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悪役放棄、更に自由人へ(仮)  作者: 平泉彼方
第二章 自由気ままな冒険譚⑴
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18 核心()に迫る

 読者の皆様、予想以上に投稿が遅くなってしまい申し訳ないです、大変お待たせ致しました。


 前回暗殺執事がお説教する直前でした。今回は視点が迷宮管理者へ変わりますがその続きです、それでは本編をどぞ!





 ジルヴァがぶち抜いてウォルターが通った迷宮の穴へ、またもや怒れる来訪者達が来た様だ……このお嬢さん一体どれ程の部下もとい従魔を従えているんだか。


 もしや俺、本気でとんでもない相手と喧嘩していた?


 内心ガクブル状態になりながら、少しでも覚悟を決めておくかと達観する。というのも目の前で件の令嬢が彼氏さんらしき青年?少年?と一緒に老獪な執事と思しき人物から折檻されていた。あの少女をやり込めるとかこの執事、人外?


 しかし主人をボロ雑巾と化しているのだが、いいのだろうか……少なくとも世界観的に“召使い”と分類される職が仕える相手に手出しするのは御法度なのでは?身分制度は革命等起こるまで基本的に厳しかった。特に東洋より西洋、王侯貴族の治める国では差別が激しかったと記憶している。


 そんな場所をモデルにしている筈なのにどうなんだろう…それとも西洋の身分制度へ認識の甘い日本人が作ったゲームが元だからその辺り設定が甘いとかそう言うオチか?


 でもそうなると居るのかなぁ、戦うメイドさんとか撲殺幼女メイドとか…是非お目にかかりたい。次いでに罵られたい」



「前者は我が主の実家に存在しますが後者は流石に聞いた事が御座いませんね…労働基準法に触れてしまいますし。」


「え?まさかと思うけど…声に出てた?」



 ニュッと目前へ急に出現した執事に驚く。同時に初対面の相手に自分の性癖と言うか趣味と言うかを晒してしまった事に焦る……ああそれで無くとも故意じゃなくとも主人襲っちゃったから印象最悪だろうに。まさか今ので俺詰んだ?命の危機再び?


 だが安心する様な温和な笑みを執事は浮かべた。



「ええ…ですがお嬢様とクソ馬鹿弟子の耳には入っておりませんので御心配なく。」



 ズタボロで倒れている令嬢の姿に少しだけほっとする……少なくともお嬢ちゃんにはバレてないなら元日本人のよしみで何とか…そう言えば現在出奔中でも公爵令嬢だった。俺と国なら国だよな…しかも変態とか生かしておいたら碌な事になんないって切られても文句言えない……武人ぽいから下手すると斬られるかもな。


 駄目だ、詰む姿しか想像出来ない。


 この執事だってそうだ。大丈夫だよとか言われても全然安心出来ないし、この人が聞いちゃっていたら意味無い。どうせ後で報告→アボンコースへまっしぐらだ。


 利用価値示せば責めての命乞いは可能か?


 そうなると詰む。本当にどうしよ…俺PCのデータか迷宮弄る以外は殆ど戦闘能力皆無なんですけど。情報戦とかも相手PC使っている訳でもないし迷宮拡大もリソース不足で現実的ではない。


 逃げる方向は既に諦めている。そも、運動しない無い貧弱な現代人が敏腕らしい暗殺者?に敵う筈が無い。最早逃走以前の問題。普通に素振り見せるだけで多分殺される。


 なるべくなら敵に回したくは無かったのに…殺気とか飛ばされたら一瞬で意識刈り取られる自信しか無い。どうしよ、本当。

 

ダラダラ脂汗が背中に流れる。


 緊張していると、嫉妬する気も沸かない程渋くて良い声で真っ黒な執事が告げた。



「ただ…


 今一度お嬢様との関係を教えて頂きたいのですが?」



 遠目だと温和な初老の男性なのだが、その奇麗な笑顔だったり声の抑揚だったりが不穏。特にこう、近くに詰寄られるとそれを実感する。その上で明らかに脅されてますよね、俺?え、これって答え如何では殺されちゃう感じか?!


