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ロンの日々

なんか、知能が低下したような


 僕は何をしてるんだろう。


 「ほら、ぼうっとしない!」


 「っつ!!」


 そうだった。今はただひたすら魔法を感知して避けるだけだ。何も考えてはだめだ。考えてたら体が追いつかない。反応できない。ただの的になる。


 「ほらほら、頑張んなさい。」


 あちこちから水色の魔力の弾丸が飛んでくる。当たるとそれなりに痛い。受け続けるだけで失神してしまう。だけど出てくる先がわかれば避けられる。


 「はあ、はあ、はあ、はあ」


 「ほら、ラストスパートよ」


 さらに数も威力も上がった魔力の弾丸が飛んでくる。もう足が棒のようだ、鉛のように全身がだるい、呼吸をするだけでしんどい。だけど意識だけがはっきりと魔力を捉えている・・・・あ、これ無理だ。


 「うあああああああああああああああああ!!!」


 もう・・・・・


 




 



 あれから、どれくらい寝ていたのだろう。目を開けるとお師匠様の家の中で寝ていた。大きいベットだ、人が5人くらいは寝れるような大きいベットで僕は寝ていた。右を見ると、洋机がありその上に水と桶があった。誰か、多分サラさんが看病してくれたのか、その向こうには背皮が綺麗な本がずらりと並んだ棚があるそしてこの部屋の大きさ。不思議な部屋、外から見れば、こんなに大きい部屋があるようには思えない。身を走る好ましい電撃をここに来るといつも感じる。うまくは言えないけど、言ったらここの部屋が好きだ。


 「あら、起きたの?」


 左の方から強くて冷たい声がどこか優しく聞こえた。緑色の髪が顔の辺りまでしかなくて、細身ですらっとしている、かっこいいような顔立ちの、目が離せなくなるような女の人、サラさんがそこにいた。ついでにニコもサラさんの膝の上にいた。サラさんの前だと悔しいけど緊張してしまう。美人だけどそうじゃない、さっきまで僕に魔法をぶつけてた人だからすこしだけ、こわい。


 「っつ、いたた・・・」


 「筋肉痛ね。そのまま起きずにじっとしときなさい。」


 「・・・・ありがとうございます。」


 「いいのよ、休息ちゃんと取るのも修行よ。大分魔力感知も良くなってきてるし、このぶんだともうこの修行から卒業ね。」


 「っ!本当ですか!?」


 「・・・・そんなに嬉しそうな顔すると何か癪だけど、そうね。次からはアキが担当すると思うわ。」


 「え、そうなんですか」


 アキさんは苦手だ。なぜか僕を嫌っているようで何かと嫌悪感を出してくる。最初だけは仲良くしてくれそうだったのに。それがすごく寂しい。


 「君とアキは折り合いが悪いからね。だからといってアキは手を抜かないし、ちゃんとやってくれるから安心してね。」


 「・・・はい。」


 それが安心できない。あの人なら間違ったとか言って、僕を・・・・。それが怖い。いつも不安な気持ちになる。いつも胸が冷たい手に掴まれた気分になる。


 「安心しなさい。ニコもいるし、私もいるわ。アキにもちゃんとわかってるはずよ。」


 「でも・・・・」


 「頑張んなさい。男の子がでもとか言ってはだめよ。それじゃゆっくりね。後お願い。」


 そういって、サラさんはニコを置いて出ていった。ニコは直ぐ僕の胸元に飛んできて、そのまま肩まで登った。かわいいなニコは。


 「・・・・はあ、こわいよ。ニコ、明日どうなっちゃうんだろう。」


 肩に登ったニコを撫でながら僕は弱音を漏らした。すると、ニコがぽんぽんと顔を叩いてきた。・・・・怒っているのか、それとも励ましているのか。


 「励ましてくれているの?」


 そう言うとニコは叩くのをやめて、頬を撫でるようにさすってくれた。


 「・・・・・わかった。僕、頑張るよ。」


 少しだけ暖かい気持ちになった僕はそのまま眼を閉じた。


 翌日、アキさんは用事があるとか言って、修行を見てくれなかった。こうなると自分でやるしかない。僕はニコを頭に乗せて、岩だらけの修行場でいつも魔法を魔力の限界まで試す修行をしている。ちなみに僕は土と風が好みだ。僕の魔力の性質だとこの二つがとても使いやすいらしいとお師匠さまがいっていた。だから土を操る魔法と風を操る魔法を使う。土は壁や人の模型を作ったりとおもしろい。・・・こういうことをやってると僕はいつ治癒魔法を使えるようになるのだろうか。いやいやいまは集中しよう。


 大分時間が経ち、魔力と体力の限界がきて、動けなくなった。ただ魔法を使うのもあれだから、暇をしていた埴輪と実践的な訓練をしたら、こうなった。埴輪なのに強すぎる。


 「おやおや、修行中だったか、気分はどう?」


 「はぁっはぁ・・・」


 話す元気もないぐらい。と言いたい。


 「うん、ニコ、今ロン君はどんな感じだい?・・・・ふむ、そうかサラの訓練は終わったのか。次はアキだけどさぼったのかな。後で言っておかないとね。さて帰ろうか。」


 お師匠さまは僕に手を向けて魔法を使った。僕の体は宙に浮いた。風なら体にぶつかってくる何かがないから、風以外の何だろう。後で聞こう。


 そのまま僕たちは帰宅した。


 



