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第六話「むせろっ! リターンマッチ!」⑤

「……駄目だこいつ……早く何とかしないと。」


 エストががっくりと膝をつく……もしかして、私の勝ち? いえーいっ!


「だから、言うたであろう……。

 しかしまぁ……ロゼ殿の変身……あれは凄いのぅ。

 前にギャプロンをブチのめした時より強化されておらんか?」

 

「ふふん……私は、火属性に目覚めたのよ!

 やっぱ、炎は最高だわ……変身すれば、空も飛べるとかスゲくね?

 ……ホント、時間と回数制限付きってのが勿体無い……。」

 

「……誰よ……こいつにそんな物騒なスキル教えたのは……。

 前は炎なんて使ってなかったじゃないのぉ……。」


「なんか、取ろうと思えば最初から取れたっぽいよ。

 どうも天性のスキルだったみたい……エストならきっと土属性とかそんな地味なのが取れるかも。」

 

「ああ、そう言えば……ボクも水と闇属性とかなってますね。

 元々氷系の魔術を使ってたし、闇属性は……魔王様に教えてもらったエナジードレインのせいですかね。」


「くっくっく……そうなるとワシは、闇属性で決まりじゃな……。

 まぁ、仕方あるまい……我こそは闇に生き、闇を統べる……夜天の闇よりなお深きもの……なのじゃ。」

 

「ダニオの話だと……基本は火、風、土、水の4属性とどれにも属さない無属性。

 それと別に光と闇と中立ニュートラルって3属性の組み合わせになるんだって。

 本人の素質もあるけど、装備やらスキルによって偏るから、その辺意識すると良いんだって……。

 もっとも、耐性スキルとか取らないと、火や水に強いとかそういうの意味ないみたいだけど。」

 

 割と細かいな……これ。

 要するに、相性とか才能みたいなもんらしい。

 

 ……ルーシュの水や魔王様の闇は解りやすいけど、ステータス見ると魔王様も火属性持ち、なんだこれ。

 ちなみに、私は火と中立ってなってる……光系も闇系も取ってないからかな。

 

「魔王様……火属性の闇ってなってるけど。

 なんだ……魔王様も炎派の同志じゃない……気が合うね。」

 

「ファッ? アイエエエエ! 同志!? 同志ナンデエ!?」


 魔王様が乙女らしからぬ奇声を発する……魔王様、出来る人なんだけど、相変わらず予想外の出来事に弱い。


「……これのせいじゃないですか?

 なんです? この「マキシマムダークネス・カオスファイアエクスプロージョン・オメガプラス」って?」


 魔王様のステータスを覗き込んだルーシュが魔王様へ問いただす。

 なに、その馬鹿っぽいやたら長い名前は……。

 

 けど、上手い具合に私の吊し上げタイムも終了したっぽい……正座を解いて、胡座をかく。

 女将さんがおにぎりくれたので、ありがたくもらう……お説教中に常連さんのご飯とか物欲しそうに見てたから、気を使ってくれたみたい……女将さん、大好きーっ!

 

 うん、おいしーっ! でも、これ食べたら絶対寝る……そろそろ限界近い。

 

「……ば、爆発が芸術なのじゃよっ! ワシのオリジナル究極☆魔法!

 その名も「マキシマムダークネス・カオスファイアエクスプロージョン・オメガプラス」!!

 その威力はまさにマキシマム最強……この世界の頂点に位置するまさに究極中の究極絶対破壊魔法ッ!

 しかし、我が強大な魔力を根こそぎ使う上に、詠唱に10分とかかかりよるのでな……実戦ではなかなか使えん。

 その代わり、威力は凄まじいぞ……究極生物と言われるドラゴンも一撃じゃ!

 実際、クソ生意気な世界の支配者気取りの聖龍アークドラゴンを住処諸共吹き飛ばしてやった時は快感じゃったぞ!

 危害半径も500mはあるような超強烈な奴じゃ……使う時は自滅せんように目一杯距離を取るか多重の対魔法結界が必須。

 ……まさに究極浪漫! 爆滅魔法じゃっ! 爆炎一つで浪漫爆発、イン・ザ・スカイ!」

 

「なにそれ、凄そう! 私もそれみたい……と言うか使ってみたい!」


 膨れ上がる灼熱の炎……なにもかもを粉砕する爆風……ドラゴンすらも一発で消し炭にする火力とか!

 

 イヤンッ! まさに浪漫ーッ! 浪漫超魔法とか良すぎるっ!

 

「なんとロゼ殿、解ってくれるのか! そうじゃろ、そうじゃろ……爆発には人を魅了する何かがあるのじゃ。

 ワシもこの迷宮どっかんどっかん爆発させたらスカッとするじゃろうなーって……。」


「うわっ……こいつら、完全っに同類……似た者同士だよぉ。

 って言うか……そのアークドラゴンの話! まさかあれ……あんたの仕業だったのっ!

