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仮題『コトバ』/『勇魚』/『前を向いて』
これしかないんだ、ごめんね。
おやすみ、ムスクルス。
仮題『コトバ』
鞘の無い刃を 胸骨の間に収める
喉を絶え間なく裂いて
滴った赤色を飲み干すために
痛むと知って その筆を執った
単一に絞った可能性の
上澄みだけならば 美しいと
沈殿する 悍ましい思い出も
飾り立てられるのだから
仮題『勇魚』
僕らが吸える酸素の量は
天の高さで決まるんだ
プランクトンやイワシの群れも
僕には随分窮屈だった
君のいるところはいいだろう
空に限りがないのだからと
羨むように唸った彼の
肋の隙間で 私も眠る
仮題『前を向いて』
泥中には上も下もない
まとわりつく滑りは 不快なまま
君の交換可能性を証明している
掛け替えのないを合言葉に
無益で無価値な自分に
出来合いの値札をつけている
細切れになって 苔生して
青黒く腐って 空回り
それでも 一方にしか進めない
いいじゃん、負け犬でさ。




