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カナリアは、もう啼かない!  作者: 愛章
1章 おれさまは、猫である
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視えるもの(1)

カタカタ鳴ってます…

 教会堂という建物は、表と裏の入り口がある。

 表は会堂。礼拝を主目的とした人間どもが集まるホールである。

 裏は宿舎。教会関係者の休み場だが、実際に寝泊りしているのはカナリアたち。

 教会堂には他に常駐の司祭とその補佐が居るが、彼らには表側に専用の部屋がある。

 建物の構造上、会堂と宿舎は繋がっているが、直接通じているドアは一つだけ。それも、裏側からは開けれない仕組みとなっている。

 ちなみに、宿舎の正面扉も外側からのみ開くように作られている。窓も全て格子付きなので、中からは自由に出られない。

 いずれも、いざとなればぶち壊せるレベルなので、牢屋ほどの厳重さはない。状況に応じてカナリアを連れ出す必要があるからだ。

 隔離の理由は、穢れた人間を野放しにはできないというだけのもの。

 それは同じ教会関係者であっても例外ではないらしい。



     ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『……教会堂からの呼び出し……。珍しいわね、こんな時間に』


「あ、そうだ!」

 ライラの呟きに、奴隷は思わず声を上げる。

「どうしましょう。警備隊の方が話を聞きたいって言っていたのをすっかり忘れていました」


『声が大きい! 何のためにさっきから思念話トークでやり取りしていたと思っているのよ、このおばか!』

『ご、ごめんなさいぃぃ……』


『まぁまぁ……静かすぎるのもかえって怪しまれるわ』

 それに……と、ライラは視線を宙にめぐらせる。

『今は誰にも聞かれていないから大丈夫。だよね、ネロちゃん?』


『………………ちゃん付けはやめろ』


『大丈夫って……ライラ、そんなの分かるの?』

『うん。前は気配とか声とか、ぼんやりとしか聞こえなかったけど……今ならはっきり分かる。こうして話せるようになったおかげかな?』

『そうなの? あたしは全然だけど……』

『この中で自由にトークができるのはライラだけだ。きさまと奴隷は受信しているだけで、自ら発信しているわけではない。おれやライラの仲介無しでは一切通話できないと心得ておけ』

『つまり今はライラがみんなを繋いでいる……ということですか?』

『おれの補助付きだがな』

『…………待って。ということは、ライラって前から心の声が聞こえていたの?』

『ほ、ほんのちょっとだけよ……こんな鮮明じゃなかったし、上手く聞き取れないことがほとんどで……』

『どうりで! 不思議だと思っていたのよ! 時々こっちの考えていること、まるで分かっているみたいで……!』


 顔を真っ赤にしながら、サラが叫びもだえる。


「サ、サラちゃん、急にどうしちゃったんですか……?」


『好きに踊らせておけ。それよりも呼び出しだ。また鳴ってるぞ』


 おれは再び奴隷と尻尾をつなぎ合わせる。


「……待ちなさい」

 部屋を出たところで、後ろからサラが奴隷の肩を掴んだ。

「あたしも行く……」


 息は乱れ、フードは脱げて、左目もむき出しの状態。

 実在するのかは知らんが、鬼とはこういう顔をしているのだろう。


『……殴りこみに行くわけじゃないぞ?』

「ただの付き添い! 向こうはあたしがここの責任者だと思っているんだから、顔を出さなきゃ不自然でしょうが。文句ある?」

「ううん、すごく心強い。ありがとう、サラちゃん」

「……フン」


 フードを被りなおしながら、サラは先導する。


『今ライラと二人きりとか、絶対無理っ!』


 ……という心の声が背中から漏れ出ていたが、聞き流してやることにして。

 おれは再び、奴隷の尻尾の中にもぐりこんだ……。


…ライラも連れて行くべきだったか。

一方的に思念話トークを送りつけてくる。

うるさくて仕方ない…。

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