85 冒険者Aさんと評価
あらすじ:あらあらうふふ無双
視点:食通のご隠居様 ゲンジロウさん
『』:アルファさん
(すたすたすたすた、ギーーー)
『あれ? 3人とも帰ってへんかったん?』
「面会お疲れ様です、おじさま!」
「にーさん、お疲れ様~」
「ほっほっほっほ。
うむ、お疲れ様、アルファ君。
いや何、少し話がしたかったというのもあるが
我々も、やはり気にはなるのでな」
うむ、気になるのは仕方がない。
なにしろ、あの、アルファ君の
{2人目の弟子}となるかどうかだだからな。
気にならない訳がないというものだ。
「で~、アルファのにーさん!
あの娘、どないでした!?
弟子にしはるんですかっ!?」
「もーーー! ジンーー!?(ぷんぷん)
まず、おじさまには
一息ついてもらうべきやろ!?
あっ! おじさま?
あったかいお茶でええですかー?」
『おっ、お茶入れてくれるんか?
ありがとーなー、姫さん。(ガタタン)
よっこらせーっと(ボスンッ)』
「うむ、アルファ君。
ここにお茶菓子もあるからのう。
マリ君が持ってきてくれたお土産なのだが
なかなかの美味だったぞ。
まずは一息ついてくれたまえ。
・・・うむ? そういえばミケニャン君は?」
『お~~!
【フソウ】の生菓子とか久し振りやな。
ありがたく頂かせてもらいますわー。
あ、ミケはユキくんを宿へ送るついでに
ギルドへ手紙届けに行ってもらっとるんやわ。
ま、すぐ戻ってくるやろし
それまで小休憩といこかー』
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「本人の才能とか素質とか
そういうのは知りませんけど
ミケ的にはかなり見所があると思いましたよ?
考え方や目の付け所も良かったですし。
・・・何よりも、あの父親と違って
ねじくれてなさそうなのが評価できますね!」
『それな』
「あーーーーーー」
「ほっほっほ、手厳しいのう」
「おじさま? ミケねーさま?
見所のある考え方とか見所って
例えばどんなんやったんですー?」
ふむ、アルファ君はともかくとして
ミケニャン君がこの様に誉めるとか珍しい。
これは、ぜひとも聞いておきたいところだのう。
「例えばですか? そうですねー。
まず、ミケへの付け届けに
【高級マタタビ酒】を持ってきた事ですかね!!」
「えっーー!? あはははは!!」
「いきなり賄賂でっかー!?」
「ほほう、アルファ君も何か貰ったのかね?」
『いや、お土産は幾つか貰ったけど
{皆さんでどうぞ}ーって貰っただけやから
俺個人では貰ってないでー』
・・・ふむ、ミケニャン君にだけ
あえて付け届けを送る・・・か。
ほうほう、なるほど?
「次に、何の弟子を希望したかって事ですね。
あの子、【付与術】や【マジックアイテム作成】を
希望したんですよ。
実は、これは初めてのケースなんですよ!!」
「えっーーー!! {料理}ちゃうん!?」
「ええっ!!?
あの子って、お武家さん育ちなんやろ?
{武術}とか{戦術}とかやないん!?
もしくは{商売人}とか{冒険者}やったら
分からんでもないけど。
・・・ってゆーか、お嬢~。
さすがに{料理}の弟子はないんちゃうか?」
「いえ、ご主人様を料理人と勘違いして
弟子入り志願してくる人は結構居ますよ?」
『せやねんな。
まあ、さすがにそれは断っとるけどなー。
そもそも、俺は作る方より食う方が好きやし
作るのも、かなり大雑把やしなー。
料理人みたいにきちっとしたもんは作られへんよ
あ、でもな、弟子まではさすがに無理やけど
たま~に、同時期に何人かに頼まれた時とかは
ご家庭料理やキャンプ料理みたいなんを
臨時の料理教室開いて、教えたりもしてるんやで?』
「そ、それは・・・それやったら・・・。
ウチも!!? ウチもぜひ!!!!!
ぜひ、食べたいですーー!!!」
「って、お嬢は食う方なんかいっ!?」
「・・・そして何より!
ミケの事は、{ご主人様の嫁}扱いした事ですね!!
もう一度言いますよ!?{ご主人様の嫁ぇ}!!!
