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仮題『壁』/『掃除』/『鬱屈としたモラトリアム』
ただ、それだけのことだって?
よく言うよ、凡夫のくせに。
強がりは止めなよ。
弱いのを受け容れなって。
仮題『壁』
越えて また 越えて
土の感覚は ざらついて
何者かになろうとする誰かの
気道を塞ぐ もう何枚目?
そんなに必死になったって
もう 向こうに誰もいないのだと
目を背けて 登るのだ
目を背けて 破るのだ
仮題『掃除』
トゲトゲも イライラも
ムシャクシャも ドロドロも
全部 全部 蜻蛉の翅箒を使って
キレイにお片付けしましょう
そうして 後に残った
キラキラとしたものだけを
醜い肉の袋に詰め 百足で縫えば
ようやく あなたができるのです
仮題『鬱屈としたモラトリアム』
水分を失っていく
枯れ木のように死んでいく
誰でもない 脱色した髪を
振り乱しては 砕けていく
ヒト 人 独り ヒト
理非の境は 誰のもの?
昏倒と渾沌とを綯い交ぜにした
赤紫が育っていく
些末なことだ。
殺伐としたことだ、ね?




