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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2022――
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19/205

仮題『盲点』/『胃痛』/『探』

ノー、と言える人間になろうね。


欲しいね、才能ってやつ。

『盲点』


見たくない 見たくないんだ

ベクトル違いの笑顔

重ならない相乗の効果


伽藍(がらん)の空虚を喜ぶばかりの 

斜に構えた わたしの眼

潰す覚悟も無いままで


ケラケラ笑いで 皮を剥いで

一番見たいものだけ

見えないと 嘘吐くの



『胃痛』


潤んだって どうしようもない

不足を悔やんで 剥がれた爪

柔らかいとこばかりが痛んで

痺れ ()っては 悶えるんだ


カタカナ言葉の金言を

打ち消すように ガムを吐いた

その美しい言葉 紡げる脳髄を

わたしに 分けておくれよ



『探』


「それ以上 知ろうとしてはいけないよ」

カサブランカの君は俯き加減だった

その花弁の端が 黒く濁り始めたのを

いつから 無視するようになったのだろう


知りたいと願うのも 見たいと願うのも

触れたいと願うのも すべて君の権利だ

けれど 非常口の取手を引いたら

もう リノリウムは溶け落ちてしまうのだ


だから、やめときなよって言ったじゃん。

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