 聖国の象徴にして神の代理人……されど、魔王に迎合し、神を否定する人々の愚行を嘆き悲しみ、ある日閃光と共に、巨大なクレーターを作って、天へと還った……そうじゃなかったの!

 アンタか! アンタの仕業だったのか! ホント、やりたい放題じゃないの! さすが魔王! 最悪だよっ!」


 ……魔王様、ギルティ。

 アークドラゴンとやら……魔王様の犠牲者だった。

 なーむー。


「『聖龍去りし後に』……ですよね……ボクも知ってますよ……それ。

 でも……あれはもうそう言う事にしましょうっ!

 聖龍が居なくなったおかげで、聖国も聖戦とか言って無茶しなくなったんですし……結果オーライです!

 むしろ、さすが魔王様! さすまおっ!

 エストさんも、ここは何も聞かなかったことにして、真実は闇に葬り去るのがきっと皆のためです!

 ……と言うか、魔王様……ロゼさんと同類でいいんですか?

 魔王様まで、全フロア炎上、迷宮片っ端から爆破して攻略とか言い出さないでくださいよ……。」


「いくないっ! だが……気持ちは解らんでもないな……ワシもさっきの光景を見ていて、ちょっと気分良かったわい。

 思わずシモが緩くなってしまうほどにな!

 ギャプロン処刑のシーンがトラウマになってて、反射的にチビった訳じゃないのじゃっ!

 それはともかく、ロゼ殿の変身は切り札のひとつと考えておくべきだと思うのじゃ。

 10分程度しか持たんかったようじゃし……変身切れたあと……完全にグロッキーになっておったろ?」

 

「そうなのよね……アレ使うと、もうヘロヘロでさ……時間は最初より伸びたんだけど、まだまだね。

 あれ使うと完全復活に丸々一晩はかかるのよね……その代わり、スカッとするけど。」

 

「……変身中のロゼさんの狂気に満ちた目……。

 そして、上気して、はぁはぁ言ってる姿……怖がって涙目で縋り付いてくる魔王様とか。

 私は、終始ドキドキしっぱなしで、もう全面的に私得すぎて、最高でした!

 エストさん……ロゼさんをそろそろ許してあげてください。

 ……お説教されながら、居眠りするくらいには疲れてるみたいですよ。」


 ……たまに変な事言うのよね……リアンって……。

 それにしても……疲れた……今日はリアンと言う抱枕が欲しいな……明日はエストって事にして、いっそ交代制にしようかしら?

 

「そうね……まぁ、属性云々とか気になるしねぇ……私もちょっと検討してみようっと。

 聖龍様の件は……私も忘れる……聖龍様は人類を見捨てた薄情者って事になってるから、それでいい……のよね?

 実際、ボケ始めててタダの老害になってたって話も残ってるし……むしろ、魔王様グッジョブ? いやいやいや!

 とにかく……リアンは、ロゼを部屋に連れて行ってあげて……もう座ったまんま寝落ちしかけてるし。

 まぁ、今日のところは抱枕権はロゼに譲ったげるわ。」

 

「はい、解りましたぁ……ロゼさぁん、一緒にお部屋まで行きましょうね。

 お風呂は無理そうだから……身体くらい拭いてあげますよ……さぁ、頑張って立ってください。」

 

 促されて立ち上がると、リアンが手を繋いでくれる。

 そのまま、フラつきながら手を引かれるままに、部屋に連れて行かれる。

 

 着替え……とか思う間もなく、猛烈な睡魔に襲われて、ベッドに倒れ込むと思わずリアンをギュッと抱き寄せる。

 

「うふふ……ロゼさん、今日は甘えん坊さんなんですね……素敵。」


 お返しとばかりにリアンがぎゅっとしてくれる。

 ああ……暖かくて、いい匂い……癒されるぅ……私、思わず頬ずりとかしちゃったり……。

 あ、首筋なめられた……ちょっと、それは勘弁……。

 

 私、ちょっと汗臭いし……体拭いたりお着替えとかしたいんだけどぉ……。

 

 そんな事を思いながら、意識が遠のいていった。

うん、属性うんぬんは後付け設定なんだ。

……スマホゲームやってて、思いついたり。

でも、ルーシュとか元々氷系魔法しか使わなかったり、ちゃんと伏線はあったよね?

ロゼも名前とかイメージカラーでそんな感じだし。


そのうち、ステータス回でまとめます。

エストは土属性の光系で、リアンは火と光系だったりします。

ヒール系とか取ってると光になるけど、ダーク系のヒールもあるので魔王様の持ってるのはそっち系。

耐性スキルはその属性の攻撃が効きにくくなりますけど、相反する属性が弱点になります。


さて……このまま、ジャングルステージ一気に攻略と思いきや、次回より新展開です。

まぁ、ダニオ回なんですが……お付き合いください。


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