41 大所帯
久しぶりの投稿です頑張ります。
次の日の夜
宿屋の食堂にて
アーロンが痩せた汚い男達4人を連れてきた。
「ん?」
「なんだ?うちの犬のエサか?」
アーロンは呆れた様子で首を横に振る。
「違いますよ・・・」
「なら、ユキのエサか?」
「違います。」
「俺は食わないぞ?」
「食い物じゃありませんよ!!」
「冗談だよ。うちの子たちはまだ人間を食ったは事ないからな。」
アーロンが連れてきた男達は俺やスイとエンを見ておびえてる。
スイは冗談だとわかってるのか無反応だが、
エンは『どんな味するんだろう』とか本気で言って涎をたらしている。
俺はエンを軽く小突きつつ質問する。
「拾ってきたのか?」
「はい、ホームレスで窃盗未遂の犯人です。」
「窃盗?」
「酒場で私にナイフを向けて金を出せと言ってきました。」
「で、酒場でボコボコにしたと?」
「はい・・・少しやり過ぎました。」
アーロンは少し反省しつつそう言う。
男達の中には顔に大きなアザがある者もいた。
「まあ、誰でも皆チンピラより自分の財布の方が大切だろ。」
俺がそう言うとアーロン以外はうなずく。
「で?」
「そのまま解放してしまうと、また犯罪を犯しそうだったので、」
「再教育しようかと思ったのですが、いいですか?」
「グレゴリー達と一緒に?」
グレゴリーはスキンヘッドの名前だ。
ちなみに包帯三人衆の名前はヘンリー、イゴール、ジェフリーだ。
「そうです。」
「まあいいけど、俺たちが面倒見れるのは王都に行くまでだぞ。」
「はい、それまでには自分の食い扶持くらい稼げるようになると思います。」
「ならグレゴリーの所にベッドが余ってるだろ。」
「はい、そこに泊まらせます。」
「宿屋のおばちゃんにも言っておいてくれ、あとそいつら綺麗にしてから部屋に入れろよ。」
「わかりました。」
アーロンとグレゴリーは面倒見がいいからあいつらに任せておけば心配ないだろう。
一通り手続きを終えた後食堂で食事をしながら面談。
「どうもヒロです。」
俺は無表情で挨拶をする。
「ヒッ!」
こいつらめっちゃビビってる。
「冗談だって言っただろ。」
俺は困ったように言う。
「もう手遅れみたいですよ。」
アンナが4人の様子を見て言う。
「まあ、いいや・・・」
「寝る場所も仕事もないって?」
俺がそう聞くとうんうんと頷く四人。
「俺達とハンターをするかそれが嫌なら犬のエサだ。」
「どっちがいい?」
俺は同じ冗談を擦る。
「実質一択じゃないっすか・・・」
グレゴリーがそうつぶやく。
4人はビビりながら消えそうな声で答える。
「ハ、ハンターをやります。」
「よし、なら晩飯は食ったか?」
「いいえ、まだです・・・」
そう答えると宿屋のおばちゃんは聞き耳を立てていたのか口を挟む。
「なら、スープとパンで良けりゃすぐ出すよ。」
宿屋のおばちゃんはニコニコ笑顔でそう言う。
4人は食事をしつつ自己紹介を始めた。
ラリー、マートン、ノーマン、オニール。
4人はスリや強盗紛いな事をして生計を立てていたらしい。
まあグレゴリー達と似たような生活って事だ。
「案外こういうやつら多いんだな。」
食い物はたくさんあるし、国家的には裕福なのかと思ってた。
けどホームレスとか犯罪者とか意外といる。
「まあ、この町の人口が多いですから、それに町に入る際の検問もありませんし。」
「この町の貴族区以外でも大通り沿いかそれ以外かでかなり様子が違いますよ。」
「依頼で行く行く場所は平和な場所ばっかりだよな?」
「はい、アイアンなので危険な地区にはいかない様にしてあるそうですよ。」
「そうだったのか、、」
ブレッドが丁寧に教えてくれる。
「因みに、この前の北の森での薬草採取の依頼は、指名依頼だから受けられたものの」
「本来ならあの場所でしかもアイアン二人だけの護衛はあり得ないと言ってました。」
この前バーさんと薬草採取に行ったときの事だ。
確かにあの饅頭鳥の危険性はアイアンの手に負えるレベルではない。
「そうなんだ。」
「ていうかアーロンはどうしてこいつら連れてこようと思ったんだ?」
アーロンに聞いてみる。
再犯しそうとは言っていたが、それだけか?
