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桃の香に眠れ  作者: 夕月 星夜


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殺す描写がありますが、あくまでもフィクションです。

本小説は殺人を肯定するものではありません。

ご了承下さい。








貴方は、大切な人をその手で殺めた事が、ありますか。








私がその人に出逢ったのは、まだ物心ついたばかり……そう、小学生にはまだなれない頃でした。


祖母の見舞いに出掛けた病院で、私は両親とはぐれてしまったのです。


うろうろと迷う私は、ドアの開いたとある部屋を覗き込み……そこで雪の妖精のような女性に巡り会いました。


色素の薄い、茶色の髪。血色のない、青ざめるように白い肌。


今にも消えそうな儚い微笑みを浮かべて、その人はベッドに起き上がっていました。


「迷子なの?」


京子という名のその人は、そう言って私を手招きます。


おずおずと近づく私の頬に触れた手は、驚くほど細く……冷たいものでした。


名前を問われ、ナースコールで看護師を呼んでもらって来るまでの間……ほんの数分の間に、私は彼女の事が好きになっていました。


病気の名前がわからない事、少しずつ体の機能が衰えていっている事……何故かは知りませんが、彼女は私に色々と自分の事を教えてくれました。


別れ際、彼女は微笑みながら最後にこう言いました。


「私の真実を、見つけてね」


当時の私にはわからなかったけれど、今ならその言葉の意味がわかります。


そして何故、彼女が初対面であり幼かった私にそう言ったのかも……




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