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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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195/205

仮題『残暑』/『自己分析』/『骨格―輪郭』

まだまだ暑いね、溶けちゃいそう。

仮題『残暑』


君の影が まだそこにいる

生温い風を嫌ったまま

帰りどきを見失った

入道雲に手を振ったんだ


君の影が まだそこにいる

旧流の川に飲まれてしまった

君を忘れられないままで

惰性の陽射しが続いていく



仮題『自己分析』


肌の色や髪の色 不格好な僕の半径

君を抱き締めるには円周が足りず

いつまでも答えの出ない事柄を

足で踏んで 奏でている


朝が来れば死んでしまうと

結論をつけたレポートに

間違いがあってくれればいい

自分で自分が 見えなきゃいい



仮題『骨格―輪郭』


入場券は抜けた綿

皮膚は縮んで脱げぬまま

人の皮を借りたあなたの

中途半端な生前葬だ


鳥に食わせて 火に焼べて

粉に挽いては 土に撒き

それでも ゼロにできないものを

あなたの肋骨は守っている


雨露を、束ねて一つ。

詰め放題の肉袋だ。

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