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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2022――
20/205

仮題『キャンディ』/『盛夏の』/『金平糖』

僅かな甘みを、まだ覚えてるんだよ。


暑いね、ほんと。


仮題『キャンディ』


舌の上で転がせば

まるで 居竦(いすく)むように溶ける

それが猛毒であると

トランペットが叫んでいた


ざらりとした表面が

粘膜を削り取ったあとに

残された不細工な傷痕を

愛でるだけでよかったのだ



仮題『盛夏の』


淡水色の風が吹いて

肌を流れる 雫は染み込んで

リバイバルの報せもなく

ただ 思い返すペトリコール


金魚の道 提灯の列

空に大輪の夏火花

茹だる前に ああ日陰星

見つからぬまま 囚われている



仮題『金平糖』


檸檬(れもん)の星と 赤色矮星(せきしょくわいせい)

水の惑星 木製の()

ブリキの缶に閉じ込められた

宇宙が からから弾け出す


脱落 欠片が純朴に傾いで

笑顔の真裏に星月夜

甘い棘は 砒素(ひそ)の味

まろやかに溶けた 末期の味


おひとつ、どうぞ?

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