1-1 カムランの灼天竜
薄暗い鋼の船房。
たったひとつの小さな椅子に、
たったひとりの小さな少女。
彼女は、耳を澄ましていた。
……ザブンッ、
……ザブンッ、
波が響く。
随分と遠海まで来てしまったのだろうか。
しかし、たしかめようはない。
窓のひとつもない、この船房からでは。
ドン! ドン! ドン! ドン!
「殿下、
コルウィンです。失礼いたします」
力んだ男声。
鋼の扉の向こう側から、少女を呼ぶ。
返事は、しない。
ドン! ドン! ドン! ドン!
「殿下、殿下、いらっしゃいますか。
コルウィンです。失礼いたします」
鋼の扉の鍵を開けて、
紺の軍服の大男が、入った。
「殿下、
御体調はいかかでいらっしゃいますか」
「……、……海が見たい」
「殿下、
エヴァンス大佐が航行指揮所にてお待ちです。
艦橋へ御足をお運びいただきますよう、
謹んでお願い申し上げます」
「中佐、この艦はどこへ行く」
「それにつきましても、
後ほど、改めてご説明申し上げます。
殿下、どうぞ、どうぞ、艦橋へ」
少女は、鋼の船房を出された。
中佐の案内に従うまま、
蒸気管だらけの通路を進む。
途中、すれちがう乗員たち。
彼らは皆、
少女の艶やかな黒髪と白い正装を見るや否や、
あたふたと作業を止め、向き直る。
「おい!」「マヤ王女殿下だ!」「一同、敬礼!」
右手をこめかみに、背筋を伸ばして、ビシッ!
少女の前に道を空けた。
そして、航行指揮所。
エヴァンス大佐が待ちかねていた。
「殿下、
御足をお運びくださいましたこと、
衷心より感謝申し上げます。
ささ、どうぞ、こちらにお掛けくださいませ」
催促する大佐の手。
それよりも、
少女は、計器と羅針盤の間を抜け、
真っ先に、展望窓を覗き込む。
……外は夜。
海は、果てしなく真っ黒だった。
「窓の外に、何かございましたか」
「……いいや」
「さようでございますか」
「……大佐、
この艦はどこへ行く。何をしている。
我が国は、我が軍は、
降伏したのではなかったのか」
「はっ。
たしかに、我が国は降伏いたしました。
しかしながら、情勢は一変いたしております。
『海軍極秘緊急軍事行動案第十八号』に則り、
殿下を安全な拠点までご案内申し上げます」
「海軍極秘? 緊急? 軍事?」
「いかにも。
我が国、『オーシャニア列島連合王国』は、
存亡を懸けた重大事に迫られております。
誠に心苦しく存じますが、
国王陛下、すなわち、殿下の御父上は、
戦争犯罪の容疑にて、
ご捕縛の憂き目に遭われました。
今現在、唯一、王位継承権をお持ちの殿下に、
万一のことがあっては取り返しがつきません。
つきましては、この『駆逐艦アイルウィッド』に、
殿下をお迎え申し上げた次第でございます」
少女は、釈然としない。はぐらかされている。
戦犯のことも、王位のことも、とうに知っている。
「いいや、われが訊ねているのは、
なれらが武装解除命令を蔑ろにしていることだ。
父上は、
戦火の収束をこそお望みではなかったのか」
すると、大佐の顔がいきり立った。
「戦火の収束ですと? 言語道断でございます!
降伏も何も、嬲られるがままではございませんか!
国王陛下は、奸計に嵌められたも同然!
占領軍の乱暴狼藉、我が国民、もはや堪え難し!
