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エリートウォーズ  作者: 流山治満
スキルスティーラー編
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27/58

激闘の果てに

「クソッ、まさかコアを1つ破壊されるとはな」


 亘は忌々しそうに右手は握ったり放したりした。

 全身の傷は真坂たちとの戦闘のときよりも更に増えており、

 あたりには鉄臭い臭いが充満している。

 舛(・)森(・)と(・)の(・)戦(・)闘(・)に(・)よ(・)っ(・)て(・)破壊されたのは、ガリバーレイのコアであった。


「あーあ、貴重な能力だったのによォ」

 壁に追い詰められ座り込んでいる舛森の顔面の横に、

 ガンっと蹴りを入れる。


「なんなんだあんた……!!

 お、俺を殺そうっていうのか……!!」

 舛森もまた全身に大小さまざまな傷を負っており、

 あたりに鉄の臭いを漂わせる原因の1つとなっている。

 既にコアを奪われ、選抜者としての記憶を失っているようだった。

 それでも、自分が危機的状況に陥っていることはわかるらしい。


「ふ……、ふざけるな……!

 俺は今日が誕生日なんだ……

 こんなところで死ぬわけがないだろう!!」


 怯えながらも虚勢を張るように叫ぶ。

 そこには根拠のない確信があるようだ。


 それを亘はただ黙って冷たく見下ろしている。

 怯えながら肩で息をしている舛森との間に数秒の沈黙が流れる。

 だが、突然笑顔を見せてこう言った。


「誕生日に悪いことが起きないなんて誰が決めたんだ?」


 舛森に絶望の表情が浮かぶ。

 何かを言おうとしたが、

 触手が胸を貫き、「あばッ」という断末魔とともに絶命した。

 壁に大量に血がこびりついた。


「今日の成果はトータルで見ればトントンってところか」

 それでも亘は嬉しそうに、

 腕に飛び散った返り血を拭き取りながらその場を後にした。


  ***


 ここで映像が終了し、水岡たちは我に返る。

 アジトに帰ってきてすぐに特務班が全滅した知らせを聞いた。

 その後に、これを目の当たりにしたのだった。


 何か言葉を紡ごうとするが、

 ただ息を吸い込むことしかできなかったのは、

 決して疲労のためだけではなかった。


「対策について明日には公表する

 今日はとりあえず休んでくれ」

 南禅寺は短くそう告げると足早に去って行った。


「アイツ、それを伝えるだけなら、

 わざわざ会う必要もないのに出てきたのか。

 相当参ってるな」

 犬養はあまり動じていないようだった。

 このときばかりはこの態度が頼もしかったが、

 彼が指摘している通り、

 頭脳明晰で冷静そうな南禅寺までもが面食らっていたことが衝撃だった。


「じゃあ、俺は部屋に戻るぜ」

 残念ながら犬養はそそくさと去ってしまった。


「確かに真坂くんたちが敗北したのはショックだが、

 私にはまだまだやるべきことがある。

 私も自室に戻って今日の成果をまとめるよ」


 銅野も去って行く。

 こうして各々が自然と解散していった。


「再生」を終えた雀が、

 小さな鳥かごの中を動き回りながら発する囀りだけが、

 小さく部屋に響いている。


 あまりにもドライな彼らの反応もあって、

 どうしたらいいかわからなかったが、

 華憐に促されておぼつかない足取りながらも自室に戻る。

 今日の任務での疲労もあり、

 水岡はそのまま気絶するように眠りについた。


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