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仮題『私はワタシ』/『言笑』
こんなんだけど、なかよくして、ね?
仮題『私はワタシ』
私はどこにもいない
非実在な創作の指先
私が文字を綴るからこそ
彼が表を生きてゆけるのだ
文の海を思う様に
鏡合わせの名前を掲げて
非才に折れぬようにと泳ぐ
朧常世の 文魚
いつまでも忘れないでいて
私がここで、綴っていたこと
仮題『言笑』
他には何も要らなかった
些細な言葉で 目を細めて
神楽鈴のような音で肩を揺らす
その健在で 救われたのです
故に あなたを満たす言葉を探し
この身が 紙面に溶け出そうとも
鈴の音が 凛と響いたのなら
至高天へと到れるはずなのです
へえ、無欲なんだね。




