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ローラス王国年代記
曲がりくねった地峡で北と南がかろうじて結ばれた大地――ワンド大陸。縦に長く伸びたその広大な土地をかつて支配していたのは魔人族だった。
魔人族とは魔法を操る邪悪な種族だ。彼らは禁忌の力でおぞましい魔物を次々と生み落として使役した。対して人間は魔法を使うことができないため、その力の差はあからさまな迫害となり、やがては隷属へとつながった。人類にとっての暗黒時代は果てしなく長く続いたのである。
その苦難の日々を終わらせたのは、ひとりの男だった。
のちに救世の勇者と呼ばれることになるその男は、虐げられた人々を鼓舞して反乱軍を結成し、魔人族の王――魔王に戦いを挑んだ。長く激しい戦争になったが、聖女の助力もあり、やがて反乱軍は魔王を討ち倒す。王を失った魔人族は滅び、彼らが生み出した魔物たちは野にまぎれて在り方を変えていった。
こうして世界に平和と繁栄の時代が訪れたのである。
魔王の死から千年が過ぎ、聖王ジークハルトが治める現在もそれは続いている。
(ローラス王国年代記より)




