サリーナ、隣国王女に誘われる
ある晴れた日のことである。
少し肌寒いとはいえ、天気が良く風も気持ちがいい。
今日の学院の授業は、昼過ぎで終了である。
荷物をまとめたサリーナは、中庭に向かった。
庭師が丁寧に手入れをしてくれている中庭は、季節の花が絶えず植えられており、見応えがある。
花を眺めてメモを取りながら、そっと息を吐く。
最近は、チェルシーと帰宅する頻度もめっきりと減ってしまった。
「王妃教育ならぬ、花嫁教育だから仕方がないわ」
そう言いながらも「少しだけ寂しいけど」と笑うチェルシーは、それでも応援してくれている。
落ち着いたら、また二人で町へ遊びに行きたいと思う。
茶葉も、魔法石付きの文房具も売上はかなり良いと聞いている。
サリーナは、王家の影でもある医務室の女性医師を始めとして、固定客を絞って引き込んだ。
特に女性医師は茶葉を気に入ってくれているので、話は王家にまで届くだろう。
人生やり直しまくり令嬢なので、サリーナは花の名前も結構詳しい。
とはいえ、あえて周囲に見せつけるように、花を確認してメモを取る。
王家の影の監視はなくなったとはいえ、学院の中には息のかかった者がいる。
どこで見られているかわからない。
サリーナは空を見上げて、太陽の位置を確認する。
立ち上がりスカートを整えてから、中庭を抜けた。
「あら、あなた」
高い声が、サリーナの耳に響く。
振り返ったそこに見えた集団に、サリーナはさっと頭を下げた。
フェアスーン王女と、その取り巻きの男女がいる。
以前よりも、人が減ったように思えるが、気のせいか。
近づいてきた王女が、口を開く。
「頭を上げてくださるかしら」
サリーナは、ゆっくりと顔をあげた。
王女は穏やかな笑みを浮かべ、嬉しそうに目を細めた。
「確か、シュベルグ子爵家のご令嬢でしたわね」
「サリーナと申します」
わざとらしい自己紹介である。
王女の隣に、元婚約者であるザイードが立っている。
サリーナと目が合うと、さっと反らされた。
最近、王女の取り巻きがサリーナの周辺をちょろちょろしていることは、気づいていた。
当然ルシオも気がついていたので、二人して「そろそろ王女が接触してくるかも。その目的は……。もしかして……」等と話をしていたこの頃である。
だからこそサリーナも、接触しやすいようにわかりやすい行動に切り替えた。
王女の視線が、サリーナの後ろにある中庭に向いた。
「こんなところで、何をされていたの?」
「少し時間がありましたので、足を運んだ次第でございます」
「この庭は、いつ来ても咲き誇っていて素敵だもの。時間があれば見たくなるわよね」
頷かれて、思わず引きつりそうになった。
たいして庭に興味がないはずだが、その辺りは考えるだけ無駄である。
王女は「そうだわ」と両手を合わせる。
「私たち、今から談話室でお茶を頂く予定なの。良かったら、ご一緒にどうかしら」
「お心遣いは大変嬉しいのですが」
「あら。他にご予定がおありかしら?」
王女の一際大きな声が響く。
じっと王女に見つめられ、サリーナは黙ったまま薄く微笑んだ。
王女の後ろにいる取り巻きの男子学生一人が、じっとりと睨みつけてくる。
調べたのは、彼のようだ。
サリーナの今日の予定など、とっくに確認済みだろう。
わかりやすいように、わざとルシオともチェルシーとも離れて一人になったのだ。
サリーナは、鞄を抱えて頭をさげた。
「突然割って入ることになってしまい申し訳ありませが、ぜひ、ご一緒させて頂ければと思います」
「嬉しいわ、ねぇ!」
王女がくるりと後ろを振り返って、取り巻きたちに同意を求めている。
それぞれが「人数が多い方が楽しいですし」「良かったです」などと言っている中、サリーナはザイードを盗み見た。
