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三月羅針譚~盾持ちと吸血鬼~  作者: FOXtale
悠久忘れぬ■■の景色
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『シゲン』のダンジョンNo.27『ケーラ』

どうも、作者です。八十話です。

ようやっとダンジョン攻略開始です。

「行ってらっしゃい、お姉ちゃん! 皆!」


「行ってきます」


早朝、街の南門。俺たちは、装備と荷物の最終チェックを終え、アイカとギルマスに見送られながら出発する。目指すは、百年ダンジョン『ケーラ』。


「あとどれくらいで着くんじゃ?」


「邪魔が入らなければ、あと三十分ほどです」


今歩き始めて三十分程度、つまり今で半分くらいだ。順調に行けば、すぐにつくだろう。まぁ、順調に行けばだが。


「てめーら! 敵だ! コレー六、エスセンティクト九……ギガンソ二!」


やっぱり、順調に行かないな。イノシシに、カブトムシ、クマ、か……どいつもこいつも過去に戦った奴らばかりだが……


「皆さん通常陣形、ギガンソの処理はハイカに任せます! 後衛は、泉さんの後ろまで、詰めてください! 雑兵は、エフィに任せます、クランはハイカのフォロー!」


ヒビキさんの指示と共に俺たちは武器を構える。すっかり慣れた”新装備”を。


ハイカさんは指令と同時に飛び出し、つがいらしいクマ二匹相手に飛び込み、俺たちから遠ざける。


俺はヒビキさんの合図を元に、詠唱に入る。


『獣どもよ、この音を聞け、衝撃の咆哮を』

魔獣挑発(ビーストコール)


魔法と同時に、熊以外の魔獣たちはいっせいにこちらを向く。あとは、エフィの魔法を発動するだけでいい。


俺は、ヒビキさんが指し示した方向へと向かう。敵は俺の動きにつられヒビキさんの予測通りの位置に誘導されていく。


そして、俺を追ってきた相手は、炎の波にのまれ、一切が消滅する。相変わらずすさまじい威力だが、前より精度が良くなっているな。


さて……あっちは、まぁ問題ないな。ハイカさんは、こちらが殲滅している間に二匹をほぼ同時に相手取り、一匹の熊の頭を切り落とし、それに気を取られた魔獣は、後ろから現れたクランによって頭をつぶされる。


「アメイ、追加は?」


「なし、進めるぜ」


アメイの言葉と共に臨戦態勢を崩す。


「皆さん、お疲れ様です……ギガンソはもったいないですが、燃やしてしまいましょうか」


もったいないことこの上ないが、ギガンソの素材は、鮮度が命なので今回は持って帰りようがない。


「にしても、こんなところにギガンソが二匹か……やっぱり魔獣の生息域、変わってるな」


「そうですね……ここ数か月ずっと続いているので、調査はしていますが特に大きな原因がなさそうです。長引いているだけでいつものパターンでしょうか」


アメイとハイカさんがそんな会話をしている。ハイカさん、A級の魔獣二匹を相手取ったのに、一切息が乱れていないのは流石である。


それにしても、未だに続いているのか。俺たちがこの街に来たくらいからずっと、生息域が乱れているらしいが、俺たちからすれば、それが当たり前になっているのでよくわからない。


だが、こういういつもと違う生息域に魔獣が現れるというイベントはよくあるそうなので、二人はあまり重大視していない。


「さて、焼却し終えたので、そろそろ行きましょうか」


「うむ、さっさと行くぞい!」


とりあえず、小休止は済ませて、再び移動を始める。ただ、今の感じなら幸先はよさそうである。



――そこから、二度ほど魔獣に遭遇したが、特に苦戦することなく討伐し終え、ついにそこにたどり着く。見た目は、普通の洞穴である。


「さて、皆さん、体調の方は大丈夫そうですね?」


ヒビキさんの確認に、俺たちはそれぞれうなずく。三度の魔獣戦程度ではそこまで体力は削られていない。


「じゃ、ダンジョン入る前に団長から一言」


「え」


アメイから急にそんな無茶ぶりをされる。しかし、他の皆はそれは当然あるといった感じでこちらを向いてくる。これ言わなきゃいけない感じか……。


(さっさと言うが良い!)


こいつ、他人事だからって……。はぁ、何も準備してなかったんだが。


「正直、しゃれたことは言えないぞ……ふぅ、百年ダンジョン。正直不安がないといえば、俺としては嘘になる。だけど、俺たち六人なら攻略できると思う。だから全員で帰ろう」


「が、頑張ります!」


エフィは気合を入れてくれる。


「ま、しっかりやりますよ」


アメイは、面白がりながらも、そんな言葉を言ってくれる。


「ええ、私たちの最初の冒険、良いものにしましょう」


ハイカさんは、賛同してくれる。


「ええ、行きましょうか。最高の一ページを刻みましょう」


ヒビキさんは、そんな言葉で励ましてくれる。


「ふっ、及第点じゃな……じゃが、お前の言う通りじゃ。わしが無事に帰してやる!」


相変わらずの上からの目線だが、クランの言葉は頼もしい。


「行くぞ」


そう言って、アメイから順番にダンジョンに突入した。俺たちは、アメイを追うように階段を下りていく。最初から魔獣が出ないとも限らない。警戒して、階段を下った先にあったのは、左右に湾曲して分かれた細い道だった。


「これが、『ケーラ』の第一層か」


「さーて、しばらく大変だぞ」


そんな言葉を口にしたのアメイだった。『ケーラ』のダンジョンに関しては分かる限りのことを調べた。このダンジョンの特徴としては、円形のダンジョンであること。


そして、具体的な階層こそ分からなかったものの、この第一層に関しては、それなりの情報があった。第一層の特徴は、”迷路”であることだった。


「マッピング、任せていいんだよな?」


「はい、ですが一応、アメイさんのほうでも定期的に確認してもらえれば」


「了解」


探索に関しては、基本はアメイとヒビキさんの二人に任せることになる。俺たちが分かっていることは二つ、この入り口が最も外縁に位置していること、そして二階層への入り口が、真ん中にあることの二つである。


つまり、この外縁から、中心地までの広大な迷路を俺たちは今から攻略することになる。その上、この第一層は魔獣の出現数も少ないので、本当に迷路攻略がメインだ。


(うーん、しばらくは退屈しそうじゃのう)


確かに、魔獣が少ないうえ、ただひたすらでかい迷路だから俺たちの出番は少ない。しかし、それでも何時魔獣と遭遇するかわからない以上、俺たちも気を抜くわけにはいかない。


「クランさん、油断はしないでくださいね。これもまた」


「”ダンジョンの試練”じゃな。わかっておるわ」


ハイカさんは、クランの様子を見てそう言うが、別にクランも気を抜いているわけではない。いつもの感じである。


そして、これもまたダンジョンの試練、か。魔獣との戦闘による”力”の試練ではない。


「これは閉鎖的な迷路を攻略するという”精神”と”知”の試練、決して油断できるものではないです。油断せず進みましょう」


そうヒビキさんが締めくくってくれる。さて、百年ダンジョン第一層、どんな試練が待っているのだろうか。

読んでいただき、ありがとうございます。誤字脱字報告・コメントお気軽にどうぞ。

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