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仮題『君との距離』/『君との距離-2』
見上げてみたんだよ。
『君との距離』
まわる まわる 星の中
まわる まわる 宇宙の中
遊星たちは孤独なままで
触れてくれる肌を待っている
重力場だって 伸ばした腕で
たくさんの声を抱きしめる
苔が生して 涙が涸れて
罅が入って 息が潰れて
雨が降らなくなるまでに
この星間距離を縮めたい
『君との距離-2』
ほそく ほそく
煙が 天へとのぼってゆく
きみは その薄靄の階段を
息を弾ませてのぼってゆく
日に翳した びいどろの目や
金管の 涼やかな声も
全て 冷たい川に沈んでしまって
こんなに近いのに 硝子が隔てて
いまはもう 額の中で笑っている
私の人生で、最初で最後の恋。
その顛末だよ。