その様子は、婚約を解消したときと何一つ変わっていないように思えた。
学院の談話室は、誰でも使えるように開放されている場所もあれば、個室もある。
事前予約が必要である個室に案内されたサリーナは、王女の向かいの席へと座る。
大きな机と広々としたソファがあるというのに、この席である。
個室の奥にはすでに人がおり、サリーナが座るとすぐにお茶が出てきた。
サリーナが来たのは突然だというのにしっかりとお茶が準備されているところから、その準備が伺える。
身分的には貴族だが、取り巻きとして選ばれた彼らはしっかりと仕事をしているようだ。
お茶と茶菓子が机に並べ終わると、それぞれが席につく。
「驚かないで頂戴ね。お茶をするときは、皆さんに座って頂くようにお願いしているのよ」
取り巻きのうち、男子学生は学院内の王女の護衛も兼ねていることになっている。
貴族の中でも、騎士科に所属している生徒が選ばれた理由の一つだ。
本来の騎士であれば、王女の席の後ろに立つなりドアの前に立つなり、すぐに動けるようにしておくものだ。
だが、今は皆学生ということもあり、一同に席についている。
サリーナの隣にも女子生徒が座っているおり、何とも居心地が悪い。
「どうぞ」
主賓であるフェアスーン王女が、手でお茶を進めてくる。
感謝の意を込めて頭を下げると、王女はカップを手に取った。
「こうやってお話をさせて頂くのは、初めてね」
「恐れ多いことでございます」
「そんなに堅くならないで頂きたいわ」
フェアスーン王女が口をつけたことを確認して、サリーナもカップに手を伸ばす。
お茶の色は濃い緑色をしており、あまり見かけるものではない。
これは、一般的にお茶と呼ばれるものとは違う。
薬草茶と呼ばれる薬に近いものであり、この国ではほぼなじみがない。
隣国では栽培されていると聞いているが、茶として飲むのは一般的ではないはずだ。
草のような香りが鼻をつく。
このお茶を選んだのは、フェアスーン王女しかいない。
自国から、わざわざ持ち込んだのか。
そんな薬草茶を何故この場で出してくるのかは、考えたくはない。
サリーナは、人生やり直しまくり令嬢だ、薬草茶のことももちろん知っている。
今回のお茶は、薬というよりも葉物野菜の成分を凝縮して集めたものだ。
体のためのお茶と言えば聞こえはいいが、その強烈な匂いと味に加えて値も張るため、隣国でも一部の貴族にしか流通していないはずだ。
さっと周囲を見渡すが、皆黙ってお茶に口をつけている。
鼻が詰まっているだけではなく、舌の感覚もおかしくなるものなのだろうか。
くだらないことを考えつつも笑みを絶やさないまま、サリーナはお茶を喉へと流す。
想像通り、かなり苦みのあるお茶だ。
正直に言えば、おいしくはないし、飲みたくない。
少なくとも、始めてお茶をともにする相手に振る舞うものではないだろう。
カップをおいたサリーナに、フェアスーン王女は困ったように口の端をあげる。
「初めての方に出すお茶ではないわよね、申し訳ないわ。個性の強いお茶だけれど、元々このお茶を楽しむ予定だったの。ぜひ楽しんで頂戴」
「お気づかい、痛みいります」
白々しいセリフだが、頭を下げておく。
どう考えても、お茶を飲んだ後に言う言葉ではない。
王女は、机の上のお茶菓子を手に取る。
「サリーナ様とお呼びしても?」
「恐悦至極でございます」
「あら、今は同じ学院に通う同級生だわ。立場なんて、気になさらないで」
にこにこと笑いながら、恐ろしいことを口にする。
王女は一応サリーナの意思を確認しているが、子爵令嬢のサリーナが反論することなど、できるわけもない。
「最近、とても忙しそうにされているから気になっていたのよ。こうやってお話ができて、嬉しいわ」
