少女と夕日
毎日毎日、休まず夕日をデッサンし、着色していると、いろんなことに気付くよ。
今日の夕日は赤いな、とか、もはやそういうレベルでは無くなってくるんだ。
今日の夕日はキムチ色だな、とかコチュジャン色だな、とか、自分の食べたいものや、精神状態までもが反映された夕日になる。
クリスマスの夕日なんてのも良かったよ。ちょうどその時クリスマス爆破計画を立てていたからか、夕日がまるで世界を燃やしているかのように見えたものさ。
初日の出を有難がるのと同じで、そこに普遍的な意味なんてない、いつもと変わらない太陽があるだけ。それでも人の心がそれを彩るんだね。
もうすぐバレンタイン。そう思うと今日の夕日がチョコレートに見えて来ない?夕日にちょっと黒ずんだ雲がブレンドされるだけでいい、今にそうなるよ。
今の人は絵をデジタルなものだと思っているけど、本当はとってもアナログが似合うものなんだ。
人の心は空を描かせて見れば分かる。悲しみの中にいる子供は雨の絵を描いたりするものだよ。
「それでおじさん、クリスマス爆破計画は成功したの?」
僕が話しかけていた少女が問いかけてきた。
「いいや、失敗して捕まったよ。刑務所でずっと空を描いていたらそれが生きがいになったんだ。人生って空みたいに何色にも変わるんだねぇ」
「ふぅん。おじさんバカだけど落ちついているね」
「ありがとう」
少女は夕日に向かって走り去っていった。
夕日の絵のコレクションに珍しい一枚が加わった。




