062 知らんがな…
「ところでジークの方の話は何?」
「そうでした。もうすぐジークさんの盗賊ギルドが発足するじゃないですか?」
じゃないですか?とか言われても、知らんのですが?
前回の会話がまるで無かった事のように、娘さんが穏やかな表情で話を続けた。
これが《猫かぶり姫》の技能効果か…それとも『隠し』ドS要素?
娘さんがそのギルド発足のために徹夜するほどの事なのに、
ホントにジークの意見は聞かないんだな…
「しばらくは機能移転とか忙しいと思うんですけど…」
「けど?」
「それが終わったら私、思い切ってジークさんに告白しようと思うんです」
ちょっ!おまっ!それっ!…人生一度は言ってみたいセリフ第3位のやつ!
それ言ったらあのフラグがセットでついてくるセリフが、なんで今唐突に…
まさかこれか?これが娘さんに名前が付いた理由か?
2階級特進的な感じなのか?
それともキャラ整理な感じなのか?
「…聞いてます?」
あ、唐突すぎて俺の思考が止まってたわ…いや、むしろ高速回転してたわ。
おかげで娘さんには、俺が話を聞いてないと思われたらしい。
「私、この任務が終わったら故郷に帰って結婚するんだ…だっけ?」
「まだそこまで言ってませんよ?!そもそも故郷ここですし!
…告白するだけなんですけど」
そうですか、まだですかぁ~
いいじゃない、告白。思う存分にやりたまえ。
それより、いつの間にジークにそこまでの感情を持ったのかそこ詳しく!
と思ったのだが、そこに関しては話すつもりはないらしく、
間を置かずに娘さんが話を続ける。
「私って、ほら、美の魔導士じゃないですか?」
いや知らんがな…
なんで皆さん「じゃないですか?」って言うんかな…
あ、美の魔導士ってのは知ってるけど…
「美の魔導士としては、男にフラれるわけにはいかないんです」
何その唐突に新ルール!
それこそ知らんがな…
そもそも美の魔導士に関してすらよくわかってないのに…
ってか娘さんの場合、【魅了】で堕として男の方から告らせるんじゃないのかな…
「ジークさんって異性より、どっかのアニキさんに夢中じゃないですか…」
「やめて!マジやめて!」
呆れたような娘さんの言葉をきいて、思わず悲鳴交じりに叫んでしまった…
俺ノンケだと何度言えば!
<【両刀
【創成】しないってば!
また勝手に【創成】が起動しやがった…
【創成】と俺の攻防戦を繰り広げる俺に対して、
娘さんがからかい交じりの微笑みを浮かべて話を続けた。
…いや、その微笑みは俺の悲鳴交じりの叫びに対してか…
「まぁそれは冗談として、あの人、自分から告るタイプじゃない気がするんです」
「冗談でよかったよ!…まあ確かにジークからは動かない気がするな」
「で、私的にはもう一押しだと思うんですけど、どう思います?」
いや、だから知らんがな…
…少しだけ嘘ついた…【神眼】でほぼ答え知ってる…
ジークは娘さんの【魅了】をわりとレジスト出来てないから、
娘さんが一押しすればいけそうな気はする。
あぁ…だから娘さんから告白するって話か。
というか、オッサンも奥さんの【魅了】はレジストしてたけど、
違う意味で魅了されてたし、ジークも【魅了】はレジスト出来てるけど、
オッサンと同じ理由で魅了されてるのかもしれないな…
「まぁもう一押しだろうなぁ…」
「よし!」
あ、娘さんの無邪気な笑顔でガッツポーズ…かわいいな…
…いかんいかん、レジスト失敗するところだった。
―ジークからNTR?―
唐突にアニーの声がした。
NTRとかマジやめて?!
ていうかアニー居たの忘れてた!
アニーを家に送るべく転移門を出そうとしたところで、
オッサンたちが興奮気味に帰ってきて、興奮そのままに言い放った。
「入り口出てきたぞ」




