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闇夜に蠢く挑戦状  作者: 大和ラカ
第四章 悲嘆に蠢く狂願
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夜間捜査

 2時間ほど仮眠を取ると俺は病院に向かう準備をした。

 寝る前に院長には許可を貰い、予備の鍵は桂木が用意してくれた。


 その後、3人で車に乗り込み、移動しながら簡単に影崎側の情報を桂木が話してくれた。


「すぐ着くでしょうから手短に話すわ。これは知ってた方がいいかもしれないから」


「分かった。それで影崎たちは何を調べたんだ」


「主に患者についてね。貴方たちとは別にしていたから。実際のところ、患者の中には動機を持ちそうな人も犯行を起こせそうな人もいなかったわ。でも、何人かは最近、悪夢のようなものを見るようになったって言ってるわ」


「悪夢……」


 悪夢を見ると言えば我孫が悪夢のせいで不眠になったと話していたことを思い出した。

 この悪夢も事件と何か関係している可能性が出てくる。


「先輩、それって我孫の発言と重なりますよね」


「だな。推測だと一定範囲に広がるそれなんだろう。そうしてその中で犯行を……」


「……仮にそれが本当なら犯人の目的は?」


「分からない。何をどうして人を殺してるのやら」


 殺す手段としては魔術によるものであるのは間違いないだろう。

 悪夢を見る人がいるというのは、魔術による一定範囲に及ぼす影響ではないかと考えている。

 冬月とそのように話していると桂木が不満そうにしているのがバックミラー越しに見えた。


「桂木、どうかしたか?」


「……いえ、貴方たちが何を話しているのか理解できなくてね。推理するならもう少し分かりやすく説明して欲しいものだわ」


「……こっちにも色々あるんだ」


「まぁいいわ。他にも影崎君たちは被害者の死亡推定時刻も割り出してたわ。3件ともおおよそ0時から2時の間の犯行らしいわ」


 やはり深夜の犯行であったか。

 見つかりにくく、こっそり犯行を起こせそうな時間であるためそこは容易に想像できる。


「桂木、現場に着いたら冬月と車で待機しててくれ。何かあった場合はすぐ運転出来るように準備してて欲しい」


「分かったわ。山川君はどうするつもりなの?」


「俺は病院内に入って怪しい動きが無いか探ろうと思う」


「気をつけてくださいね。隼先輩はすぐ無茶するんですから」


 助手席で冬月が心配そうにこちらを見ているのが視界に入る。

 微笑を浮かべ、大丈夫とだけ口にするとしばらく無言の車内となった。


 魚川総合病院に到着すると、外からでは明かりが着いている場所がほとんどないのが分かる。

 着いているとすれば夜番をしている人の待機所などだろう。

 病院の敷地外の道路脇に車を停め、俺は病院に向かおうとした。


「それじゃ、何か不審な動きを見せる人がいたら連絡してくれ」


「分かりました。それと先輩、これを」


 そう言って冬月は金属製の警棒を手渡してきた。


「流石に刀を持ち歩くのは目立ちます。これならしまいやすいですし最低限の対抗策にはなります」


「分かった、助かるよ」


 そう冬月に感謝を述べ、俺は車を後にした。

 恐らく空いているのは職員用の方だろう。

 俺は周囲を警戒しながら病院の裏にある職員用玄関を目指した。

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