<第一章 Slothの種> 第1部 家族の団欒15話 妹
色々と勉強が必要ですね…
ウーゴ達が夕食をとっている間、ルナは平民達が住むローワ区に居た。太陽が沈み、夜の時間が訪れている。彼女は虚ろな目で辺りを徘徊する。
(あれ?なんで私、こんな所に?)
頭の中が掻き乱されている彼女。疑問は浮かぶが、働かない頭。「どうして」と「どうでもいいや」が反芻される。
ゆったりとした足取りの彼女を困惑気に傍から見ていた平民に異変が起きる。目は血走り呼吸が荒くなる。男性の象徴が激しく主張し始めた。
(早く帰らないと。でも、もう少しだけ⋯)
火照った体から滲む淫靡な空気が周りをおかしくさせていたのだ。ルナの足はローワ区の中でも治安が悪い所へ向かっていく。強制的に興奮させられた男どもの視線には気づかない。ルナはふと、足を止め空を見上げた。紅潮した頬に甘い吐息を漏らす彼女を照らす月明かり。
(あぁ、とっても綺麗な空)
彼女が空に意識を向けている時、男どもにはチャンスに思え、実行してしまう。
「な、なぁ嬢ちゃんここは危険だ。朝になれば少しはマトモになるから俺の家で休んでいけよ」
一人の男が声を掛け、周りの男達は唾を飲む。ルナは男達の視線に嫌悪感を抱いたので断ろうと口を開け
「あらあら休むだけですか?本当に?」
艶やかな声で誘ってしまう。ルナの視線は男の下腹部に向けられ、美しい笑みを浮かべた。そんな彼女の答えを聞いた男どもは興奮を抑えきれなくなってしまう。見た目を見れば貴族であることが分かる。その為男どもは問題が大きくならないよう速やかに事を運ぶ。
「あぁ本当さ。皆で休むだけ、それだけだ」
「そう⋯。お言葉に甘えさせてもらうわね」
彼女は男達が案内する場所へ行き、一晩中コトを起こしてしまった。
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太陽の陽射しで目を覚ましたルナ。彼女は見覚えのない景色に違和感を覚え周りを見渡す。辺りには誰も居なく、栗の花と獣臭さが充満していた。
(ここはどこ?なん…で…ッハ!)
昨晩の記憶を思い出してしまった彼女。ルナの体は震え、顔色は蒼白だ。何かの間違いかただの夢であったことを祈り、自分の体を隈無く調べるが現実を突きつけられるだけ。
「ッオエッ!!」
シーツには赤い染み。体の所々には鬱血があり、ベタつく液が髪から落ちる。
(あぁあぁなんてことを!)
絶望に落とされた彼女はふらついた足取りで屋敷へ戻ろうとした。もう何も考えたくない、生きていたくない。そんな考えで頭は埋め尽くされていた。
十四歳の誕生日。プレゼントは自分が穢れたという事実だった。
洗脳されている者はその事に気がつく訳もなく。