた。
「帰るか。」
大通りを通って一旦第五教会に行く。
第五教会では普段から普通に【収納】を使っているので到着し次第デカい荷車をしまう。
教会で角が光る鹿の頭をを持ってアーロンを探す。
一応頭部はズタ袋に包んでいます。
教会内をぶらぶらしているとシスターさんに合う。
「それは鹿ですか?」
「そうです!角が光る鹿なので面白いと思って持ってきました。」
「おしゃれな置物になりそうですね。」
「所がどっこい、角をもって魔力を込めると先端から光りの槍が発射されます。」
「えぇ!すごいですね!」
「護身用にこの角の切れ端を持っておくと良いですよ。」
「高価な物じゃないんですか?」
「北の方に行けば結構いるんじゃないかな?」
「へー、そんな危険な鹿が沢山いるんですね。」
「道の周辺は比較的安全でしたので安全面の心配ないと思いますよ。」
雑談しているとクラーレン神父とアーロンが来た。
「なんですかそれ?」
アーロン。
「光る鹿の角で魔力を込めると光りの槍が発射できる。」
そう言いながら鹿の頭を目の前まで持ち上げる。
「マジックディアの頭って事ですか?」
クラーレン神父。
「マジックってよりシャイニングって感じだけどな。」
俺。
「それは多種多様な魔法を使うのでマジックなんですよ。」
クラーレン神父。
「一種類しか使ってなかったけど?」
「ええ、一頭に付き一種類の魔法しか使えませんが、個体ごとに様々な魔法を使うので、
そう呼ばれています。」
「へー、面白いな。俺達みたいに多種多様な魔法を自由に使うわけじゃないのか?」
「そうですね、その代わり成長するにつれて角に一つの魔法が宿り魔法の発動効率が上がっていくんですよ。」
「個体ごとに得意な魔法をさらに効率よく使いやすいように成長するって事か。」
「そう言う事です。やっぱり魔法は沢山使える方が強いんですか?」
と純粋に疑問をぶつけてくるクラーレン神父。
シスターさんやアーロンも俺を見る。
「沢山使えるのはもちろん強いけど・・・」
「一個の魔法や技を極限まで鍛えた人と沢山の魔法を使えるだけの人は前者の方が強いと思うよ。」
「まあ、どんな魔法も技も磨いて使い方を工夫しなきゃ弱いって事よ。」
俺。
「そう言っている割には隊長って芸達者と言うか色々できますよね?」
アーロン。
「そうか?」
俺。
「剣に弓に槍に格闘に魔法に回復魔法に馬術に馬の調教にチンピラの躾に料理などなど。」
アーロン。
「確かに一個を極めているかって言われたらそうでは無いかもな。」
そう言えばお月様に教えてもらった技もあまり練習出来てないし。
「どこかにちょうどいい訓練相手は居ないもんかね・・・」
俺はボソッとつぶやく。
「強い人は強い人で色々悩み事があるんですね。」
シスターさん。
「それこそアーサー団長くらいしか相手が務まらないのでは?」
アーロン。
「と言う事はアーサー団長も同じ悩みを抱えているかもしれませんね?」
「相談してみては?」
とクラーレン神父が言う。
「確かに、今度会った時に相談してみようかな?」
俺。
「それで、その鹿の頭をどうするんですか?」
アーロン。
「教会の人にお守りとして角の先っぽを配ろうかと思うんだけど、どお?」
俺。
「そんな高価なもの配って良いんですか?」
クラーレン神父。
「やっぱり高価なんですね。」
シスターさん。
「まぁ、良いんじゃない?」
俺。
とその後も雑談が続いた結果、鍛冶屋で角をネックレスに加工してもらう事になった。
魔力を込めると光りの槍が発射できる危険なネックレス。
護身用のペッパースプレーとかスタンガンみたいなもんだ。
教会からの帰り道、鍛冶屋に寄ってから宿に帰った。
物を盗まれた時の対応の方法はどっかの国の昔のやり方を参考にしました。
なのでもしかしたらおかしい部分や矛盾があるかもしれません。




