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笑顔のご高説

「目が笑ってない人はダメ。笑顔を作ろうとしてる証拠だから」


 熱弁を振るっているのは僕のガールフレンドの摩耶。ぼくはいつものように返事をする。


「ふぅん」

「怒った顔から急に笑顔を作る人もダメ。楽しい話をしてる時は笑顔の雰囲気というものがあるんだから、そんな笑顔じゃごまかせない」

「そうなのか」


 接客業をしているだけあって、笑顔についてはうるさいようだ。


「接客してて気づいたけど、笑顔なんて練習で身に付けるものじゃないよ。気づいたらなってるし、今自分がどんな顔してるかなんて気にしてたら真剣に接客できない。それなのに笑顔の講習まであって、おかしいよ」

「それは言える」

「大体笑顔なんて元から人間に備わってるんだから、わざわざ語る所があやし………!!」


 他人への説教は得てしてブーメランになりやすいものだけど、摩耶はちゃんと気づいたな。

 

「……もしかして、ダメダメ言う私の顔ってダメかな…」


 僕の好きな摩耶の謙虚な面がチラと見えた。


「そんな事ないよ。人は笑顔だけで生きてるんじゃないんだから」

「そっか。そうだね」


 僕の言葉で摩耶は笑顔になった。

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