一五言目 ……
あまりにも手もニギニギさすさすされるから部屋から逃げてきて、今は外にいる。どうせあれでしょ? 一瞬持ち上げて、また辛い言葉とキツい態度で来るんでしょ? 怖い。
さて、今日はどうしようかな。
何かないかな?
「じゃあ、昨日みたいな連中はまだいるのか?」
「わからねぇ、ひとまずは追い払ったらしいが」
「逃げた方角だけでいいから教えてくれないか?」
何かあったけど、不穏な空気だ。
向こうで人が集まってザワザワしてる。
「黒幕は奴らなんだろ? これじゃ八つ当たりだ」
「黒幕?」
「お前知らないのかよ、ラベルカーンの貴族だよ。お抱えの作物が、うちのせいで高値で出荷出来ないからどうにかしろとか」
「前に騒いでた奴か、あいつが?」
「やりかねないさ、ほらあそこ」
あれ? 何か馬に乗った偉い感じの人が。
付き人いっぱい連れて歩いてる。
友達沢山いて羨ましい。
「ほほほ、おやおや大変だったみたいですね」
「白々しい……」
「おや、何か言いましたか?」
「いえ」
「こんな状態で農業を営むのも辛いでしょ? うちの陣営から警護を出しますよ、それもまた貴族の役割なのだから」
「良く言うぜ」
「その代わり、分かっていますね? 抵抗した所で辛いだけですよ、早く楽になってしまいなさい」
んんー難しい話をしている。
農業が辛いって、もう意味がわからない。
あの人何言ってるの?
「討伐に失敗した以上、奴らはまた来ますよ」
「分かってますよ。ですが」
「怖いのならちゃんと殺しておかなければ」
「勿論、次があればそうします」
「その時、怪我人や死人が出なければいいのですけどね」
話は聞こえているけど、内容はよくわからない。
後で親父さんに聞いてみようかな。
「さ、門を開けなさい。もう彼らに用はありません」
そう言って、貴族さんは帰って行った。
なんだったんだろう?
「……良いのか? このままにしてたら、アイツそのうちとんでもない事を」
「だからって何が出来る?」
「今のうちにあの馬車を」
「馬鹿言え! 村ごと消されるぞ」
「クソ! どうすりゃ良いんだ」
きっと僕には関係のない話だろう。一時的に立ち寄っただけの僕が関わるべきじゃない。仮に何か出来たとして、僕に出来るのは畑の能力と土の魔力だけ。攻撃する手段がない。なんなら防御する手段もない。ダメダメだね。
そう言えばヴィオラが引っかかったみたいに落とし穴くらいなら出来るかな? そんなのいらないか。考えてみたけど僕には縁遠い話だね。
さて、流石にご飯も終わったかな?
何を教えてあげよう。
僕は先生だからね!
ビックリするくらい田舎育ちの頑張りっ子の冒険です。
先生の響きが気に入ってしまったアルスくんをよろしくお願いします。
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