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仮題『そして、息をする』/『あの日の嘘』/『月蝕』
これでいい?
満足した?
仮題『そして、息をする』
うだうだ言うのはやめなよ
どうせ 死ねやしないんだから
傷も 吝嗇も 全部背負って
それでも心拍は止まらないんだから
構ってほしいならそう言いなよ
たとえ きみが死にたいと思っても
きみの細胞は 酸素を欲していて
だからきみは 肺を膨らめるんだ
仮題『あの日の嘘』
『きみはピアニストになれるよ』
『大変なのは今だけだから』
『彼女はまだ生きているんだ』
『きっといつか 報われるよ』
私の両腕は どこにもなかった
首に輪がかかる その日まで
同じ場所を 目指して落ちる
報われぬまま 鼓動のまま
仮題『月蝕』
お空に浮かんだ まんまるに
残した歯型 欠けて ほろほろ
無記名式の視力検査と
くらい くらい 昼の路地裏
こんばんは 早く土に還りなさい
泣いた童で腹を肥やそうと
今晩は兎が降りてくるから
喰われぬように 還りなさい
「――。(今のあなたでは理解できない)」
食べ放題だよ、遠慮しないで。