本当かどうかもわからない言葉が、王女の口から滑り落ちる。
「先ほど中庭にいらしたのも、本当は、気になることがあるからではなくて?」
「そのようなことは、ございません」
「あら、誤魔化すことはないわ。何かメモを取っていらしたわね、今度は何をなさるおつもりなのかしら」
楽しそうな視線に、サリーナは明らかに困った顔をしてみせる。
王女の隣に座る取り巻きに、視線を向けた。
サリーナの様子を見た男が、王女の方へ顔を寄せる。
「王女殿下、お戯れはその辺で」
「あら、あなたは気にならないの? コンラード商会は、生花には手をつけていないのよ」
これは、とサリーナは苦いお茶を口に含む。
まるで偶然のように話しかけておきながら、実は待ち伏せをしていたことを、隠す気がないらしい。
少しも悪いと思っていないようだ。
王女の言うとおり、コンラード商会は生花には手を出していない。
魔法がかかった花は取り扱っているが、生花は別である。
フェアスーン王女が、美しく微笑んだ。
「どなたのご指示なのかしら」
正直に言えば、ルシオだ。
フェアスーン王女が声をかけやすく、一人でいてもおかしくない場所として、ルシオが選んだだけのことである。
だが、フェアスーン王女の言葉もあながち間違いではないと、サリーナは思っている。
ルシオは中庭の花を調べるにあたって、細かく指示を出した。
何かの下準備につなげる気なのだろう。
その何かがサリーナにはわからないし、ルシオも言わないので現在わかっていることはない。
サリーナは視線を反らす。
指先を頬にあてて、目を細めた。
「申し訳ありませんが、何のことなのかわかりかねます」
「冗談はおやめになって。あれだけ熱心にメモをとっていらしたのは、何のためだとおっしゃるの?」
「個人的な興味に過ぎません」
答えると、「そう」とゆっくりと頷いた王女は、目を伏せた。
部屋の中が、一気に静かになった。
視界の端にいるザイードが目を見開いている。
周囲から、責められているような空気が伝わってきた。
だが、サリーナは何も口にすることなく、背筋を伸ばして正面を向いた。
サリーナは、王女の機嫌をとろう等とは全く思っていない。
先ほど彼女自身が「立場なんて」と言っていたことは、全員が聞いている。
サリーナは彼女の取り巻きでもなく、ただの同級生なのだ。
くだらない探り合いは十分だろう。
サリーナは、最低限の会話しかするつもりはない。
余計なことを言えば、そこから話を強引に持っていかれる可能性がある以上、話は切ってしまうに限る。
そう思っていたサリーナだが、視線をあげたフェアスーン王女の笑みに息を止める。
「サリーナ様は、ネックレスをつけていらっしゃるのね」
思いっきり話が変わった。
柔らかな笑みを浮かべたフェアスーン王女は、とんとんと、自分の首に触れる。
学院内では、華美でない限り、装飾品を身に着けてもいいことになっている。
婚約者がいる令嬢の中には、アクセサリーを贈られることがあるからだ。
サリーナもルシオがプレゼントしてくれたネックレスをつけているが、自ら口にしたことはない。
ただ、制服は首が詰まっているわけではないので、ネックレスをしていればそのチェーンが見え隠れするだろう。
「婚約者の方からの贈り物かしら」
「左様でございます」
頭を下げると、何故かザイードが目を見開いた。
頭を捻りつつも頭を下げたサリーナに、王女が嬉しそうに笑みを見せた。
話の道筋をたてたらしい。
「サリーナ様の婚約者は、コンラード商会の御子息でしたわね」
「おっしゃるとおりでございます」
「コンラード商会には、私も目をかけているのよ。素敵な商品が本当に多くて」
王女がうっとりと息を吐く。
笑みを浮かべたまま頷くサリーナは、目を細めた。
話が動きそうだ。