武力をもって決起する他に道はございません!」
「……」
激昂に、口を塞がれた。
暫しの沈黙の後、
大佐は、一度、咳払いをする。
「無礼の至り、誠に恐れ入ります。
殿下には、これより、
軍事拠点『海星島』へお出ましいただき、
我ら解放軍の旗印となっていただきたく存じます。
ここに、殿下の御武運を祈念申し上げるべく、
小官より献上したき品が」
差し出されたのは、黒革の宝石箱だった。
「これは」
箱の中に煌めいていたのは、
銀の腕輪と、
それを飾る〈紅の玉〉。
「〈灼天の紅玉〉でございます。
こちらの霊石には、
『護国三大霊獣』の一柱、〈カムランの灼天竜〉が、
その御身を封じられております。
〈カムランの灼天竜〉の召喚者は、
王家の血統を受け継がれるべき殿下のみ。
殿下にこそ、相応しき品でございます」
「〈カムランの灼天竜〉……」
少女は、銀の腕輪を手にしてみた。
ぎらぎらとした〈灼天の紅玉〉の煌めきが、
彼女の瞳を、赫く染める。
それは、
あまりにも痛々しく、暴力的な、赫。
腹の奥底が疼くのは、
恐れなのか、怯えなのか。
彼女の内の何かが、
鈍く、熱く、燻ぶられていた。
……その時だった、見張員が叫んだのは。
「前方に、軍艦のものと思しき探照灯を確認!
大佐、敵です!」
◆2
航行指揮所に、突然の緊迫。
当直士官たちがざわめく。
「軍艦だと?」「どこだ?」「敵襲なのか?」
少女は、今一度、展望窓を覗き込む。
……真っ黒だった水平線に、
ぽつり、ぽつりと怪光が浮かんでいる。
「敵、あれが」
怪光は、白い刃の群れとなり、
漆黒を切り裂いて踊りはじめた。
「敵の正確な位置、報告しろ!」
指揮を執る大佐に、
測距員が報告する。
「ガリア海軍の巡洋艦二隻、駆逐艦三隻を、
北東十五 海里で確認!
速力三十 節で接近中!
奴らは、我々を完全に捕捉しています!」
大佐の拳が、羅針盤に叩きつけられた。
針路を読まれたのか。計画が漏れていたのか。
敵艦隊の布陣は、
明らかに、待ち伏せていたものだった。
「機関室、最大戦速!
総員、戦闘配置、急げ!」
唸りを上げる、『駆逐艦アイルウィッド』。
蒸気機関に甲板が震え、
三本の煙突から黒煙が吐き出されると、
海面下では、
螺旋推進器が高速回転を始め、
艦体を、ぐんと勢いづかせる。
四・七 吋連装砲、二基。
二十三 吋四連装魚雷発射管、三基。
各々の持ち場にて、乗員たちが一心に身構える。
「大佐、戦うのか」
こわばる少女に、大佐が頷く。
「戦います。
これより、逃走路を切り開くべく、
敵艦隊の布陣を突破いたします。
しかしながら、
本艦は、数の上で圧倒的に不利。
轟沈も覚悟しなければなりません。
その折には、どうか、殿下御一人だけでも、
〈カムランの灼天竜〉に騎し、
戦場よりお落ち延びくださいませ」
「〈カムラン〉に乗って逃げろ、と?
ひとりで?」
動揺を隠せない面差しに、
大佐の低めた声が重ねる。
「ご安心くださいませ、殿下。
あくまで、
本艦が敗れた場合の仮定でございます。
殿下の御身をお守り申し上げるため、
必ずや、小官ら一同、
『海星島』までお送りいたしましょう」
「しかし……」
そこに、中佐が割って入ると、
少女には思いも寄らないことを進言しだす。
「大佐、具申がございます」
「どうした、中佐、言ってみろ」
「殿下にも、本艦にて、
戦陣を共にしていただいてはいかがでしょう」
「何だと?」
「〈カムランの灼天竜〉の赫き炎は、
絶大な戦力となりましょう。
この『アイルウィッド』と共にお戦いになれば、
あるいは、敵艦隊を退けることも可能かと」
「駄目だ! 殿下にご共闘を仰ぐなど!」
刹那、展望窓から、
真っ白な閃光が差し込んだ。
敵の探照灯に捉えられたのだ。
ズドンッ!
