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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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169/205

仮題『トンネル』/『習慣』/『瓦礫』

私刑はいつでも、社会の中でしか起こらないんだよ。

仮題『トンネル』


重苦しく 湿り 滴る音を

くらがりの中で聞いている

退化した目では 自分以外の

体温すらも 見つからず


這うように伸びる足音だけが

行く手を照らしてくれるのだと

いつまでも終わりの見えない暗澹で

自己陶酔と二人連れ



仮題『習慣』


 口を衝く謝罪 爪を噛む癖

 染み付いてしまった わたしを

 見下すように あなたは言う

「普通に 普通に 生きなさい」


 あなたの褪せた紫色だって

 わたしのくすんだ緑と一緒で

 もう止められはしないのだから

 また今日も 指を咥えるのだ



仮題『瓦礫』


ねえ ママ パパ 教えて

かつて見上げた 憧れの欠片が

いくつも横たわる残骸の海で

私はどうやって生きればいいの


ねえ ママ パパ 答えて

下らない言葉を 並べて出来た橋を

渡る道化の後を追うように

下敷きの私が 嘆くのだ


普通のくせに、変わってるって言われたいんだよね?

嫌い、嫌いだよ、何もかも。

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