 帰宅する途中で少しだけ寝てしまった。おかげで体力は少しだけ回復した。泥だらけだった服も体も綺麗になっている。お師匠さまが何かしただろうが突っ込む気がおきない。僕たちは家の中で大きい机に対面で座っている。お師匠さまの手にはポットとカップがあり、黒い水・・・コーヒーを注いでいる。


 「さて、どうぞ、コーヒーだよ。」


 いつも修行後にこの人は僕にコーヒーを出してくる。僕はコーヒーが少し苦手でましてや修行で喉が渇いてる所にとてもごくごく飲めない。


 「お師匠さま、いつも言いますけど水じゃだめなんですか?」


 「うん、だめです。」


 いつもこういう。ちなみにお師匠さまはコーヒーを飲まない。前に聞いてみたら「だって苦いじゃん。俺これきらいなんだ。」と言った。この人はおかしい。


 「おかしい。これのことを狂うっていうんですっけ?」


 最近覚えた言葉。狂う、これはしきりにお師匠さまはいう。そう言うと、お師匠さまは水を飲んでいたカップを静かに置き、僕に優しく


 「人間はね誰しも狂っているんだよ。ただそれを真っすぐに受け入れている人はほとんどいない。受け入れることが怖いからね。」


 「?」


 「そうだね。他人から見たおかしな部分であり本人からしたらわがままのこと。例えば、ロンくんは俺が自分の体を改造していることにおかしいと思ってるでしょ?」


 「はい。」


 そう、お師匠さまの体はもう人間じゃない。背中には鱗みたいなのがあったりと、とにかく普通じゃない。


 「それと同じように俺は君が兄上の・・・えっと口付けをしたのはおかしいと感じてしまう。これがおかしな部分さ。」


 「じゃあ、僕のことお師匠様はおかしいと思ってらっしゃったんですか?」


 「まあね。でも本人は普通なんだよ。受け入れてるんだ。俺は実験が大好きだから自分のわがままな実験は何をしようと全部やりたい。たとえ、この身を使ってもね。」


 「・・・・なんか釈然としないですけど、なんでそれを受け入れない人がいないんです?本人が普通なのに?」


 「それはね、受け入れることは同時に苦しいことなんだ。」


 「???」


 「はははは、説明が悪かったね。俺が実験で自分の体を作り替えた時、誰も悲しまなかったとおもうかい?」


 「・・・いえ」

 

 「ちょっと間があったけどまあいいや。実際、俺の実験を止めようとした人もいたよ。・・・・本当だよ。その疑う顔をやめなさい。それでね。きっとしてしまえばその人は悲しむ、けどそれでも俺はしたかったんだ。万が一その人と溝が出来てしまってもね。」


 「・・・・・最低じゃ・・・」


 「そうだね。人としては減点だと思う。けれど、だからといってやめるわけにはいかないのさ。もしこれを止めてしまえば俺は何をしてきたのかさっぱりわからなくなるからね。俺は俺なんだとわかる大事なことなんだ。・・・・まあ、大切な人達はそれぐらいでは離れないけどね。」


 「・・・」


 「狂気とはその人の本質、根っこにある隠れた性質ともいうべきかも知れないね。だからあえて言うよロンくん、自分のために狂いなさい。それがどんな結果になろうとも狂え。ただし、飲まれるな、狂気を従えろ。」


 「・・・もしその道がが人を犠牲にしてもですか?」


 「うん、ただし大切な人以外はね。俺も家族、友人、家来は絶対に犠牲にしないよ。」


 「じゃあ、もし大切になってしまった人が研究対象で、その人が世界でたった一人でも?」


 「そうだよ。いいかい、大切になってしまった人はね。すでに俺の世界の一部であり色になって溶け込んでしまうからだよ。それが俺のせいで失われること、色褪せることはできない。


 「なんて都合がいい。」


 「誰しも好き好んで自分を殺そうとはしないさ。それをしてしまえばね、狂気に飲みこまれてしまった人間になるのさ。だから常に狂いながら自分を見よう。」


 「間違えてしまったら?」


 「そしたら、俺が口酸っぱく叱りに行きます。」


 「それだけですか?」


 「そうだよ。当たり前じゃあないか、俺は君の師匠だ。弟子が間違えば正すのさ。そして逆もしかりだ。もし、俺が道を違えようとしたら真っ先に叱ればいい。」


 「お師匠様を正すなんて・・・・」


 「ははは、まあ確かに難しいかもね。正すなんて大きなことを考えずに小さなことからやってみよう・・・そうだね、自分の意見を言えばいいのさ。好き嫌いしないでとかね。」


 「・・・・じゃあ、修行後にコーヒーを飲ませないでください。水がいいです。」


 「それはだめだ。実験なんだ。」


 「嘘つきじゃあないですか。」


 「強くなれるよ・・・きっと・・」


 「僕はただ兄上のことを治せるたりする力が欲しかったのに・・・・・」


 「これ飲めばその力が得られるよ・・・・ほれほれ。」


 後になって、このときのお師匠さまは感情を抑えるな、だけど感情だけで動くなと言っていたように思えた。今更聞くのもどうか間が悪いから聞かないけど、多分それであってる。


 「ズズゥーー」


 やっぱり苦いやこの味は。


コーヒーを飲んで苦い顔をしていたロンとそれを見てニヤニヤしていた明文であった。

お読みいただきありがとうございます。

最近、夏カレーが私のマイブームです。トマトやオクラなどをごちゃごちゃいれたカレーがめちゃうまいです。友人などはシンプルなカレーが好きなようで、玉ねぎと鶏肉しかないカレーが好きだそうです。私は具だくさんのカレー派です。皆さんはどうでしょうか。

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