左舷前方で、水柱が爆ぜた。
「敵の初弾、着水確認!
距離一五〇〇〇 碼!」
測距員の叫びが、海戦の始まりを告げた。
ズドンッ! ズドンッ!
第二、第三と、敵の砲弾が降り注ぐ。
集中砲火を脱しなければならない。
「右舷三十度!
ジグザグ航行で敵の照準を外せ!
煙幕、用意!」
大佐の指揮の下、
『駆逐艦アイルウィッド』は、
波を蹴散らし、水柱の間を縫うように転回。
同時に、煙幕展張装置、作動。
艦尾の鉄缶から化学煙を噴き出し、
風下の艦体を覆い隠す。
ズドンッ!
海面を叩く音が遠ざかると、
「敵の攻撃が逸れました!」
「よし、進め!」
すかさず驀進。
針路を南東へ。
迂回通過を試みる。
だが、敵艦隊は機敏だった。
化学煙が薄れた途端、
『アイルウィッド』の動きに対応し、
五隻の単縦陣を形成して、素早く南下。
あっという間に、舳先まで回り込まれてしまった。
立ちはだかったのは、敵巡洋艦。
これを押し通らなければ、
『駆逐艦アイルウィッド』に活路はない。
「目標、前方を遮ろうとする敵巡洋艦!
距離一二〇〇〇 碼、砲撃開始!」
ズドンッ!
赤橙の閃光。劈くような轟音。
四・七 吋連装砲が、火を噴いた。
水柱が爆ぜた。
だが、目標は無傷だった。
反撃が、来る。
ズドンッ!
左舷近くに、水柱。
「至近弾! 被害なし!」
無論、安堵している暇はない。
ズドンッ!
間髪を入れず放たれた敵の次弾が、
『アイルウィッド』後甲板に直撃した。
爆裂。爆炎。爆風。
鋼の装甲を砕かれ、衝撃に、艦体が呻いた。
◆3
激震に襲われる航行指揮所。
はちきれそうに点滅する赤色灯。
少女は、震える手で壁に寄りかかり、
初めて目にする戦場に、怖気づいた。
「後部魚雷発射管、全壊! 死傷者、多数!」
「速力低下、二十四 節! 維持困難!」
「防火壁、閉鎖不能! 二次爆発の危険!」
通信員たちの悲鳴。立て続けの凶報。
すると、
血走った目の大佐と中佐が、
少女の元に詰め寄った。
「殿下!
敵陣は崩せません! お逃げくださいませ!
〈カムラン〉召喚の詠唱を!
殿下はご存じのはずです!」
「殿下!
勝機は残されております! 戦いましょう!
〈カムラン〉の御力で敵陣を打破なさるのです!
亡き御兄上、ケイネス王子殿下のように!」
岐路を前に、少女は、立ち竦んでしまった。
敵から逃げるのか。敵と戦うのか。
いずれにせよ、
彼女は、闇夜の荒海に放り出されてしまうのか。
「中佐、ふざけるな!
殿下を危険に晒すつもりか!」
「しかしです、大佐!
敵艦隊は、すでに、
単縦陣より弧状の包囲陣へと改め、
当方の撃滅を図っております!
殿下を本艦よりお逃がし申し上げたとしても、
砲火の嵐をお避けになることは叶いません!
むしろ、共に! 殿下と!」
「いいや、駄目だ! 駄目だ! 駄目だ!
殿下が、これ以上、本艦にお留まりでは、
ご脱出がますます困難となってしまう!」
「困難とはなりません! 勝てばよいのです!」
「勝てなかったらどうする!」
「大佐には、必勝の信念がないのですか!」
「信念だけで勝てたら、誰も苦労しない!」
「信念がなければ、勝てる戦も勝てません!」
鬩ぎ合う両者。
敵艦隊の猛攻が続いているにも関わらず。
測距員が叫んだ。
「大佐、伏兵です!
後方に、新たな敵駆逐艦二隻を確認!
距離六〇〇〇 碼!