「新しく、茶葉の取り扱いも始めたとか。サリーナ様も関わっていらっしゃると伺ったわ」
「私は、勉強をさせて頂いている身でございます」
「そんな謙遜をならさないで」
そう言いながら、王女はカップを手に取りゆっくりと回す。
ツンとした薬草の匂いが、向かいに座るサリーナの鼻をつく。
「ねぇ、サリーナ様。このお茶を、どうお考えかしら」
どう、とは。
サリーナは考えるように、カップを引き寄せた。
味を確かめるように一口含むが、ゆっくり飲み込もうが味は変わらない。
どちらかと言えば薬なのだから、味は二の次なのだろう。
だが、そもそもそんなことは、この部屋の全員がわかっているはずだ。
ザイードを含めて、サリーナよりも格上の人たちが何も言わないのは、どう考えてもおかしい。
サリーナは、正面を向いた。
「かなり個性が強いため、人を選ぶかと思います」
「やはりそうよね。健康にはとても良いお茶なのだけれど」
悲しそうに微笑む王女は、視線だけはサリーナから離さない。
王女が、芝居がかったようにため息をついた。
「私の国では、貴族のたしなみの一つなのよ。体に良いお茶だから、皆さんにもぜひ飲んで頂ければと思って、こうやってお出ししているの」
屈託のない笑みで周囲を見渡せば、取り巻きどもが嬉しそうに頷いている。
つまりこれが、王女の特別扱いの一つと言うことか。
サリーナは笑みを浮かべたまま、どうしたものかと考える。
真意は読めていても、どこまで求められるかがわからない。
そして一方で、どう返せばいいのか悩むところだ。
茶葉に関していえば、基本はルシオが担っており、サリーナはそこに参加させてもらっているだけの身ということになっている。
このまま謎のやり取りをしていたら、いくら時間があっても終わりそうにない。
サリーナは、切り上げることにする。
「何を、ご所望でしょうか」
誰に、とも口にせず切り込むと、王女の口元が上がる。
ふふっと口元に手をあてた。
隣の席に座っていた男が、サリーナの目の前に小さな小瓶をおく。
濃い緑色をした葉が詰まっている。
「コンラード商会では、健康補助食品として茶葉を売っていらっしゃるわね。この葉は、そのご期待に沿えるものだと思っているの」
にこにことした笑顔を眺めながら、サリーナは周囲にも気を向ける。
誰も何も言わない、止めようともしない。
ザイードを含め、すべてフェアスーン王女に寄っているらしい。
「私の一存で、出来ることなどございません」
瓶を手に取ることなく、サリーナは顔をあげた。
コンラード商会で取り扱っている茶葉は、すべてルシオの父親が選び抜いたものだと聞いている。
責任があるからと、実際に生産現場まで足を運んで吟味したものだけを取り扱っているのだ。
「コンラード商会」としての名前を、簡単には使わない。
いくら王女から渡された物だとはいえ、それを知っているサリーナが受け取るわけにはいかないのだ。
「とても体にいいものよ」
「本当に、申し訳ありません。私には何の権限もございませんので」
ただただ当惑したように、周囲を見渡した。
ザイードとは真っすぐに視線が合ったが、口元はぎゅっと引き締まったままだ。
「ねぇ、サリーナ様」
ゆったりとした動作で、王女が口元に手をあてる。
絡めとるような視線が、サリーナを包む。
「お茶を嗜む習慣は、私の国でも盛んなのよ。貴族はもちろん、庶民も舌は越えている方だと思うわ」
黙ったままのサリーナを気にすることなく、王女は置かれた小瓶を手に取った。
くるりと手で弄ぶ。
「こうやって私が留学しているのは、実は王妃教育の一環なのよ。互いの国の素晴らしいところを知り、政策に取り入れていくためでもあるの。お互いに利益を得られるのよ」
瓶が、先ほどよりも近い位置におかれた。