確かにあの子は事実を言ったまでですけど!!
実に、いい事言いました!!
実に実に、いい事言いましたよ!!!
これは、ミケ的にポイント高いですよ!?」
「えええええええええええぇぇぇぇええ!!!??
アカン!! そんなんアカンと思います!!」
「うむうむ、そうきたか」
『おいおいミケ~、嘘はアカンで。
あの子は身内扱いしただけやろ?』
「えーーーーー!?
似たようなもんじゃないですかー!
だったら、嫁でもいいですよね!!?」
「いや! ウチはそんなんアカンと思いますぅ!
身内でええやないですか!
家族ですってば家族!
(ぼそぼそ)その役はウチが代わりますから。」
「お嬢~? 今どさくさに紛れて
何か言わんかった~?(にやにや)
もっと大きい声でゆーたりや!!
さあ! もっともっと~!!!」
『ほれ、怒んなやミケ~。
(なでなで)家族でええやろー?
俺の数少ない身内やないか。
それで満足しとけよー(なでなで)』
「ぐぬぬぬ!! いーえ!!!
そんなので、ごまかさ(びくくっ)はにゃ~ん。
ごまかされたりは(ぴくんぴくん)ごまかさ・・・。
はっ!? ごまかされたりしま(すりすりすりすり)
・・・・・・くっ!!?(くんくんくんくん)
ころ快楽に抗えらいろれすっ!!」
「・・・・・・ええなあ(ぼそっ)」
「お嬢~~~?(にやにやにやにや)」
「なるほどのう。
つまり、{謀らないキヘエ君}なのだな」
「「?」」
『おっ、さすがゲンさん、ご名答~。
せやな、俺もミケも同じ事思ったわ。
あの子は、{謀らんキヘエ}って感じやな』
「「???」」
「(すりすりすり)・・・要するにですね。
あの手この手を考えつく所までは似てても
その中で、どの手段を使ってくるか
そこが大きく違うって事ですよ(ふにゃ~ん)」
「まあ、ユミネもジン君も
キヘエ君の事はよく知らぬだろうから
わからなくとも仕方はない」
『せやろなー。
まあ、キヘエの事は別としてやな。
事実だけを挙げてみるで?
まず、ちゃんと情報収集しとるやろ?』
「例えばですねー。
ミケがどういう性格で何を好んでるか。
ご主人様はそういうご機嫌伺いみたいな
付け届けを好むか好みまないか・・・。
それを事前に調べて知っているからこそ
ご主人様には皆に分けられるお土産を複数渡し。
ミケみたいに嫁と呼んでも過言ではない超身内には
個別に好みの物を渡しているんです」
「・・・はあ、んんん?」
「分かりませんか? ユミネさん。
そうする事で、ほら。
誰の気分を害する事も無く
外堀が埋めやすくなるでしょ?
{将を射んと欲すれば~}ってやつですよ」
「・・・・・・あっ!?」
「うむ。
そうなると、今にして思えば
マリ君から土産にもらった、この生菓子。
これもあの子が気を使ったのかもしれんな」
「え? どうゆーことです? ご隠居様」
「どう言う事も何もそう言う事ですよ。
お願いしたい本人が渡せば
相手に恩着せがましく映りますけど
母親のマリさんの手を経由させれば
マリさんの面目も立ちますし
相手の心象も悪くなる事はないでしょ?」
『まあ、そこらは人によるんやけどなー。
例えば、今回の俺らの場合やと。
あー、この子はそこらへん考えて
そういう配慮をするんやなーって
ええ方に受け取っとる』
「ふむふむ」
『逆に、そういうのをあざといわーって
感じる人も居るやろーけど
その辺、全く欠片も気にもでけへんよーな
無神経、無配慮な人より全然ええ。
・・・少なくとも、俺らはそう思っとるし
あの子はそうなんやろな、と判断した。
それだけでも十分評価に値するわ』
「ほえー・・・ワイはそこら辺苦手ですわ。
ワイはなーんも考えんと護衛だけしときます~」
「まあ、それも一つの配慮ですよ。
{下手の考え休むに似たり}なんて言いますしね」
『せやでー。
特にキヘエにとっては、今回の騒動なんて
{策士策に溺れる}って感じやしな』
「「?」」




