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闇夜に蠢く挑戦状  作者: 大和ラカ
第三章 離島に蠢く怪虫
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失踪事件

 俺は急ぎ足で警察署までやって来た。


「あ、おはようございます先輩。遅れるって言ってましたけど早いじゃないですか」


「あぁおはよう。普段はもっと早く来てるぞ」


「そうですけども、あんな連絡してきたらかなり遅れると思いますよ」


「まぁいいだろ。そうだ、例の事件の調査は進んでるか?」


「そうですね……共通性が見つからないので大本が掴めてないですけど」


「そうか……」


 現在、俺と冬月は失踪事件を追っている。

 関係性のない人たちが次々と消息を絶っているのだ。

 初めて刑事課が担当していたわけではなかったが、連続していることから事件性が高いと判断され、俺たちに回されたというわけだ。

 ここ一週間で十人が行方をくらましている。

 ただ調査は難航しており、情報が不足している。


「何か手掛かりがあればいいんですけどね」


「まったくだな。被害者に共通点がないとなると難しいぞ」


「黄野町の時に似てますよね。今回の事件」


「まさかまた儀式のようなものが起こるのだろうか……」


 俺も冬月も黙り込んでしまう。

 あのような狂気めいた事件が再び起これば不気味だ。

 人間離れしたあの現象、何がどうなっているのだろうか。

 うわさで聞く都市伝説というのが本当に実在している証拠なのだろうか。


「おぉ山川来てたか」


 突然声をかけられ、声の方を見てみると荒巻警部の姿があった。


「おはようございます荒巻警部。どうかされましたか?」


「君が遅れると聞いていたが来ていたのでな」


 それを聞いた冬月は小さくため息をついた。


「だから言ったのに……」


「まぁ、遅れず来てくれてよかったよ。それにしてもすまないな、君たちにはおかしな事件ばかり回してしまって捜査しにくいだろう」


 荒巻は俺たちを心配しているようで、申し訳なさそうにしている。


「大丈夫ですよ、これくらいなんてこと」


「それは頼もしいな。今回の事件も難解だろうし頑張ってくれよな」


 そう言って俺の肩をたたくと、荒巻は戻っていった。


「じゃあ冬月、朝礼が済んだら捜査を始めるぞ」


 朝礼が済んだのち、俺と冬月はデスクに戻り今回の事件を振り返っていた。


「改めてだが、現状の報告では手掛かりも共通性もないんだよな?」


「そうですね……一つあるなら全員一人暮らしってところですね」


「自宅の捜索は今日からなんだよな?」


「そうです。私たちと新田君含む三人でです」


「分かった。新田たちを呼んだら向かうぞ」


 そう言ってると、新田たちがこちらにやって来た。


「冬月先輩、山川先輩、おはようございます! 準備できました」


 後ろにいた捜査員二人も挨拶してくる。


「あぁ、おはようございます。そっちは北エリアの捜査をお願いします。こちらは南に行きますので」


「分かったよ山川君、でも南の方が行方不明者多くなかった?」


 捜査員の女性は首を傾げて質問してくる。


「一軒多いだけですし、俺としてもこの目で確かめておきたいので」


「そう、それならわかったわ。よろしくね」


「新田君がやらかさないよう見ていてください」


 冬月の呼びかけに女性捜査員は頷き、部屋を出ていく。

 後ろをついていく新田は納得のいかない表情を浮かべていた。


「俺たちも行くぞ」


 俺がそういうと冬月は頷き、二人で駐車場の方へと向かう。



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