「俺達やグレゴリー達はヒロさんに拾ってもらえて救われました。」
「だからその、、放っておけませんでした。」
うーん、はっきり言ってこいつらを助けたのは打算的なところが大きい。
俺はこの国では知り合いがゼロに近い、だから都合の良い味方が出来ればいいと思った。
だから盗賊紛いの奴らを独立させ社会復帰させる体で、拾って飯を食わせて鍛えた。
そして困ったときに助けてもらえる様に、いざって時味方になってもらえるように。
だまして食い物にするつもりはないがアーロンの言葉に少し胸が痛くなる。
「まあ金には余裕があるから好きにてくれ。」
「はい!」
って事で仲間にさらに4人増えた。
現在のメンバーは俺、アンナ、アーロン達5人、グレゴリー達4人、ラリー達4人、の計15人になった。
「実力が均等になるように班分けをしておこう。」
「班分けですか?」
アンナ。
「ああ、15人全員で動くのはさすがに迷惑だろうからな。」
「良い感じに5人ずつ班分けして行動しよう。」
俺、アーロン、グレゴリーが分かれるようにする。
今のグレゴリーはまだ実力不足だからサポートにブレッドを付ける。
アーロンとグレゴリーにリーダーとか指揮官の様な実力を付けさせようと思う。
それで俺が居なくても問題ないようにする。
俺には人を引っ張るような才能は無い。
俺に出来るのは戦う事だけだ。
団体行動は苦手なんだ。
取り合えず実力がおおよそ均等になるように班を分けた後は寝る。
寝る直前ベッドにて。
「なんだか賑やかになってきましたね。」
アンナは少し楽しそうにそう言う。
「お行儀よくしてくれればなんでもいいさ。」
俺は興味無さそうに言う。
「なんか知らんがかなり怯えているみたいだがすぐ慣れるだろう。」
一同はジト目で俺を見る。
「ヒロさんが怯えさせたからでしょ・・・」
アンナが呆れた様に言う。
「いや、まさかあそこまで怯えるとは思わなかった。」
「俺に会う前にかなり脅されたんじゃないか?」
俺はアーロンを見ながら言う。
「え?俺ですか?」
アーロンは自分が指摘されるのが予想外だったようで驚いている。
「俺が言ったのは、ヒロさんはオーガの首を刎ねて回るような人だって事くらいですよ。」
アーロンはつまらない事の様に言う。
「うーん。」
俺は少し考える。
「なあ、その噂って町ではどう評価されてるんだ?」
「強くて立派!なのか、怖い怪物!!なのかどっちだ?」
6人は考え込む。
そして口をそろえて言う。
「どちらかと言えば後者です。」×6
どうやらこの町の住民的には恐怖の対象らしい。
「はぁ・・・」
ため息が出てしまう。
まあ個人的な評価を気にしているわけではないが、
皆のハンタークラスの昇進に響くのでどうにかしたいもんだ。
「ま、まあこのまま教会への寄付や依頼を真面目にこなしていけば好転しますよ!」
アンナが慰めてくれる。
「そうだと良いな。」
気まずい空気が流れる。
「あっ!そう言えばポリンちゃんから聞いたんですが。」
アンナが話題を無理やり変える。
「あの三つ編みの受付の子だな?」
「ハイ!私たちの昇格は通常よりもかなり早くなりそうとの事ですよ。」
「おお!そうか、、ん?そう言えば普通はどのくらいかかるもんなんだ?」
俺は改めて疑問に思う。
聞いた事あったっけ?
