第三十五話 誓いの記憶
いやぁ…叱られたなぁ…愛だな!!
謁見殿の裏に着いた。
オレは車から弥生をお姫様抱っこしたまま降りた。
弥生が何故コッチに来たのか、来れたのかは疑問だが、ソレはオレもだが…
裏から謁見殿に入ると篝火が焚かれており視界は確保されている。
謁見殿に残っていた人達が待ってくれていた。
中でも…
「あきつら、お帰りやよ。首尾は?」
「オレが失敗る(しくじる)とでも思ったかい?」
「思って無いから心配もしてなかったやよ。」
オレの抱いている弥生を女官さんが気付いて預かってくれた。
「少しは心配して欲しかったかな…」
ガクン!!
アレ?力が抜け…
「殿!!」
道雪が駆け付けて肩を貸してくれる。
「あきつら!?」
紅葉もオレに肩を貸してくれた。
オレの胸からかなりの量が出血していた。
「なにかや、この血は!?」
「他勢に無勢でしたので、お怪我を召された由に御座います。」
「まさか…」
「はい、一人で乗り込みました。」
「なんて無茶を…」
言いながらオレの胸に手を当て、その瞬間オレは意識が飛ぶのを感じた。
どの位寝てたかな?
布団に寝かされている。胸があったかい…
紅葉がオレの胸に手を置いて法術を使っている、流れる大粒の汗もそのままに、可愛い顔を歪めて。
「おはよう…」
喉がカラカラだ、声が掠れてる。やっぱあの出血でムリし過ぎたか…
紅葉はオレの声を聞き涙を浮かべた。
「ばか…あきつらのばか…ばかぁ!!」
ばかを連呼しながら抱きつかれた。
「ごめん…」
一言、それだけを言い紅葉の頭を抱き寄せる。
「ホントばかやよ、帰ってから心配させるとか、ばかの中のバカやよ。」
オレを抱く力が強まる。少し声に元気が出てる。今回の件は反省しよぉ…もう二度と彼女を悲しませない!!
そぉしてまた眠りに落ちた。
部屋に明かりが差す。夜明けだ。隣にはいつも通り紅葉が…居ない!?
どゆコト!?
すら〜
部屋の障子が開かれる。
女官さんが居た。
「あら?鑑連様、お目醒めになりましたか。」
「あ…はい、なんとか、今は何時くらいですか?」
「辰の半刻(午前九時くらい)くらいですね。」
「あちゃぁ、かなり寝てましたね。早く起きなきゃ。」
立とうとし少しふらつく。
「今暫くはお休みになられていた方が宜しく無いですか?」
「しかし…」
「今、鑑連様が無理して倒れられたら、長様が悲しまれますよ?」
「うわぁ…紅葉を引き合いに出すとか…解りました。大人しくしておきます。その代わり…」
「その代わり?」
「水を一杯頂けますか?」
「お安い御用ですわ。」
「ありがとうございます。」
オレは頭を下げる。
暫く待つと、盆に水の入った湯呑みと、急須を乗せて戻って来た。
やはり気が効く。今の喉の渇き具合からして一杯では治らないだろぉし、後でまた呑みたくなるからね。
オレは湯呑みを貰い頭を下げる。
礼は尽くさなきゃね、そしてゆっくり一口ずつ慌てず飲み込む。
かぁ〜!!沁みるなぁ。
「では、鑑連様がお目醒めになった事は皆にお伝えしますので、お覚悟を。」
「覚悟?なにを!?」
「ソレはご自身でお考え下さいまし。」
言って女官さんは部屋を出て行く。どんな覚悟が必要何だろぉか?
あの後再び聞いたが答えてはくれなかった…
あの人何か、ワケ解らん怖さがあるよなぁ…
少しして、部屋に来たのは、紅葉だった。
オレは布団に座った状態だ。
「紅葉、昨日は心配させてごめん。」
断片的にだが憶えている。かなり無茶させたからなぁ…紅葉は悲しそぉな表情から一気に怒りの表情に変わった。
アレ?こんな怒りの表情とかするの!?初めて見たよ…つかめっちゃ怖いんだが…
「あきつら…」
「はい…」
「正座するやよ…」
静かな重圧を感じる。思わず従う。
「はい!!」
コレが国の頂点に立つ者の威圧感なのだろぉか?
「この戯けが!!わっちに心労をかけるとは何事かや!? そんな漢に育てたつもりは無いやよ?」
育てられては無いが反論は愚策か…
「面目無い。」
「更に雑魚相手に手傷を負うとは情け無いのぉ…」
「まさにその通りで…」
「わっちの目に狂いがあったのかや?そような手傷を負って帰って来るなど…」
何も言えない…慢心が招いた事だ。何が憂さ晴らしだ!!好きな娘にこんな表情をさせるとか…
「この痴れ者が!!二度とわっちに心配させるで無いやよ!!」
「御意。」
オレは平伏せざるを得ない。
「ばかやよ。わっちにここまで心配させてからに…」
紅葉は目に涙を浮かべ歯を食い縛る。泣きたいのを堪えているのだ。
ソレが一番堪えるな…
「ばか!!」
叫んでオレに抱き着く。そして堰を切ったよおに、涙を流し小さく嗚咽を繰り返し泣いた。
オレはそんな美少女を抱き締め、「ごめん。」と一言言うのが精一杯だった。
この日、オレは心からこの美少女に生涯の忠誠を誓った。口には出さないし、誰にも言わないで生涯を、閉じるのだが…
その代わり…
「もう二度と、愛するキミに悲しい涙を流させない!!絶対とは言え無いけど、オレは…」
それ以上言わせないとばかりに紅葉の口で、オレは口を物理的に塞がれた。
「そんな言葉を千回言われるより抱き締められたいのが乙女心やよ?」
ソコにはいつもの美少女が居た。
オレは、この強くも儚げな美少女を、生涯守ると密かに心に決めたのだった。
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お時間ありましたらもう一つの作品「忍者が異世界転移したらこぉなった!?」もお読みください。




