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蒼い稲妻~subaru BRZ~

急げ急げ!



夕方、東京から帰る途中、所々で渋滞していた東名高速。



なんだかいつもより、ロケットみたいに前の車にぶつかるんじゃないかと思うくらいのフィットやプリウスに身の危険を感じた。うん、そんな日は大人しく真ん中のレーンの流れのなすままに走っていたら、少し遅い時間になってしまった。



早くしないと、どやされる。



帰り道、奥さんからの入電で「油揚げと春巻きの皮を買ってこい。」との指令を受けていた。このままでは、うちの近くのスーパーが閉まってしまう。なんとしてもミッションをこなさなければ、僕に明日という日はやってこない。



高速を降りて、県道を急ぐ。



心なしかいつもより、エンジン回転数は高く、普通の信号でもしっかりとヒール&トー。



暗い県道のずっと先に、スーパーの明かりが見える。あれこそ、明日という日の希望の光。



そう思っていると、サイドミラーに光るヘッドライト。何やら、車高の低そうな車がピッタリと着いてくる。ごめんよ、今日は遊んでいられないのだよと少しアクセルを踏み込むと、その車もピッタリと着いてきた。



そう言っているうちに、スーパーの入り口。右折のウインカーを出して、スーパーの駐車場へダイブイン。ガラガラの駐車場へ急いで入ると、後ろにいた車は駐車場までピッタリと着いてきていた。



「…!」



急いで駐車スペースに停めると、その車も奥のスペースに車を停めた。



先代モデルのBRZ。スバルブルーは、86に設定が無いから間違いないだろう。バケットシートに低い車高、白いエンケイのホイール。派手なエアロを付けていないのが、また格好が良い。



「初期型カッコいいよなぁ。」



そんなこと言っていられないと急いで外へ出ると、BRZのドライバーも降りてきた。



「あ、女の子だったんだ…。」



すらっとした細身の女性、青いブルゾンにポニーテール。このご時世、スポーツカーに乗る女の子は珍しい。なんて、言っている場合ではない。と、鍵をかけて急いで春巻きの皮を探す。



とりあえず、油揚げとグラタン、それに牛乳を手に持ったけど、肝心の春巻きの皮が見つからない。お正月モードになったスーパーは、いつもと置き場所が変わってしまっていた。



ぐるぐる何度もスーパーをめぐる間、何度かその女の子とすれ違う。たぶん、その子も何かを急いで買いに来ただけだったのかもしれない。前を走っていたシルバーの二代目BRZのドライバーがおっさんでごめんなさいという気持ちがして、少しうつむきながらすれ違う。



ようやく春巻きの皮をゲットして外に出る。暗闇の中、青いボディにアクセサリーライトが光っていて、とても様になっている。初代のBRZが出た時、リアはカッコいいなと思ったけど、フロントはあまり好みではなかった。それでも、10年も経ってみると、このデザインは中々格好が良いし、カスタムしても色んな表情があって様になる。その人その人のセンスで自分なりの楽しみ方が出来るのも良い。



そんなことをぼんやり考えていたら、青いBRZのヘッドライトがつき、赤いテールランプの光をたなびかせながら駐車場から去っていった。



やっぱりスポーツカーってのは、若い世代と歳を取った人が乗ると格好が良いけど、中途半端な中年のおっさんが乗るのはちょっと格好悪いような気がしてばつが悪い。



「僕が若い男だったら、話し掛けて来たかなぁ…。」



そんなことを思いながら、乗りづらい運転席にドッコイショと言いながら乗り込み、家路へと急いだ。

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