「えーと、、たしか通常は半年から一年ほどはかかるとされています。」
「・・・」
「半年から一年かかるのが早まった所で3~4ヵ月か?」
俺はアンナの目をじーっと見ながら言う。
「まあそんな所ですね!」
「お前はいいのか?」
この場で全部は言わないがアンナは王都に身分を隠しつつ帰る。
というのが目的だったはずだ。
「はい!問題ありません!」
アンナは元気にそう答える。
「本当か?」
「はい!多分ですがわたくしが王都を出て連絡が取れなくなった時点で死亡報告がされていると思います。」
「なので一ヵ月かかろうが6ヵ月かかろうが同じです。」
「まあ、お前がそう言うなら良いんだけど。」
多分良くないと思う。
この娘の命が狙われた理由が単なる暗殺か親への嫌がらせなら問題ないかもしれないが。
この娘の死を何かに利用するつもりなら、早く戻って作戦が失敗した事を黒幕に知らせるべきだと思う。
例えば戦争の火種にするとか、責任を誰かに押し付けてその誰かを間引くとか。
そんな風に死を利用される可能性があるので暗殺が成功したと思われてはいけない筈だ。
まあアンナが焦ってもどうにもならないし、俺は俺で最速でアンナを王都に届ける事を考える事にする。
次の日
3班に分けて依頼をこなす。
俺は、アンナ、エディ、ラリー、マートンを連れてお仕事をする。
小娘のアンナはともかく、ラリーやマートンはかなり細身だ。
「今日から真面目に働けば飯と寝床はしっかり用意する。」
「その代わりお行儀よくするのと、早朝の訓練をしっかりこなす事だ。」
「はい!!」×4
早朝の訓練のおかげか飯のおかげか全員良い返事だ。
俺たちは仕事をこなす。
本日のお仕事は鍛冶屋の荷物運びだ。
普通の肉体労働だ。
鉄塊の詰まった箱を運んだり、大量の武器を運んだり。
ラリーやマートンには少々きつかったようだ。
「おいおい、そこのねーちゃんの方が力持ちだぞ・・・」
鍛冶屋のおっちゃんがそんな風に愚痴る。
「どうもすみません。」
そう言って頭を下げる。
「今日からうちのチームに入った新人なもんで。」
「そうだったのかい、まあ今日から頑張るんだよ。」
鍛冶屋のおっちゃんはそんな風に優しい言葉をかけてくれる。
それを聞いたラリーとマートンは号泣してお礼を言う。
「ありがどうございまず」
ずずずっと鼻水を垂らしながら。
「こいつらどんなひどい生活してたんだか・・・」
そんな事も有りつつ仕事を続ける。
そして日が暮れる前に仕事を切り上げて宿屋で集合する。
「アーロン達の方は真面目にやってたか?」
新人4人の内2人は俺達が、もう2人はアーロン達に任せていた。
「多少体力不足な場面はありましたが、仕事は真面目にやってましたよ。」
そうアーロンが答える。
「それは良かった。」
「ブレッドとグレゴリーも問題なかったか?」
「こちらも問題ありませんでした。」
次はグレゴリーが答える。
一応ブレッドがお目付け役だが班のリーダはグレゴリーって事にしてるのでグレゴリーが報告するのだ。
「なら今日は御褒美兼歓迎会だな。」
って事で沢山の肉料理をふるまう。
「狂走鳥と角から石礫を飛ばす鹿とお試しで首の長いライオンの肉だ。」
アンナとアーロン達以外はぎょっとした顔になる。
「まあ遠慮せず食ってくれ。」
「いただきます!」
俺がそう言うと皆恐る恐る手を付ける。
沢山作ったのでスイとエンはもちろんユキにも渡してきた。
アイツは肉も行ける口なのだ。
全員の様子を見る。
鳥と鹿までは問題なく美味しく食べている。
まあ案の定、新人4人とグレゴリー達4人は号泣しながらうまいうまいと言って食べてるけど。
問題は首長ライオン。
コイツは調べた感じ毒は無い、毛皮や骨、牙はとても貴重らしいがまだ売ってはいない。
毛皮は結構綺麗だったのでジャックさんに何か作ってもらおうかと考えている。
皆ライオンの肉に手を付けないので思い切って全員せーので食べてみる事にした。
「皆、用意はいいか?」
俺がそう言うと皆ごくりと唾を飲む。
因みに宿屋のおばちゃんやおっちゃんに娘2人もいる。
「せーの!」
パクリ!!
「・・・」
堅い・・・
噛めなくはないが堅い。
「ん?」
堅い反面、噛めば噛むほど旨味がじんわりと広がってくる。
皆の顔を見るが、全員モグモグしているうちにどんどん笑顔になってくる。
しかし味はとっても良いが堅い。
「一応煮込み料理にしたのだがそれでも堅いな・・・」
俺がつぶやく。
「味はとても良いのですがちょっと堅めですね・・・」
アンナ。
「俺はこのくらいでちょうどいいけどな?」
カール的にはいい感じらしい。
「俺も嫌いじゃないですよ?」
グレゴリーも同意してる。
スイとエンも気にせずおいしそうに食べてる。
どうやら好みによるらしい。
宿屋の二人娘も少し大変そうに食べてる。
「おいしいですがちょっと堅いですね・・・」
ポリンちゃんは遠慮気味に言う。
「次は少し工夫して料理してみようか。」
肉を叩いたり煮込む時間を長くしてみたりすれば多少は柔らかくなるかな?
「私も知り合いに料理方法を聞いておくよ。」
宿屋のおばちゃんもそう言ってくれる。
「あんまり見かけない魔物なのでそこまでしなくてもいいですよ。」
楽しく時間を掛けて肉を食べたあとは軽く雑談をして寝る。
捨て猫を拾うみたいにチンピラを拾ってきます。
人が増えてワイワイガヤガヤしてきました。