 いやいやいや、まだ死にたく無いんですけど。


 引き蘢り生活脱却でいざ世界を見に行かんとしていたのに。これから俺の物語が始まるってのに。何でこんなドS執事に捕まるかな…主ボロ雑巾にする様なドS様に……



「ああいえ、勿論ルーナお嬢様の意にそぐわない殺しなんて始めからはしませんよ?ただ、お嬢様を不利にする様な方でしたら事故に遭って頂くまでの事です。」


「…それ返答次第では殺すってこ「あくまで事故ですよ事故」…あ、ハイ。」



 畳み掛ける暗黒執事……お嬢ちゃん、こんな強引で物騒な執事良く部下に出来るね。戦闘狂っぽいし、人でなしっぽい感じだし。下手に反乱されたら怖いし絶対下に欲しく無いタイプだね。


 少なくとも凡人代表のおじちゃんには多分無理だわ。



「それで、ルーナ様とのご関係は?」


「話しが長くなるが、誤解されては厄介だし一から説明するよ…」



 命が掛かっているので説明はなるべく丁寧に忠実に。報連相、相互理解兎に角大事。上司の無茶振りでプレゼンの練習をさせられたけど、こんな場所(死後)で活きるとは…人生分からないものだ。


 だからこそ人生は面白い。この状況は全然面白く無いけど。


 小一時間程掛けて周囲に聞こえない様に(相手が)しつつ説明をする。どう言った経緯で迷宮を乗っ取られたか。それをお宅のお嬢さんが侵入して結局攻略した事。迷宮管理者へ齎されたシステム上の罰則と権限剥奪の件。


 納得はされなかった様だが、頭は抱えていた。



「説教…足りませんかね。」


「いやいやいや、さっき以上やったら流石にやり過ぎですよ。俺だって彼女に救ってもらったみたいなものですし、ここはちょっと許してやって下さいよ。元凶は俺の元同僚ですしね。」



 まあ、俺も油断していたせいでは有るんだけどね。



「だけどお嬢さん、確かに無茶ばっかりしているみたいだね。」


「本当です!私が幾ら心配してこれ程付いて回ってもいつもいつも自ら危険に飛び込んで…今回だって(ブツブツクサクサ)」



 余計な一言で執事さんの愚痴を3時間くらいぶっ通しで聞く事になったのだが、確かにこれは酷いと言える内容であった。幼少期から自分で修行と称して魔物の徘徊する森へ特攻→顔含めた全身傷だらけで帰還。ならば学習させるためにももっと厳しい環境へぶっ込めば、攻略して帰って来る……腹いせに獲物は没収したとか(閑話参照)


 自分へ常に厳しく他人にも有る程度は要求する、但し自分への要求と比べて温いから危険を伴う仕事は自分か自分の分身体で全て済ますとか。特に命懸けである世界の敵(ウィルス)への対応を自分だけで行おうとする傾向が有るとか。


 更には肝心の分身体の技も実は欠陥(エラー)落とし穴(バグ)だらけ…魔力のゴリ押しで作った分身体は特に主導権を乗っ取られたら1発でアウトだ。そうならない様対策はしている様子だが、そのせいで自信の身体へ分身体から還元されるデータが増えたとか。


 現実へ近付かせる程主導権は護られるが致命傷まで還元される。


 執事の話しから自前の情報関係への知識からそこまで察せられたが、現代知識(チート)の無いコイツらにはどれ程その事が重大かきっと理解出来ていない。こうして俺へそんな機密を世間話レベルでバラしている時点でそれ程深刻に考えていないみたいだ。


 同時に果たして術式使用者であるお嬢ちゃん自信が理解出来ているかどうか……正直不安しか無い。



 現状で多分1番理解を得られるのは彼女の彼氏さんか……後で詳細を説明してやるか。


 奴なら情報関連の知識を持っている。特に『プルートゥー』は聞いた事が有る。都市伝説レベルかつ日本と殆ど接点無かったが、そういう名前の暗殺者が何世紀に渡っても存在し続けた話しは聞いた事があった。まさかここで本人と対面する事になるとは知らなかったが。


