38/205
仮題『夏の』/『夏休み』
どこが残ってれば、君なのかな?
『夏の』
あの夏の空を見に行こう
一緒にゆくには ぼくの体は細いから
ちいさな ちいさな 水槽に容れて
坂の天辺まで 二人で往こう
足元のきみに目を落とす
湧いた蛆も 弾力を失った肌も
すべて この暑さのせいだ
ぼくは きみのカケラを拾い上げた
『夏休み』
透明な 温い空気の中を
爛れた水かきで 泳ぐきみは
この茹るような熱量の日々を
モラトリアムと呼んでいた
いつか きみが立ち枯れて
ぼくが 細切れにされても
最後に残る 割れた聴覚で
ぼくらの日々の 音が聞こえるように
蝉の声が聴こえるね。
心中でもしようか?




