1-8 リハーサル
--次の日の放課後
「今日は マチルダと戦います」
そう宣言され、修練所に向かった。
メイドももしものときのため、
修練所など寮以外の施設に入ることが認められているのだ。
エナ姫の話によるとマチルダさんも
強力なアビリティを持っているため、
実戦形式でハントの練習をしつつ、
マチルダさんのアビリティも頂くことが
狙いらしい。
マチルダさんにも僕のアビリティは伝えており、
協力してくれるらしい。
修練所につくと
「さあ、やりましょう!」
なぜかノリノリだった。
早速はじめる
実戦のリハーサルのようなものなので、
本番を想定して動く
まずは『リンク』をかける。
エナちゃんが『分析』をかけ、
頭に膨大な情報が流れ込んでくる…
なんだこのアビリティはと思いつつ
実戦練習なので
マチルダさんは手に持った短剣で襲いかかってくる
エナ姫は魔道具の杖でさばきつつ、
魔法で攻撃するも当たらない。
今度は僕に切りかかってきた。
グスタフを片手剣にし、なんとか防ぐ
縦横無尽だ。
はやすぎてハントの隙もない……
情報量が膨大過ぎて、追い付けないのだ。
すると、マチルダさんは消えた。
アビリティ『ステルス』の効果だろう
なんとか剣はさばいているのだが、
これでは難しい。
エナ姫が放つ魔法がところどころで、
見えない何かと衝突している。
これにより、おおよその場所は分かるのだ。
そして何とか時間を稼げたので、
勝負に出ることにした。
リンク状態で
エナ姫に作戦を伝える
そしてエナ姫は作戦通り、すぐに上級魔法
【エターナルファイヤー】を唱えた。
これによって無数の火の玉が襲いかかる
マチルダさんがさばき終わったとき、背後から
ステルスで近づいた僕が捕らえると、
エナちゃんがすかさず氷魔法
【ブリザード】でマチルダさんの足を凍らせた
「くっ、負けました
さすがはお嬢様とお嬢様が選んだお方です
上級魔法を囮に使うとは…」
上級魔法は扱いが難しく、
学園でも扱えるのは数名だ。
当然エナ姫からしても必殺級の大技であり、
決めに来たと思うのも自然であろう。
そこをついたのだ。
ちなみに彼女は他の属性の上級魔法も使えるが、
火属性にしたのは派手だからである
その程度の理由だ。
こうして『ステルス』も手にいれ
さらにマチルダさん本人にも扱い方を教えてもらった。
--サーマント祭前日
僕たちは講堂に集められ、
メンバーが発表される。
今日はこれがあるため、
あまり修行に時間を割けない。
さらに明日に備え、力を温存しておきたかったので
今日は修行をしない。
なので修行のための猶予は実質昨日で終わりなのだ。
サーマント祭では
学園中から猛者があつまるため、警戒が必要だ。
この学園には、エナちゃんを含めた
トップクラスの実力を持つ
“7部星“と呼ばれる生徒が7人いる
そのうち三人は魔法メインで戦うスタイルをしている。
炎系魔法を得意とする
“ファイヤーメイジ“フレア
雷系魔法を得意とする
“雷公“ビリー
二人とも得意属性であれば上級クラス
の魔法がいくつか使える。
そして、最後の一人がエナ姫である。
“マジカルクイーン“と呼ばれており、
あらゆる属性の上級魔法が使える。
これは異常なことである。
魔法にも得意不得意があるものなので、
全てそれなりに使える
そんなことは、プロの冒険者でも稀なのだ。
だが、エナちゃんにも弱点がある。
実戦経験が不足しており、
さらに彼女は優しい性格であるため、
非情に敵を追い込むことが苦手で
一瞬躊躇して判断が遅れてしまうこと
があるのだ。
見方によってはエナ姫が“7部星“で
一番強いと言っても過言ではないが、
アビリティと結果が全てのこの学園では
まだ飛び抜けて評価されているわけではない。
そして後の三人はアビリティメインの
“超速“と呼ばれるサミー
"創造主"イワノフ
"大楯"ビーフ
そして、最後の一人は魔法も
上級クラスを扱うことができ、
アビリティも優れた能力を持つ、
"皇帝"と言われているリーブ=エスガルドだ。
噂ではいつでも申請すれば卒業できるのだが、
エナちゃんをものにするために粘っているらしい
色んな意味で一番の敵だ
組み合わせは既に発表されている。
“皇帝“エスガルドは
“ファイヤーメイジ“フレアと組んでおり、
“大楯“ビーフは“超速“サミーと組んでいる。
“創造主“イワノフと“雷公“ビリーは
それぞれアビリティが分からない
“7部星“以外と組んでいた。
トップの七人は能力も既に知れわたっているが、
他は分からないので、出たとこ勝負だ
僕のようにやる気がなく
能力を隠している人はいないだろうから
注意すべきはこの辺りだろう。
“7部星“と組んでいる無名の二人にも
注意が必要だ
彼らは当然優勝を狙っているため、
他と組むということは、
単体では“7部星“ほどではないにしろ
相当相性がいいのだろう。
そして発表が終わり、
エナ姫との最終打ち合わせがあるため、
寮に向かおうとしていると、
三馬鹿がやって来た
「なんでお前みたいなのが
“マジカルクイーン“と組んでんだよ!」
「今まで誰とも組んでなかったのにおかしいだろ!」
「そうだそうだ!」
名前も知らないし聞いていなかったが
この内二人で出るということだろうか
めんどくさいので無視していくことにした。
エナ姫と組むことが知られた今、
どうせ明日本気を出さなきゃいけないし
わざわざやられてやる必要もないのだ。
「待てよ!」
「そうだそうだ」
……止められた
面倒だ
『火球』
「わっ!なんだよこれ!あちー!」
「な!?どいううことだ!?」
「!?そうだ!そうだ!」
--
エナ姫の寮で最後の作戦会議をする。
何人か注目選手がいるので、
戦略とそこの対策を中心にした。
まず、バトルロイヤルの一番簡単な
戦術としては、無駄に戦わないことだ。
極端な話、全員を戦わせて
最後の一組を倒せばそれで勝ちなのだ
卑怯なようだが魔力も使わなくて済むため、
効率がいいし、戦術としては理にかなっている。
ただ敵もそれは許してくれないし、
僕の『ハント』は戦えば戦うほど
強くなるのだ
そこのジレンマはある。
なので、なるべく戦わずして
強いアビリティをハント
することが優勝への近道だ。
そういった意味でも強いペアに目星を
つけておくことは大事なのである。




