交渉(ガチ)
…古龍のお爺ちゃんが帰った所で、ベーゼ君達とお話しないといけない…
ああ、めんどい…
「……それで、この森の資源の一割一ヶ月に一回納めてもらうという話でしたよね。ちゃんと守ってもらえますか?」
…ベーゼ君…古龍のお爺ちゃんなんか居なかったように話し出すのヤメテ。
こっち疲れてんの…
というか、今思ったけど一ヶ月に一回納める必要無いよね。
一番の問題だった火は水王魔術で克服したし、この森を破壊しようとすればさっきのお爺ちゃんがその愚か者をぼこぼこにしてくれるだろうし…
それによく考えたらこっちに利が無いじゃん…
「断ります」
「何故ですか?約束を違えるつもりですか?」
「納める必要は無いから。別に私の支配域にある植物達を狩ったり、採取するのを否定しないし、それは好きにすればいい。
私が君と約束をしたのは森を燃やされたら消火に困るし、私の支配してる植物達を燃やされたく無いからって理由だし。
もし燃やしてきたりすると古龍のお爺ちゃんが報復にいく。これだけで広範囲攻撃を出来る事は不可能になった。
これで私が約束を守る理由は消えたんだよ。」
「………(ギリッ…」
え?人間と仲良くしたいんじゃ無いのかって?そんなわけない。
私に危害を加えないでくれるだけで充分。それ以上の干渉はいらない。
つい先日とは前提条件が違う。こうなればベーゼ君との約束を守らないでもいいってことになる。
いやー、そう考えると古龍のお爺ちゃんと話せたのは良かった。
……すごく疲れたけど…
ベーゼ視点
ドライアドに約束を違えられた。だけどぼくたちには交渉出来るカードが無い…
このままだと今までと変わらない。
いや、待てよ…探索はしてもいいって言ってる。使える植物があれば採取してもいいって言ってる。だったら冒険者をこのドライアドの支配域に送りこんでもいいことになる。だけど…ぼくたちの領に冒険者たちは滅多にこない。
…どんなものがあるかそれを貰えないか交渉してみる?…ダメですね…探索はしてもいいって言ってますが、積極的に送りこんで欲しい訳じゃないはずです。
となると…このドライアドが好むものを見極めて交渉するしかない。
…そういえば作物と言わず植物達をって言ってる。って事は少なからず愛着があるって事みたいだ。
だったらこの森にない植物の種を交渉材料にしてみることにする。
「ですが、今月納めるぶんの資源は集めたのでは?それを貰えないか?」
「うーん…タダでってのはちょっと…」
「さっきから黙って聞いていれば…そっちのドライアドは我がミール領に資源を収めれば良いのだ。魔物の分際で交渉な…ど…「それ以上口を開かないで貰えないかな?」
いつの間にかドライアドは地面から木の根を突き出し、不快な事を言った家臣団のメンバーの首元に根の槍を突き付けている。
…まずい怒ってる。というか、このタイミングで口を開いて出した言葉が罵倒だと…交渉が台無しだ…だけど、それでも…少しでもいい条件を引き出さないとミール領の未来が明るくならない。
「すみません、ぼくの教育不足でドライアドさんに不快な思いをさせてしまいました。お詫びします。」
「ベーゼ坊ちゃん、こんなまも…「黙りなさい!!」」
「本当にすみません。」
「構わないよ。世の中にはいろんな人がいるからね。そんな人がいても仕方ない。だけど交渉の場に連れてきたのは失敗だったね。」
やはり、怒っている。軽く毒を吐いてきた。とりあえず、あの家臣団のメンバーは首にしよう。
…物理的に飛ばしたくもあるけども…領民の反発も予想されるから首にするのがせいぜいか…
「ごもっともで。では、話を戻しますが、こちらはこの森にない植物種を渡しましょう。それで手を打ちませんか?」
「そうだね〜…なら30種類の植物をそれぞれ本体と種を4つずつお願いしようかな。」
「それで構いません。では、資源を。」
ぼくたちはようやく交渉を終わらせた。最初から大番狂わせが起きたけど、まだミール領の明るい未来が潰えた訳じゃない。今後は冒険者たちを送りこむ拠点として我が都市は機能しそうです。
とりあえず、帰って真っ先にやるのは交渉を台無しにしかけた馬鹿を首にする事だね。
忙しくなってきた。




