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深淵の符呪師 ヨグソトースの息子  作者: ケロン藤野


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第1話 良くある話‥‥‥俺,転生しました。

もう仕分けございません。

105話を訂正,削除したところ。

電車内でストーリー自体間違って削除してしまいました。

バックアップはありますので,再度投稿し直させていただきます。


東京都八王子市。


八木二郎、三十歳。


独身。


恋人なし。


都内の会社へ通う、ごく普通の会社員だった。


毎朝六時に起き、満員電車へ押し込まれる。


朝から晩まで働き、終電近くで八王子へ帰る。


帰宅すればコンビニ弁当を食べ、風呂へ入り、眠るだけ。


そんな毎日を繰り返していた。


「……疲れた。」


その一言が口癖になっていた。


休日も寝て終わる。


友人と遊ぶこともなく、趣味もない。


会社とアパートを往復するだけの人生。


それでも、生きていくためには働くしかなかった。


その日も残業だった。


時計を見ると午後十時を回っている。


「はぁ……。」


重い足取りでアパートの階段を上る。


鍵を取り出そうとした、その瞬間だった。


ぐらり。


視界が揺れる。


「あっ……。」


疲労で足がもつれた。


階段を踏み外し、そのまま転げ落ちる。


頭を強く打つ衝撃。


遠ざかる意識。


(……終わった。)


それが、前世最後の記憶だった。


◇ ◇ ◇


鳥のさえずりが聞こえる。


鼻をくすぐる木の香り。


どこか懐かしい畳の匂い。


「……ん。」


ゆっくりと目を開ける。


見えたのは木目の美しい天井だった。


「病院じゃない……?」


障子越しに柔らかな光が差し込み、部屋全体を昼間のように照らしている。


純和風の日本家屋。


旅館の一室のような部屋だった。


「助かったのか……?」


体を起こそうとして違和感を覚える。


体が妙に軽い。


腕が短い。


「なんだ?」


両手を見る。


そこには黒い毛が生えた腕があった。


「……え?」


思わず手を裏返す。


掌には蹄ではなく、人間のような指が五本ある。


ただし皮膚は厚く、毛に覆われていた。


「なんだこれ。」


足を見る。


こちらも黒い毛が生えている。


蹄ではなく、人間に近い形をしているが、明らかに普通ではない。


さらに腰には――


「……オムツ?」


真っ白なオムツ一枚。


しかも全裸だった。


「なんだよこれ!」


慌てて布団から飛び起きる。


身長が低い。


いや、低すぎる。


子どもの目線だ。


「え……?」


部屋の隅には姿見が置かれていた。


恐る恐る近付く。


そこへ映っていたのは――


身長百二十センチほど。


全身を黒い毛で覆われた、小柄な山羊獣人の子ども。


頭には小さな角。


丸い瞳。


ふさふさした尻尾。


そして、オムツ一枚という情けない姿。


数秒間、思考が止まる。


「…………。」


「なんじゃこりゃあぁぁぁーーっ!!」


屋敷中へ、二郎の絶叫が響き渡った。


こうして八木二郎は、降魔戦争を経験した並行世界の日本で――


外なる神ヨグ=ソトースの落とし子として、新たな人生を歩み始めることになる。

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