魚雷、来ます!」
航行指揮所に、焦燥がかけめぐった。
『駆逐艦アイルウィッド』は、
波を蹴散らし、左へ転回するが、
「魚雷群、左舷後方! 回避不能!」
黒い海面に白い尾を引いて、
敵の魚雷群が、急接近し、炸裂した。
ズゴンッ! ゴゴゴッ!
激震とともに、艦体が傾きだした。
「大佐!」「このままでは!」「沈みます!」
中佐の顔つきが、ぐしゃりと歪んだ。
「わかりましたよ、そういうことですか!
大佐は、
殿下に取り入ろうとしていらっしゃる!」
「はっ?」
「殿下を誑かし、〈カムラン〉の力を利用して、
大佐だけ助けてもらう算段でしたか!
『アイルウィッド』の総員を犠牲にして!」
「滅茶苦茶だ! 言いがかりは、止せ!」
「黙れ、奸臣が! 成敗してくれる!」
中佐の拳銃が引き抜かれた。
銃口の先は、大佐の首元。
狂気を察し、少女はとびだす。
「待て、撃つな!」
引き金は速かった。
大佐が撃ち斃された。
さらに、銃把が振り下ろされた。
左前額部を殴られて、
少女は、床にくずれおちた。
「不埒な奸臣エヴァンスは、ここに成敗した!
恥知らずの臆病者が! 死に晒せ!
〈カムランの灼天竜〉に打破できない敵など皆無!
それを疑うなど笑止千万! この、売国奴が!」
捲し立て、ぜえぜえと、中佐は、息を切らす。
ふと、足元を見る。
そして、蒼褪めた。
髪を乱し、額から血を流して倒れた少女が、
黒々とした瞳で睨みつけていたのだ。
「……」
「で、殿下。こ、これは、ですね」
「……」
「こ、これは、違うのです!
殿下、違うのです!
小官は、殿下の御為を想い、
殿下の御為に動いたまでのこと!」
「……」
「そうです!
小官は、殿下に教えて差し上げたのです!
戦場とは、生きることとは、勝つこととは、
このように苛酷なものなのでございます!
ご修練でございますよ!
さあ、共に戦いましょう! 睨まないで!」
無情。
海戦の勝敗を告げるように、
真っ白な閃光が差し込んだ。
敵の探照灯に囲まれたのだ。
逃げ道は、もう無い。
有るのは、とどめの総攻撃だけだった。
ズドドドドドドドンッ!
無数の砲弾と魚雷が、艦体を叩く。
爆裂。爆炎。爆風。
艦橋も、連装砲も、発射管も、尽く破壊される。
熱波が、展望窓を打ち砕き、
航行指揮所を侵した。
計器と羅針盤が吹き飛ばされた。
鉄片と硝子片が、
乗員たちをずたずたに引き裂き、
つづけて、
業火が、血肉を炙り焦がした。
見張員も、死んだ。
測距員も、死んだ。
通信員も、死んだ。
死ばかりが、航行指揮所に蔓延した。
◆4
皆殺しだろうか。丸焦げだろうか。
否、死に蝕まれなかった者が、ただひとりいた。
壊滅した航行指揮所の片隅で、
自分の盾となった者の存在に、少女は気づく。
「中佐?」
熱波と、鉄片と、硝子片を一身に受け止め、
ぐしゃぐしゃになった背中から、
コルウィン中佐の口に黒い血が遡り、溢れ出た。
「……でん、……か、……、————」
中佐は、喋らなくなった。
……ズドンッ、
……ズドンッ、
砲声は鳴り止まない。
少女には、もう、わからなくなった。
へたり込む彼女と、
目の前で焦げていく屍たちとの間を、
たしかに隔てている境界が。
わからなくなったし、それに、
なくなりつつもありそうだったから、
震える足を床に立て、
炎上する航行指揮所から、
よろめきながらも歩み出た。
