第三十八話 再出発
病院を無事?退院した私は、リバティたちと共に冒険者ギルドを訪れる。
中に入ると、受け付けカウンターにいたメグと目が合った。
「シャオさん!? どうしたんですか!?」
「退院してきたのよ」
「えぇと~、結構な大怪我でしたよね・・・」
「ギルドからの差し入れで全快よ、あとお肉一杯食べたしね」
そう言って塞がった腕の傷を見せる。
「そ、そうですか、それは良かったです」
何故か若干引き気味のメグ。
そんなメグに、ライラが声をかける。
「ギルドマスターに呼ばれのだけど、取り次いでもらえないかしら?」
「はい、聞いておりますので、どうぞこちらへ」
メグの案内で私たちは、応接室に通された。
メグがギルマスを呼びに行っている間、私はギルド職員の淹れてくれた紅茶とお皿一杯のクッキーを頬張る。
「ギルマスの話って何かしらね~、モグモグ」
「襲撃者に関して、何かわかったのかもしれないな」
「そうね・・・ところで、アクセルは、いつまでここに居るのよ」
何故か私とリバティとライラと一緒に、アクセルも応接室のソファーに座っていた。
「・・・いや、俺もギルドマスターに話があると言われていてな」
「ふ~ん、そのクッキー食べないなら頂戴」
「・・・あぁ」
「シャオ、俺の分も食べていいぞ」
「わーい、モグモグ」
そんなやり取りをしていると、応接室の扉が開いた。
部屋に入って来たのは、髭を生やした中年、ギルドマスターのリチャードだった。
「お待たせした・・・っと、シャオさん、本当に退院できたのか」
「してきたのよ、私一人だけベットで寝てられないわよ、モグモグ」
「うむ、元気になって何よりだ」
メグから私が退院したと聞いていたらしい。
そこに、ライラが声をかける。
「ところで、私に話があると言う事だけど、何かしら?」
「あ、はい、実は、襲撃者に関する事なのですが、彼らの正体が判明致しました」
「聞かせて頂戴」
「彼らを調べたところ、彼らの生体データが冒険者ギルドに登録されていました」
生体データと言うのは、ギルドカードで本人確認する為に、冒険者登録をする際に髪や爪、血液などと共に記録しておくモノなのだそうだ。
よく分からないが、何でもDNA?とか言うモノで個人が判別できるんだとか。
もちろん、私もギルドカードを作った時に、登録されている。
「つまり、彼らは元冒険者だと?」
「そうです、ただ登録した国などはバラバラでして、今のところ彼らの共通点は元冒険者と言う事だけです」
「彼らが最後に立ち寄ったギルドは、分かっているのかしら?」
「現在、それに関しては、冒険者ギルド本部の方で調べてもらっております」
「そう、他には、何か分かっているのかしら?」
「いえ、今はこれだけで、それから襲撃者たちを王都へ護送します」
「護送? 王都へ?」
リチャードの話では、魔導師協会からの要望で、王都にある魔導師協会本部の方へ連れて行き、治療をするとの事。
治療なんてできるのかしら?
むしろ人体実験をするんじゃないの?
っと言う疑問はあるが、既に決定済みとの事。
犯罪者と言う事で護送には衛兵が付くが、現在、近隣の森の魔獣討伐作戦が成功したとは言え、魔獣への警戒の為、それほど兵は出せない。
また、非戦闘員の魔導士協会職員も同伴するとの事で、冒険者ギルドに護衛の依頼を頼まれたらしい。
「護衛には、アクセル、きみに頼もうと思っていたんだが」
「・・・俺は構いませんよ」
「魔獣討伐作戦からまだ日が浅いが、よろしく頼む、人選は君に任せる」
「・・・それじゃ早速、めぼしい連中に声をかけてみます」
そう言ってアクセルが席を立とうとすると、ライラがアクセルに声をかけた。
「その護衛、私たちも同伴しても良いかしら?」
「・・・えっ!? ライラさんが同伴してくれるのなら心強いですが」
「元々、王都へ行く予定でもあったし二人共、問題ないわよね」
ライラが私をチラリと見る。
「怪我も治ったから、私は問題ないわよ」
「シャオが問題ないのなら、俺も問題ない」
こうして、私たちも襲撃者護送に付いていく事になった。
青薔薇団が連中を取り戻す、あるいは暗殺する為に襲撃するかもしれない。
ギルドには、襲撃者たちが青薔薇団と言う事を報告もしていないしね。
ここは、私たちが同伴した方が安全かもしれないわ。
ライラもその辺りを警戒して、同伴を申し出たんでしょう。
さて、青薔薇団は、どう出るかしらね?
マオクラスの刺客が来ると言うのなら、不謹慎かもしれないけどワクワクするわ。
何もしなくても死合う相手が、向こうから来てくれるんだもの。
私はクッキーを口一杯に頬張りながら、そんな事を考えていた。
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