この小瓶の中に入っている薬草を使って、売り出せるレベルのお茶を作れと言うことだ。
その代わりに、将来王妃となったときには茶葉の販売を手助けしてくれるということだろう。
だが、それだけでサリーナが瓶を受け取ると思っているのなら甘い。
「私は、教えを乞う立場でしかありません」
サリーナは小瓶を見ることなく、王女に告げる。
持ち帰ってどうにかしてほしいのであれば、サリーナに言うことではない。
茶葉に関してはルシオの名前を出しているのだから、ルートはすでにあるのだ。
「茶葉のアイデアを出していらっしゃるのは、サリーナ様なのでしょう? こちらを使ったお茶について、ぜひ素晴らしい考案を頂けると、心から期待してのことなのだけれど」
そう思ってもらえるのは大変ありがたいが、するかどうかは別である。
この小瓶を持ち帰るということは、王女の依頼を受けることになってしまう。
商会を巻き込む以上、勝手なことはできない。
「気にかけて頂き大変光栄ではございますが、私はただの婚約者でしかありません」
王女が悲しそうに目を伏せて、黙り込んだ。
サリーナは、商会の後継者であるルシオの婚約者であって、商会に雇われているわけではない。
ただの婚約者に、出来ることなどないのだ。
「……そう」
王女の口から小さな呟きが漏れた。
周囲から突き刺さるような視線を受ながら、サリーナは息を詰める。
王女は一呼吸おいて、顔をあげた。
苛立ちもなく、穏やかな雰囲気なのが恐ろしい。
「急なお願いで、驚かせてしまったかしら」
「ご期待に沿えませんこと、大変申し訳ない限りでございます」
サリーナは、話をそらす。
問いかけに答えることなく、あえてもう一度謝っておいた。
自分にはできることがない旨を、再度しっかりとアピールしておく。
フェアスーン王女は、ゆっくりと口を開く。
「今日は、急なお誘いにも関わらず来てくださって、本当に謝するわ」
「こちらこそ、貴重なお時間を頂き感謝申し上げます」
話は終わったとばかりに、サリーナも頭をさげた。
机の上にある菓子も、サリーナに出されたカップにもお茶は残っているが、できればさっさと開放されたい。
マナー違反がすぎるが、それはお互いさまでもあるので割り切った。
「お先に失礼させて頂きます」
王女が頷いたのを確認し、サリーナは立ち上がった。
隣の影がぴくりと反応したが、無視である。
「門までお送りするわ」
「どうぞ、お気になさりませんよう」
「そんなことをおっしゃらないで頂戴。ねぇ、ザイード様」
いきなりの言葉に、さすがのサリーナも息を飲んだ。
それはザイードも同じだったようで「は」と小さく声をあげて目を丸くしている。
明らかにおかしな空気が流れている中、王女は好意的な笑顔を向けている。
「積もるお話もあるでしょう? サリーナ様を門まで送って差し上げて?」
「かしこまりました」
ドアの横に座っていたザイードが立ち上がり、恭しく頭をさげる。
そのままドアへと向かい、開ける。
サリーナは、言いたいことをぐっと飲みこみ、静かに足を踏み出した。
ドアの前で立ち止まり、くるりと振り返る。
「今日はお招き頂き、本当にありがとうございました。お先に失礼させて頂きます」
制服のスカートの裾を持ち、丁寧にカーテシーをしてみせた。
隣に立つザイードが息を飲んだのがわかる。
気にすることなく、サリーナは部屋を出た。
後ろで扉が閉まる音がする。
同時に、人の気配が近づいてきた。
ザイードである。
お互いに一言も口を開くことなく、ザイードはサリーナの少し左前に立って歩きだす。
その背中を見ながら、サリーナは目を細めた。
そうだった。
彼は、いつもサリーナよりも少しだけ前を歩く。
ふと遠く懐かしい気持ちが蘇り、サリーナはぎゅっと唇を結んだ。




