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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2022――
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30/205

仮題『君の傍に』/『ハート』

私が恐れてるのは、それだけだよ。

仮題『君の傍に』


記憶は 形のないものだから

知らぬうちに剥がれ落ちては

宙に溶けて見えなくなるから


片端の景色でも 音の隙間でも

置き忘れた歯ブラシでも

揃いのキーホルダーでもいいから


私がここにいたのだと

憶えていてほしかったの



仮題『ハート』


脈打つ 脈打つ 胸の奥

私が生きてるぶんだけ

特別な居場所が鼓動する


時には急いて 時には凪いで

終わりの刻には平行線

脈打ち 脈打ち 送り出す


それを包んで リボンをつけて

誰かに差し出すときが来る

それでもいいと 思える日が来る


しょうがないな、いっこだけだよ。

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