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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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193/205

仮題『シャボン玉:Pein』/『納涼』/『スパイス』

底無し沼にはもう落ちてるでしょ?

ジンセイ、ってやつ。

仮題『シャボン玉:Pein』


ふわりと浮かんで 屋根まで飛んで

やがて 弾けて消えるのだと

童歌では知っていたのだけれど

別れの辛さが変わりはしない


泡沫は 消えるのが定めなら

最初から生じなければなんて

心にもないことを口にして

自傷の痕で 悦にも入れない



仮題『納涼』


ねえ もう 終わってしまうよ

ずっと焦がれていたのになあ

あの 陽射しが帰ったあとに

のんびり来たって仕方ない


置き忘れてきたものを

並べて 過ごして また明日

明日もなくなってしまった

あなたに送る 心地良い風



仮題『スパイス』


痺れる舌先 弾ける刺激

鼻を抜ける香りすらも

異国のあの地に置いてきてしまった

命のインクも混ぜ込んで


私はひとつ あなたもひとつ

いくつもの組み合わせを

試すことなど許されない

鍋の中で死んでしまうのだ


さよなら、さまーでいず。

茹だるようなのも、これで終わりだね。

何気ない言葉で突き落とすんだ。

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