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沈黙の妖精

 僕は昔から場を沈黙させる事が多い。

 

 皆が楽しそうに話している輪に僕が入るだけで沈黙が起こる。

 反対に僕がトイレに立つと、遠くからみんなの笑い声が聞こえる。

 いつしかそれが怖くなって人付き合いを恐れるようになってしまった。


 今はまさに沈黙の最前線、圧迫面接の途中だ。

 僕はこの耐え切れぬ沈黙を打破する為に助けを求めた。


「おーい、妖精!いるんだろ!」

「何よ」

「沈黙の妖精!助けてよ!」

「どうでもいいわ」

「やる気なさすぎ!」

「っていうか何であんた私が見えるのよ」

「さぁ?僕が場を沈黙させるのが上手いからかな…」

「なるほどね。沈黙の技術を頂点まで極めたが故に、私が見えるようになったのね」

「極めたつもりはないけど、勝手に極めちゃってたみたい」

「私と話せてる事がもう沈黙のエキスパートだって事だからね」

「そうなの?」

「当たり前じゃない。沈黙の妖精なめんな」

「で、今まさに沈黙中なんだけど、助けてよ」

「助けろって言われても、私沈黙させる事しかできないんだけど」

「ダメだよそんなのじゃ!早く!早く助けてよ!もうこの空気耐えられない!」

「耐えなさい!頑張るのよ!ファイト!私がついてるわ!ファイトよ!」


 脳内で妖精と話してるからリアルで沈黙するのだと気づいたのは、もうちょっと後の話。

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