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第六話「むせろっ! リターンマッチ!」②

 ……戻ってくるなり、皆を集めて作戦会議!

 

 黒板を借りてきて、部屋の中へドーンと置く。

 私もあまり意味は無いのだけど、ちょっぴり知的にメガネなんかかけてみたりする。

 

 

「とりあえず、皆……今日はいきなり想定外の激戦でお疲れ!

 でも、誰も死なずに無事に戻ってこれたからよしとしましょう!」

 

「おかえりぃ……で、そのカッコは何なのぉ?」


「気分ですっ! ……ただのっ!」

 

「なるほどぉ……気分かぁ……でも、その眼鏡かけてるとロゼも少しは頭良さそうに見えるよ?」


「え? マジ……じゃあ、これ標準装備にしよっかな?」


「でもぉ……ホントに頭いい人に失礼だから、たまのオシャレ用くらいにしようぜぃ!

 たまにするのが、新鮮でいいんだからさっ! 女子力女子力っ!」


「そっかぁっ! 女子力か! 納得だよっ! 女子力女子力っ!」


 最近の私達のキーワード……それは女子力!

 やっぱ、女子だし可愛くって奴ねっ!


「でも、今日はハードだったよぉ……さすがに、私も体力の限界を感じたよぉ。

 剣や鎧の重さを今日くらい恨めしく思ったことはなかったさね。

 私も少しは筋トレとか普段の生活に取り入れようかな……一人で皆を守りきれるとか思い上がりだったよ。」

 

「うん、私も正直厳しかったからね……まずは早朝ランニングでもしましょうか。

 なんだったら、リアン達も付き合う? ダンジョン探索に体力あるに越したことないわよ!

 と言うか……最後に物を言うのは鍛えられた体力……だと思うわっ!」

 

「ボ、ボクは遠慮しようかな……見ての通り、ボクは頭脳派を自称してるし!

 と言うか……朝は苦手なんだよ……。」


 確かにルーシュは朝が弱い……たぶん、起きれないかー。


「ワシも年じゃからのう……朝っぱらから、走り込みとかしたら、死んでしまうわ。」


 このポンコツ魔王……一番小さい最年長のくせに、何を怠惰な事を……。

 

「わたし、がんばりますっ! お二人と一緒に早朝トレーニングで健康的に一汗かいて、軽く水浴びとか!

 実にいいです! ぜひやりましょうっ!」

 

 なぜか、リアンだけはやたら乗り気……良く解らないけど、鼻息荒い。

 ……基本、この三人でフォローしあってることが多いせいか、リアンって付き合いいいのよね。

 

「さすがリアン……怠惰なナマケモノの二人とは違うね……よしよしっ!」


 いつも通り、抱きしめてめっちゃ頭を撫でて、その髪に顔を埋める。

 ああっ……なんかいい匂い……お日様の匂いって言うのかな……幸せっ!

 

 ……と思ったら、エストに持っていかれた……まぁ、いいか。

  

「ルーシュ殿、このクソレズトライアングラーに怠惰なナマケモノとか言われてるのじゃが、良いのか?」


「レズなのは知ってますけど、怠惰なナマケモノとか無いですよね……。」


「まぁ、ワシらはワシらでダークネスコンビを結成しとるからな!

 今朝の我が秘伝の闇の儀式の効果はどうじゃった? お主も当社比3倍はいけたであろう?」

 

「イケました! 外を走り回ってる暇があったら、闇の儀式で暗黒パワーをチャージした方がいいです!」


「じゃろ? じゃろ? お陰で今日のワシは死なんかったし、お漏らしもせんかったぞ!

 暗黒パワーをふんだんに使ったダークネスブラスト! メガネ犬も一撃で灰じゃ! 見とったろ?」


「うんうん! すごかったです! 初級魔法があんな風になるなんて……ボクも感心しましたよっ!

 ダークネスパワー! すごいです! ボクも魔王様を見習って、立派なダークネスウィザードを目指します!」


「ふふん……ワシは元々ダークネス・プリーストとダークネス・ウィザードを兼ね揃えるダークネス・マスターなんじゃぞ?

 今はヘッポコじゃがすでに、その片鱗は見えたであろう! 今後のワシの活躍を刮目して待つのじゃっ!」


 ……なんか、いつのまにか二人が結託してる……。

 暗黒パワーって……何?

 

 って言うか、聞き捨てならないことを言われたような……クソレズって……。

 

 でも、男ってダニオみたいなのばっかだし……汗臭そうだもん。

 その点、リアンとか超かわいいし、いつもいい匂いするし!

 一緒に寝たり、お風呂で洗いっこくらい女子的にはふつーですよ! ふつーっ!

 

「でさ……今後はどうすんのぉ? あんな調子がずっとなんて、考えただけでもうんざりなんだけどぉ。」


 流石にうんざりした顔のエスト。

 ダニオの話だと、あれでも小手調べっぽいし……。


「んと……一応、間違ってるかもしれないダニオ情報だけど……どうも今日は場所とこっちの対応が悪かったみたいなのよね。

 あのメガネ犬って、基本的に巣みたいなとこにぎっちり固まってて、一部がウロウロ巡回してるんだって。

 で、巡回してるのに見つかると、巣から応援がワラワラ来る感じで……しかも、今日戦った所って巡回してるのが重なり合ってた最悪のポイントだったんだって……。

 そんなポイントのど真ん中で延々戦ってたせいで、全部の敵を相手する羽目になったみたい。」

 

「なるほどね……ボクとエストが偵察に出た時もその敵の巣を見つけちゃってね。

 でも、罠だらけでルート選定に難儀してるうちに、退路を巡回してるやつに抑えられちゃってさ……なんとか、隠れてやり過ごそうと思ったんだけど。

 エストが見つかっちゃったんだよね……。」

 

「あれは……私のミスね……と言うか、イザって時にルーシュを守れるようにってついていったんだけど。

 装備が重いし、ガチャガチャうるさいしで、正直足手まといになってた……。

 私って、偵察には向いてないって実感したわ。」

 

 まぁ、重騎士が偵察とか……強行偵察ならともかく、隠密偵察とかそりゃ……ね?

