12・ナンヤ寮のお風呂1
今にも消えてしまいそうな儚さを宿した少年が今夜この寮にやってきた。
それも他人との関わりを避けていたはずの彼が連れてきた少年だ。
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「わぁ!広い!!」
扉を開けた途端、むわっと身体を包み込む湯気と香り。
湯気の先に広がる大きな露天風呂。
外に繋がるようで、冬の寒さといつのまにやんだのか、夜空に広がる満天の星が湯船に映っていた。
「へへっ良いだろ?」
シュウが蕩けるように笑う。
僕に今日声をかけてくれた人とは別人な気がしてきた。
今にも温泉に飛び込みそうだ。
「シュウ、体洗えよ。ハルそこに座って」
それを見越したようにイチさんが声をかける。
そして、そのまま僕に視線をくれた。
ずらっと多分このナンヤ寮の全員が一気に入れるように作られたシャワー等の前に座るように促される。
静かに座ろうとして……
「うっひょう!このまま全裸で外に飛び出して一夜過ごしたらどうなるかな!?」
外を見て目を輝かせるトム。と、それに蹴りを入れるエース。
「やれば良いだろ!このマゾ!!」
「いいの!?」
だめ!!風邪引くよ!?絶対!!
できなかった。
見事鍛えられた体つきのイチさんとエースに思わず、見とれながら今度こそイスに座る。
さっと僕の背後に回るイチさん。じっと僕の体を見つめ、
「……ハル、お前ちゃんとご飯食ってるか?」
「食べてます!!!」
「今日の夕飯見て思ったんだが……お前極度の少食だな」
少し困ったように頭に手を置きながら、イチさんが言う。
そんなこと言われてもどうしようもない。
「ハル、ほっそ!しっろ!」
フシさんも隣から覗き込むようにしていってくる。
でも、僕は一言貴方に告げたいです。
十分貴方も細いし、白いと思います、はい。
そのことを告げると……
「どっかの極悪学校が出す勉強という名の暴力がフッシーを放してくれないんだ!だから!外にもいけない!」
何か目が逝っちゃいました。ごめん。でも学校は勉強するところだと僕は思うよ、うん。
「ほら、ハル。目、閉じて」
イチさんの柔らかい声が聞こえて目を閉じ……る暇も無く水をぶっかけられた。
「きゃー!」
涙目で慌てて振り返ると、無表情で桶を担いだエースがこちらを見下ろしていた。
「すまん、間違えた」
「わざとでしょ!!」
水に濡れた前髪が目にかかる。
遠めからシュウが少し心配そうに見つめている。
「ほら、季節考えろ。ハル、少し熱いかも」
そっとイチさんがお湯をかけてくれた。
エースは今だ、僕の反応を笑っている。
「女子かよ」
「僕にもして欲しかったぁ」
……気にしたら負けだな
お風呂、まだまだ続きます。




