2
妖の存在を当たり前とすれば、驚くほど簡単な謎かけでした。
そこにいる『人』に、両親は気付かない。当時の私には理解できない事でした。
当たり前のように見えているはずのものを、否定される。
その理由を知るのはもう少し先の事で、当時の私はただわからないまま、心配される事を恐れて黙るようになっていました。
そんな私が、かみさま、と慕う『人』がいました。
黒髪に白い古風な着物……狩衣の少年、といっても13~15歳くらいに見える人で、当時の私には大人とほとんど変わらない人でした。
かみさまが言うには、もう彼女には近づかない方がいいそうです。
「彼女に関われば、必ずお前は傷つく事になるだろう」
そう言って頭を撫でてくれるかみさまの手はとてもあたたかいので、私は頭を撫でられるのが大好きでした。
それでも、かみさまが言う事はいつも正しいのに、それを知っていたのに。
私は彼女を忘れられなかったのです。
あの冷たい手をあたためてあげたかった、また微笑んで欲しかった。
そんな事を思ったからなのでしょうか。いつしか私は夢の中にいました。
かみさまと共に、彼女の夢の中に……
.




