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仮題『恋文』/『言葉』
手間だからさ、メールじゃだめ?
仮題『恋文』
言葉だけでは 足りなかった
心の中の いちばん醜い感情を
一生分の 六十億語でも
書き記すことなどできなかった
だから ぼくの手で 足で
捥ぎとった 気管と脈打つ臓で
塗り付けるようにして描いた赤を
きみに贈る 手紙にしよう
仮題『言葉』
それは 降ってくる 湧いてくる
溢れ出る ずっとそこにいる
蔦であり 根であり 樹皮であり
素朴に笑う一輪でありたいと願い
ときに 切創は化膿し
二十一世紀の自分が陳腐に思え
がらんどうの列に並んだとしても
紡ぐことを やめられないままで
他には、いらないもの。




