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ひとりきり

 私はずっと、ひとりきりだった。

 他人(だれか)に心を許したこともない。

 常に一線を引いて、距離感を保っている。

 それでも、言葉や視線は無遠慮に踏み込んでくる。

 眠れぬ夜中にぼんやりしていると、思い出すのは、人の悪意ばかり。

 癒えぬまま放ったらかしにしていた傷は、やがて化膿し汚い膿を吐き出す。体中を巡り汚染しつくした後には、行き場なく胸の(うち)に沈んで、私という人間を形造っていった。


 私は、普通になりたかった。

 それが無理ならいっそのこと、怖れられることが存在意義の本物の怪異に。

 マスクを剥ぎ取り、醜い顔を晒して。

 彼女はどんな気持ちなのだろう。


 ――私には、分かる。

 待っているのだ。

 怯えた顔に傷つき、逃げて行く背中に落胆しながらも、いつか受け入れてくれる何処かの誰かを。

 冷えきってゆく心を、涙で濡らしながら。

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