 とりあえず、そう言う事なら、この私が名乗りを挙げるっきゃないよねー。

 

「じゃ、次から私が偵察行くわ……私なら身軽だし、イザとなったら敵を蹴散らし……」


「却下……ロゼっちこそ偵察に一番、向いてないと思うよぉ。

 何かというと力技で解決しようとする脳筋に隠密偵察とか、それこそ無理すぎぃ……。

 ……どうせまた、見つかった挙句にやけっぱちで放火してヒャッハーするのが関の山じゃないかなぁ。

 そんなジャングルでファイヤーパーティとかやらかされたら、また階層中のメガネ犬相手のお祭り騒ぎ……。

 そんなのゴメンです……なので、ロゼは私と留守番が良いと思うのぉ。」

 

「そ、そんな事無いわよ……ジャングルって視界が悪いから焼き払って、すっきりさせたくてウズウズしてるとか……。

 敵が固まってるとこに放火して、まとめて焼き尽くしたらきっとゾクゾクするんじゃないかとか、思ってないしー!」

 

「却下……じゃな。」


「ロゼさんには悪いけど、ボクも却下した方が良いと思います。」


「ロゼさんはわたしと一緒にお留守番しましょうっ!」


 全員一致で却下された……何故だ。

 

 気が付いたら、いつぞやの魔王様と同じポーズになってる私。

 

「……お主ら、こんな野蛮な脳筋メイドの元で良く生き延びてこれたのう。」


「実際、無理でしたね……この人、猪突猛進って言葉が服着て歩いてるようなもんです。

 エストさん来てから、やっとパーティとしてまともになったんだよ。」


「そうね……さすがに、見えてる落とし穴に向かって走っていこうとした時は、この脳筋メイド頭おかしいって思ったよぉ。」


 ルーシュ……あんな素直ないいコだったのに、なんか酷くね?

 エストもしれっと人を裏切るなんて……と言うか、脳筋とか……。

 エストにこそぴったりな言葉なんですけどー。


 ん? リアンだけは、私の味方……だよね?

 

 縋るようにリアンの目を見るのだけど、サッと逸らされた。

 ……私、泣いていい……かな?

 

「そうなると……まずは偵察隊を編成して、敵の巡回ルートと巣の場所を押さえるのが重要じゃな。

 巡回ルートさえ解れば、もはや攻略できたも同然じゃな……。

 皆の衆、次はワシに任せてみんか? この魔王サクラちゃんの芸術とまで言われた知略を見せてやろう。

 ワシ、ちょっと本気出しちゃったりするのじゃ!」


「……魔王様の本気! ボクも是非見てみたい!

 どうでしょう……皆さん、魔王様のお力ならきっと無傷でワンフロア攻略とかやってくれますよ。」


「ふはは……よすのじゃルーシュ! まぁ、ワシならそれくらい軽くやってのけるであろう。

 なんせワシ……歴史に名を残す偉大なる魔王様じゃしー! 世界だって征服しとるしー!」


 思わずエストと目が合う。

 めちゃゲンナリとした顔をしてる……。

 

 まぁ、エストの立場的には複雑だろうね。


「と言うか、世界征服とかダンジョン攻略には関係ないしー。

 具体的にはどうするおつもりなので、まおーさま。」


「そうじゃな……幸いあのエルフパーティも協力してくれるようじゃし、奴らにも偵察を手伝ってもらって、大規模隠密偵察を敢行するのじゃ。

 戦場においても、敵の配置と戦力を把握する偵察ミッションは極めて重要なのじゃ……。

 敵を知り己を知れば百戦危うからず……こう言う格言もあるからのう……。

 力押しでは勝てんと言うのは、ワシもこのダンジョンで嫌と言うほど味わったわい。」


 ドヤ顔のサクラ……。

 おまいうの? そこの37回死亡のお漏らし魔王様?

 

「なんでそこでドヤ顔なのか、意味解かんないんですけどー。」


「ふふん……ワシもそろそろ足手まといは卒業じゃ!

 伊達に魔王などと呼ばれておらん事を証明してやるぞい。

 次回、ワシ大活躍! 「もうずっと魔王様のターン!」刮目して待てっ!」


 いつの間にか用意した箱の上に立って、片手を腰に当てて、顔の正面に手のひらを持ってくる決めポーズみたいなのを決める魔王様!


 ルーシュが拍手すると、つられたようにリアンやエストも拍手!

 

 魔王様、ドヤ顔マーックス! しかも、背後に「ドドドドド」とか文字が浮かんでる!


 凄いッ! なんか始まったッ!

ついに魔王様がその本気をッ! 次回、魔王様のターンです!


ちなみに「「ドドドドド」と擬音が浮かぶ」のは、魔王様開発の独自魔法です。(笑)

空気中に擬似元素を凝縮させ、浮揚させると言う割と高度な代物ですが。

擬音を表示させるだけです……魔王梅桃さくらはオタク脳。


読み返してみると、ロゼたん……エストにめちゃくちゃ言われてますが……。

本人、バカにされたとか思ってないので、これくらい辛辣に言われても気にしてません。

皮肉も通じなきゃ、意味ないです……ロゼたん強いぜ!(笑)

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