 そんで、まさかその名前で早速暗殺ギルドに登録済みだとは知らなかったが…こっちでもやっていたんだな暗殺業。聞いた所婚約者(嬢ちゃん)共々出奔中との事なので、少なくとも公爵位より上か少し下程度の地位に居る筈。


 そんな坊ちゃんが暗殺稼業……世の中本当に不可解な事が多い。


 一度も失敗した事が無いそうなのにで腕は確かなのだろう……なのに何故かお嬢ちゃんと共に執事に折檻されていたが。あれはなんだったのだろう。


 兎も角、現状嬢ちゃんを理解の上護れそうなのは奴一択。他は知らんが愛情が狂気になっている所謂『ヤンデレ』なら最後まで護るか、或いは自分の手で殺すだろう…細川ガラシャの例が有るから何とも言えないが、最後まで執着される事は確実か。



 それにしても今気付いたが、何でこうお嬢ちゃん護る方法をアレコレ考えているんだ俺は?いや、主従関係結ぶなら当然だろうけどこう、何と言うかほぼ初対面の相手を自分の命とも言える商売道具の情報危険な相手へ切り売りしてまで護ろうと考えるか普通?一応どれ程無茶な令嬢か話しは聞いたがそれだってそうだ。


 身の危険を感じたら普通は引っ込むだろう、特に弱い奴は。


 これは一体どう言う事だろうか…思考がそちらへ、逃げる方向へと向かない様執事が巧みに誘導したか。或いはいつの間にか主従契約の印が嬢ちゃんへ現れたせいだろうか。


 薄いつながりだが魔力によるパスが出来た感覚が有る。


 だが洗脳とかそういった効果は殆ど感じられない。寧ろ感じるのは懐かしい様な不思議な感覚……何か遠い記憶を思い出す様な、それが馴染んで来る様な。彼女とは初対面である筈なのに、まるでどこかで遭った事がある様な。


 従魔契約なら魔獣が主を傷付けず主も魔獣を傷付けない様互いに最初に感じた好感を保ち続ける効果が有る事は知識として知っている。迷宮管理者の権限にも似た様な効果が有る項目があり、1つだけ異なる点があったりする。


 迷宮で出没する魔物は、迷宮管理者と魔物との契約が元…いや、被支配下となるシステムが根本にあるという表現が適切か。従魔契約と違う点はその一点。ただ、主人を攻撃しないと言う最低限は護られている。その辺りが従魔契約と同じ所か。


 それ以外に気になる点が幾つかあるが…例えば自分以外の自分の記憶らしき感情が覚醒する点等。洗脳ではなく、これでは自分以外の自分がパスを通じて嬢ちゃんから流れて来るイメージが正確か。不快ではなく何か繋がりが出来て心地よさまで感じる。だが、余計にその事が怖い。


 まさかと思うが彼女の従魔は全てこういう状態なのか?



 それを確かめる機会が直ぐそこまで迫って来ていた。




次回予告(本気)


 迷宮管理者の元から別の記憶を持っているからこそ気付ける事。そして迫る従魔達……彼らは彼らの持つそれぞれの真実が明かされる。だが果たして彼らにとってそれは幸せな結果となるか。また、執事説教モードの口撃で心身共に灰となったルーナとその彼氏(暫定)は迷宮を無事な姿で脱出出来るのか。


 そしてもう1つ本国より迫って来る黒い影、それは一体…


(※次回のみで予告通り進まない可能性があります。)




宣伝


『もし〇〇が仲間になったら(仮)』(http://ncode.syosetu.com/n5591du/)始めました!


 内容は日本人がテンプレよろしく転生して従魔術極めるといった感じです。最強系主人公ではないので此方の様に無双は(今の所)しませんがそこそこ戦闘出来ます。普段は不憫系()、キレると飛び交うメテオ。親父(外道)(〇〇)と師匠(鬼畜)(〇〇)と修行したり、修行したり…時々飯テロ起こしたりします。


 基本はほのぼの?コメディー。シリアスな世界観→シリアルな世界へ今後突っ走って行く予定です。


 男主人公視点で長編書くのが初めてですので不慣れな点が多いですがそれでもOKな懐の広い読者様、宜しければ御覧頂けたら幸いです。

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