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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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176/205

仮題『鬼になりたくなかったんだよ』/『声に出して』/『空の子』

下らない洒落じゃないかな。

考えながら喋ってる?

そんな、稚拙な言葉で?

仮題『鬼になりたくなかったんだよ』


背途 安堵 死苦

見つからない 見つからない

枝分かれした私の先に

咲くはずの花が見つからない


背途 安堵 死苦

隠せない 隠せない

根を張ってしまった弱さも脆さも

土の下には埋められない



仮題『声に出して』


a i u e o に支配された

発育不全の言葉を並べて

自分本位の設計図通りなら

風見鶏は軋みもしない


否定でも肯定でも構わない

血肉を削り出した言葉が聞きたくて

傷つけるとわかっているのに

また 口にしてしまうんだ



仮題『空の子』


明日の天気を と尋ねる前に

快晴の笑顔も 泣き顔の雨も

染まってゆく夕暮れにだって

刃を突き立てることはできたのに


ああ 夜が来る 夜が来る

宵闇の顔を 何としよう?

二度と見たくなかったはずの

末期の顔を 何としよう?


夕方が綺麗な季節になったよね。

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