だが、通路にも屍は焦げていた。
破裂した蒸気管からの熱風に斃されていたのだ。
そればかりか、
彼女の頬にも、
ひりひりとした高熱が撫でるのを感じ、
急ぎ、
屍たちの間を抜ける。
不思議と、道は空いていた。
震える足がもつれてしまわないよう、
煤と血と汗にまみれた裾をたくし上げ、
煙の中をひた走った。
そして、辿り着いたのは甲板。
……ザブンッ、
……ザブンッ、
波が打つ。
海は、果てしなく真っ黒だった。
鋼鉄の巨兵どもが、白い刃を振り翳し、
炎に立つ彼女を見下ろしていた。
そうだ。
奴らは、彼女を殺そうとしているのだ。
死んでもかまわないと思っているのだ。
何だか、嗤えてしまった。
火傷した頬が引き攣られた。
命とは、こうも弄ばれるものなのか。
殺そうとする者も、攫おうとする者も、
奪おうとする者も、守ろうとする者も、
誰も、彼も、平然と、疑いもせず、
他人を荒海に蹴落とすことができるのか。
あるいは、これは誅罰だろうか。
愚かで弱々しい敗者からは、
尊厳も何もかも、
剥奪されて当然なのだろうか。
今、願いは、ただひとつとなった。
つよくなりたい。
命を弄ばれないために、弄ぶ奴らを斥けるために、
遣り場のない怒りをもって、
彼女は、戦わなければならないのだ。
ここに、波は立った。
握り締めていた銀の腕輪を掲げ、
王家に伝わる一節を唱えた。
『烈火昇天、靭翼旋空、精悍ノ誉ニ不滅ヲ謳ヘ』
「飛翔せよ、〈カムランの灼天竜〉!」
激しく煌めいた、〈灼天の紅玉〉。
炎上する『駆逐艦アイルウィッド』から、
一縷の赫き光が、漆黒に昇った。
それは、挫創から迸る血にも似た、赫だった。
痛ましくもあり、
凄まじくもあり、
勇ましくもある、赫。
赫き光は、球となり、殻となって、
内側から、力任せに突き破られた。
〈カムランの灼天竜〉、激発!
竜の背にしがみついた少女は、
その雄姿に刮目した。
風を刻む、強靭な翼。
鉤爪を携えた両足と、
しなやかに伸びた尻尾とが、
赫き鱗に覆われた体躯に平衡をもたらし、
自在に宙を滑っていく。
頭部には、
厳めしい棘が冠のように並び立ち、
銅色の眼光が、
海面に環を成す敵艦隊を、
鋭く睨み下ろしていた。
漆黒を舞う〈カムラン〉に対し、
七隻の砲門が、一斉に、振り上げられた。
ズドドドドドドドンッ!
猛烈。総攻撃。
無数の砲弾が、空を叩いた。
ズドドドドドドドンッ!
少女は、竜の背に身を委ねる。
その意思に、〈カムラン〉は呼応する。
強靭な翼を翻し、急旋回。
少女を背に庇いながら、砲火の嵐を掻い潜る。
ズドンッ! ズドンッ! ズドンッ!
まだまだ、猛攻は終わらない。
行く手に立ちはだかったのは、敵巡洋艦。
打破しなければならなかった。
生きたいのなら。喪いたくないのなら。
恐怖を殺せ。覚悟を決めろ。
腹の奥底を滾らせ、少女は吠えた。
「灼き払え!」
〈カムラン〉の尖った口が灼熱の炎を湛え、
仇敵目掛けて、撃ち放った。
〈赫炎弾〉!
雷を纏った大火球が、
漆黒を切り裂き、
敵巡洋艦の艦橋に直撃して、爆ぜた。
烈光。
夜の闇が追い散らされ、暁が導かれたかのような、
凄まじい大爆発に水平線がどよめいた。
ここに、少女の戦いが始まったのだ。
赫き竜の背に跨り、燃える大海を突き進む、
彼女の名は、マヤ。
齢は十二。疾風怒濤の初陣だった。
To Be Continued.




