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仮題『成』/『忘れたとしても』/『プロミネンス』
あなたは凡人で終わるよ。
それの何が悪いの?
仮題『成』
心の中に転がる石ころを
磨いて 磨いて 専一に
報われないのだと 受け入れたとしても
その煌めきを 信じ続けて
顔を照り返す 鮮やかな輝きが
寝ぼけ眼で顔を覗かせるまで
繰り返した施行の果てにのみ
ほんとうのあなたが 待っている
仮題『忘れたとしても』
青を青と言わぬ君を 赤を赤と言わぬ君を
頭蓋骨の中に閉じ込めて 鍵をかける
私の頭に消しゴムがかかってしまっても
残る一文字が ありますようにと
面影は 暗幕に溶けてしまった
暖かな手は 冷たい水に攫われてしまった
色のなくなった その目玉すらも
本当は手放したく なかったのだから
仮題『プロミネンス』
骨を焦がす 六千度の熱は
かつて ぼくを暖かく照らしていたものが
餌を食む鳥の 嘴に飽いて
今は 肉の焼ける匂いが漂っている
諦めが癒やしてくれるとは知っていて
慰めが遠のいていったとは知っていて
それでも 見上げることをやめられない
イカロスの翼は 溶け落ちてしまった
対岸で笑う前に、やることがあるんだ。
ぱたぱた、ぱたぱた。




