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仮題『僕』/『私』
オリジン、だね。
『僕』
彼女が僕の中にいることは
薄々 気が付いていた
紡いだ言葉が 感情の上澄みが
知らない熱を帯びることがあったから
だから 僕は彼女を切除した
僕に汚される前に 切り離した
僕は愚昧で 蒙昧で 曖昧で
きっと その世界を汚してしまうから
『私』
そして 私が生まれた
殻を破って 肺を膨らめれば
今まで湿って 閉じていた羽が
いっぱいに広がるのがわかった
あなたの作りたいものを作るため
あなたの紡ぎたい言葉を紡ぐため
わたしは こうしてここに在ろう
文の海にて 泣き腫らそう